私、これでも副会長なんだけど!?

秋原かざや

みゆにっき その1

 わたしは美柚であって、美柚でない誰か。
 もう既に以前の記憶があやふやになっているあたり、もうこの世の者ではないのだと推測する。
 一応、りりかという名前だけがおぼろげに思い出されるが、それ以外は、本当におぼろげだ。
 ただひとつ、分かっているのは。


 ―――ここが、ゲームの世界だということ。


 何故なら、その記憶だけが鮮明に思い出されるからだ。
 自慢じゃないが、わたしはゲームが好きだ。
 特に乙女ゲーはかなりはまっていた方。


 そして、ごく最近やりこんでいたゲームが。


 『華咲く乙女』。


 このゲームは、学園を舞台にしたゲームである。
 しかし、このゲーム、普通じゃなかった。
 開発チームが荒ぶった所為で、当初、18禁でゲームが完成したのだ。
 売り出す際に上層部がこれではやりすぎだと判断。
 急遽、全年齢向けに作成しなおされ、世に出るのが開発から8年後だった。
 売り出されるや否や、どんなキャラにも一癖もあるイベント盛りだくさん(スチル少な目)で、超人気の作品に!
 そして、いよいよ、本来の作品である、荒ぶった18禁バージョンが世に出されたという、濃いゲームだ。
 ちなみに、前半は普通の乙女ゲーなのだが、後半は男性ゲーマーを蹴落とすくらいの難易度を誇るアクションゲームへと早代わりする。
 そのため、クリアした女子はごく僅かだった(わたしはここに入る)。
 本当にあれは、鬼だった。
 すぐさま、開発チームは難易度を調節できるパッチを公開し、ようやく普通のゲーマーでも遊べるようになった。
 ただ、やはり難易度を下げると見れないスチルがいくつかあり、それを見るためだけに鬼のようなアクションをすることになる者も続出し、普通のゲーマーがこのゲームをクリアしたとたんに、他のゲームがぬるすぎるというくらい、酷いものだった(だが、それを乗り越えたときの達成感やスチルゲットは得がたいものであった)。
 そういうゲームだったので、玄人ゲーマーの間では、「このゲームをクリアした者でなければ、玄人ゲーマーではない」なんて言葉が流行るくらいになっていた。いやはや、それが本当の話だから侮れない。


 まあ、それはさておき。
 全てのキャラを攻略し、フルコンプしたわたしにとって、このゲームは愛すべき心の友であり、現実でもクリアできると知って、歓喜に打ち震えたのはいう間でもなく。
 しかも、わたしには、『リセット』という超能力が備わっていた。
 それだけじゃない。
 リセットは他にも恩恵をあたえていた。
 それまでの能力を次回に持ち越すのだ。
 これはとてもありがたい。
 きっとこれは、あの素晴らしきハーレムエンドを見ろという、神の思し召しなのだろう。


 なので、まずは生徒会メンバーを手中にすることを決めた。
 何故なら、生徒会には入らないからだ。
 生徒会に入ると生徒会メンバーとのイベントが見られるのだが、そちらはかなりゲームで堪能している。
 せっかくなので、それ以外の要素を楽しみたい。
 神はハーレムを望んでいるのだから。


 やってみたら、とても簡単だった。
 いろいろと助言をしてくれる親友。
 力仕事を率先して引き受けてくれるカレ。
 数字的なことで助言してくれるコンピューター君。
 雑用を引き受けてくれる可愛いアッシー。
 そして、今回のターゲットであり、ゲームでも懇意にしていた素晴らしき恋人。
 それらがリセット技で、あっという間に手中に収めることができた。
 さて、後はどんなハーレムにすべきか。
 時間はたっぷりある。
 それに素晴らしき技が、わたしには与えられているのだ。


 ふふふふふふ。
 堪能させてもらおうではないか。


 あの脅威の展開まで繰り広げないように。
 

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