引きこもり14歳女子の異世界デビュー ─変わり者いじめられっ子の人リスタート─
43話 人それをフラグと言う
心に隙を作ればザディウスに乗っ取られてしまいため、強くならざるを得なかったとリヒトは話す。
ザディウスの異常さは、より付き合いの長いリヒトの方がよく知っているだろう。
乗っ取られたりすれば何をしでかすかわからないからな。
全力で拒絶するのも当然の反応だ。
付け入る隙を与えない、強い心を手に入れる。
新たな目標とともに、今度はザディウスに頼ることなくリヒトは改めて剣を握ったそうだ。
そうして長い時間をかけてザディウスを意識の奥深くまで押さえ込み、改めて主導権を奪い返すことができて以来、リヒトは安心した生活を送っていたそうなのだが……。
「──あの決勝で僕は、自分の中で君に負けを認めてしまったんだ。まだ勝負がついたわけでもなかったのに……その隙をザディウスは見逃さなかった。僕の至らなさのせいで、君には迷惑をかけてしまった。本当に済まないと思ってるよ。」
そう言って頭を下げるリヒトだったが、事情を知った今、リヒトを責める気は俺には全くなかった。
歳不相応に成熟した印象の今のリヒトを見るに、これまで相当努力してきんだろうなと思う。
「頭を上げてくれ、リヒト。そういう事情なら不可抗力ってもんだ。リヒトが気にすることじゃないぜ。それに最後には俺たちの力で、ザディウスに勝利出来たんだからな。」
「そう言ってもらえると助かるよ、ありがとう。でも、僕はもっと強くならなくちゃいけない。なぜだかわからないけど、ザディウスは君とルナさんを目の敵にしてるようだからね……この手で2人を殺すなんてことは、この命に代えても、絶対に阻止しないといけないことだ。」
ここでちょうど、俺がずっと気になっていたことに話題がシフトする。
この件については、絶対にここでリヒトに聞いておかなければいけない。
「それだ、その話なんだが……特にザディウスがルナの命を狙う理由が全くわからないんだが、リヒトは何か知ってることはないのか?」
ルナはごく最近異世界から来た人間で、100年前に死んだザディウスとは何の接点もない。
にも関わらず、世界の敵とまで言い張る理由は何だ?
俺は俺で、ザディウスに恨まれるような覚えは全くないが、まだこの世界の生まれだからな。
だがルナは違う。この世界とすら、ほぼ接点は無いに等しい。
だからわからないのだ。
「……ザディウスが君やルナさんの命を狙っているのは、僕もあの決勝で初めて知ったことなんだ。だから、正直なところ僕にもよくわからない。……ただ、以前からザディウスは人探しをしている節があったから、それが君たちだったという可能性はあると思う。」
「そうか……。」
リヒトも初耳だったとは。有力な情報は得られなかったな。
やはりマーヤに頼るしかないか?と考えていると、俺と同じく、考えるような仕草をしていたリヒトが口を開いた。
「ただ、……これはあくまで僕の予想の話になってしまうけれど……。ルナさんは僕と同じ、異世界から転移した人間だから、今は自覚がないだけで、もしかしたら僕のように何か別な存在をその身に宿してしまっているのかも知れない。そしてその宿している存在こそが──」
「なるほどな……実はそれこそが、ザディウスが恨みを持つ相手だと。」
リヒトとルナには異世界から来たという共通点がある。
だからこれは、一応ある程度筋の通った予想と言うことはできる。
そしてそういうことなら、接点のないはずのルナをザディウスが狙う理由もできてくる。
「ザディウスについては、僕がもう2度と表に出てこられないように何とか押さえ込むよ。本来この体は僕のものだから、僕が弱ったりしない限りザディウスには何も出来ない。……それより、今心配なのはルナさんの方だ。」
リヒトの予想が正しければ、いずれルナにも、その身に宿った存在が目覚める日が来るかも知れないと言いたいのだろう。
だが、今のルナを見るにそんな様子は全くない。
ザディウスの言葉しか判断材料がない今の段階では、正直何とも言えない。
本音を言えば、ザディウスがいい加減なことを言ってるだけで全部勘違いであって欲しい。
それなら、ザディウスをリヒトが押さえ込む限り、この問題は全て解決する。
俺はルナにはおかしなことには巻き込まれず、日々笑って過ごしていて欲しいのだ。
ザディウスの異常さは、より付き合いの長いリヒトの方がよく知っているだろう。
乗っ取られたりすれば何をしでかすかわからないからな。
全力で拒絶するのも当然の反応だ。
付け入る隙を与えない、強い心を手に入れる。
新たな目標とともに、今度はザディウスに頼ることなくリヒトは改めて剣を握ったそうだ。
そうして長い時間をかけてザディウスを意識の奥深くまで押さえ込み、改めて主導権を奪い返すことができて以来、リヒトは安心した生活を送っていたそうなのだが……。
「──あの決勝で僕は、自分の中で君に負けを認めてしまったんだ。まだ勝負がついたわけでもなかったのに……その隙をザディウスは見逃さなかった。僕の至らなさのせいで、君には迷惑をかけてしまった。本当に済まないと思ってるよ。」
そう言って頭を下げるリヒトだったが、事情を知った今、リヒトを責める気は俺には全くなかった。
歳不相応に成熟した印象の今のリヒトを見るに、これまで相当努力してきんだろうなと思う。
「頭を上げてくれ、リヒト。そういう事情なら不可抗力ってもんだ。リヒトが気にすることじゃないぜ。それに最後には俺たちの力で、ザディウスに勝利出来たんだからな。」
「そう言ってもらえると助かるよ、ありがとう。でも、僕はもっと強くならなくちゃいけない。なぜだかわからないけど、ザディウスは君とルナさんを目の敵にしてるようだからね……この手で2人を殺すなんてことは、この命に代えても、絶対に阻止しないといけないことだ。」
ここでちょうど、俺がずっと気になっていたことに話題がシフトする。
この件については、絶対にここでリヒトに聞いておかなければいけない。
「それだ、その話なんだが……特にザディウスがルナの命を狙う理由が全くわからないんだが、リヒトは何か知ってることはないのか?」
ルナはごく最近異世界から来た人間で、100年前に死んだザディウスとは何の接点もない。
にも関わらず、世界の敵とまで言い張る理由は何だ?
俺は俺で、ザディウスに恨まれるような覚えは全くないが、まだこの世界の生まれだからな。
だがルナは違う。この世界とすら、ほぼ接点は無いに等しい。
だからわからないのだ。
「……ザディウスが君やルナさんの命を狙っているのは、僕もあの決勝で初めて知ったことなんだ。だから、正直なところ僕にもよくわからない。……ただ、以前からザディウスは人探しをしている節があったから、それが君たちだったという可能性はあると思う。」
「そうか……。」
リヒトも初耳だったとは。有力な情報は得られなかったな。
やはりマーヤに頼るしかないか?と考えていると、俺と同じく、考えるような仕草をしていたリヒトが口を開いた。
「ただ、……これはあくまで僕の予想の話になってしまうけれど……。ルナさんは僕と同じ、異世界から転移した人間だから、今は自覚がないだけで、もしかしたら僕のように何か別な存在をその身に宿してしまっているのかも知れない。そしてその宿している存在こそが──」
「なるほどな……実はそれこそが、ザディウスが恨みを持つ相手だと。」
リヒトとルナには異世界から来たという共通点がある。
だからこれは、一応ある程度筋の通った予想と言うことはできる。
そしてそういうことなら、接点のないはずのルナをザディウスが狙う理由もできてくる。
「ザディウスについては、僕がもう2度と表に出てこられないように何とか押さえ込むよ。本来この体は僕のものだから、僕が弱ったりしない限りザディウスには何も出来ない。……それより、今心配なのはルナさんの方だ。」
リヒトの予想が正しければ、いずれルナにも、その身に宿った存在が目覚める日が来るかも知れないと言いたいのだろう。
だが、今のルナを見るにそんな様子は全くない。
ザディウスの言葉しか判断材料がない今の段階では、正直何とも言えない。
本音を言えば、ザディウスがいい加減なことを言ってるだけで全部勘違いであって欲しい。
それなら、ザディウスをリヒトが押さえ込む限り、この問題は全て解決する。
俺はルナにはおかしなことには巻き込まれず、日々笑って過ごしていて欲しいのだ。
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コメント
美浜
フラグなのか······