引きこもり14歳女子の異世界デビュー ─変わり者いじめられっ子の人リスタート─

さんじゅーすい

38話 剣聖と書いてチンピラと読む

「聞こえなかったか?殺すと言ったんだよ……オマエも、あのガキも!」

そう言うとザディウスは跳躍し、空高く飛び上がった。


「剣聖奥義……月光斬げっこうざん!」


ザディウスと俺を取り囲む周囲の空間が暗転し、歪にゆがむ。
あたかも狭い球体の中に囚われたかのように、その場から動けなくなる。

そして、暗闇の中青白く光るザディウスの剣が弧を描くような軌跡を残しつつ、俺に襲いかかった。


「……くっ!」

上空から振り下ろされたザディウスの刃を、俺は何とか剣を構えて受けきったものの、凄まじいほどの衝撃が全身を襲う。
まるで細かい刃で全身をくまなく切り刻まれたかのようだ。


「よく防いだな。だが衝撃までは防げなかっただろう?理由を教えてやろうか?月光斬はな、空間位相に干渉して座標軸を圧縮することで──」


こいつは何を急に意味不明な解説を初めてるんだ。
こっちは全身痛ぇのでそれどころじゃねーっての。

にしても頭の痛くなる解説はマーヤそっくりだな。
こいつやっぱ本物の剣聖だわ。



自慢の必殺技の解説はともかく──

セレスティアがどうのとかいう件も含め、ザディウスの言うことは何もかも意味がわからんが……まあ、本物の剣聖だというのなら、後でその辺に詳しいであろうマーヤにでも確認した方がいいだろう。

英雄の話なら魔法以上に専門家のはずだからな。


それよりも今重要なことは、何故かザディウスは俺とルナの命を狙ってるってことだ。
俺だけならともかく、ルナを殺すと言われて逃げ出す訳にはいかないだろう。



しかし、俺はリヒトとの熱い試合を繰り広げてたはずなんだが……とんでもねー通り魔に出くわしちまったもんだ。


難しいこと抜きにして考えても、俺はこの自称剣聖ザディウスが心底気にくわない。
うじうじした考え方が言葉の端々から溢れ出てるようで、まるで昔の俺を見ているようだ。

ザディウスは、俺が聖女に好かれてるとかいう訳のわからなすぎる理由で俺が気にくわないようだが、どうやらお互い様のようだな。

と言うかまず、死人に好かれてるって何だよ。
ホラーかよ。
聖女の亡霊に枕元に立たれた経験なんかねーぞ俺は。


あとリヒトもリヒトだよ。
俺との勝負を楽しみにしてるだの言っておいてちょっと劣勢になったぐらいでこんなよくわかんねーチンピラに意識乗っ取られやがって。


突然現れた自称剣聖にいきなり殺すとか言われた。
リヒトとの真剣勝負は中断。
しかも何故かルナまで殺すとか言ってる。

こんな理不尽な話があるか?

考えるほどに馬鹿馬鹿しくなってくる。


とりあえずこの目の前の無駄に態度のでかい自称剣聖を一発ぶちのめしてやらないと腹の虫が収まらない。



「──そしてだな、月光斬の名前の由来は暗転した空間にまるで青白い三日月が描かれるが如く──」


こいつまだやってたのかよ。
全然聞いてなかったっての。

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コメント

  • さんじゅーすい

    まあ既に出てる1人からして幼女なので笑

    1
  • 美浜

    英雄たちは難しい話をするのが好きなんだね。
    マーヤの説明も分からなかったし。

    仮にも剣聖なんだからチンピラはw

    2
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