引きこもり14歳女子の異世界デビュー ─変わり者いじめられっ子の人リスタート─
24話 少なくともマーヤより体重が軽いとは思えない
「おいおい……こりゃまたとんでもねぇな。」
風を操って高速移動し、攻撃を回避する魔法というのは実際あるそうだが、エリザのこれは、もはやそういう次元ではない代物だ。
先ほどの魔法発動時、一瞬エリザの周囲に力場が発生したとき、確かに風圧を感じたことから、風を操って飛んでいるのは確かだろう。
しかし、いかに痩せたエリザと言えど羽根の生えた鳥ではないのだから、風のみであんな風に飛び回れるはずはない。
どんなに低く見積もっても、エリザの体重は確実に30kg以上はあるはずなのだ。
だとすると、恐らくは何か別の魔法も併用──
「試合中に考え事なんかしてると……殺っちゃうよ?あははは!」
旋回していたエリザがこちらに向きを変え、上空からものすごい速度で迫ってきた。
どうやら、エリザが飛び回っているカラクリについて考える時間はないらしい。
……まあどの道、魔法に無知な俺では考えてもわからんだろうが。
「そこ……そこだよっ、ほらそこっ!……あぁっ、たまんない!」
首筋の頸動脈に突き刺さるほどに強いエリザの視線を感じる。
狙うは急所、ただ一点のみということか。
あの速度ですれ違いざまに切りつけられたら……と考えるとぞっとする。
俺は咄嗟に剣を上段に構え、エリザの攻撃を受けようとする。
エリザの短剣と俺の剣がかち合い、鈍い金属音を立てながら何とかエリザの攻撃を防ぎきる。
そしてエリザが通り過ぎた後、風が地面の砂埃を空中へと舞い上げた。
「こいつは想像以上に厄介だな……。」
上方からの攻撃を受けるためには、当然上を向く必要がある。
が、上を向くと平衡感覚が少し狂ってしまい、足下の安定性をやや欠いてしまう。
つまり、攻撃を受けるにあたって、足の踏ん張りが効きにくくなるのだ。
そして、エリザへ攻撃を仕掛けるタイミングは、そのエリザが攻撃のために接近してきた時以外にないのだが……。
決定打を与えるためには、剣を下段に構え、上空から迫るエリザに下段から剣を振り上げて攻撃する必要があるだろう。
しかし、剣を下段に構えるということは、首筋の頸動脈を無防備に晒すということになってしまう。
つまりこれは、いちかばちかの捨て身の攻撃とならざるを得ない。
また、エリザは頭から突っ込んで来るため、こちらから見た際の、攻撃を当てられる面積が非常に小さくなっている。
高速で接近する物体に攻撃を当てるのはただでさえ難しい上、さらに面積も小さいときた。
そして、もしも外せば頸動脈をかっ切られて終了だ。
あんな裸同然の、布きれ2枚しか纏っていない格好のエリザが、今はとんでもなく鉄壁に見える。
現状、打開策は見当たらない。
──だが、だからこそ。
だからこそ、倒し甲斐があると言うもの。
人は成長する生き物だ。今現在の自分の限界を、自分自身で定義してしまうべきではない。
今の自分には太刀打ち出来ないように思える相手に出会って、初めて成長の可能性が生まれるのだ。
俺は勝負に勝つ優越感を味わうためにここへ来たんじゃない。
勝って当然の相手に勝ったところで、そこには何の意味もない。
強敵との戦いの中で成長し、より強い力を、守るための力を得るために俺はここへ来た。
そして、まさに今がその時だ。
力が及ばないと思うのなら、俺が今一歩、限界だと思っているその一線を踏み越えればいいだけの話だ。
そうすれば、捨て身の一撃も必殺の一撃となり得る。
ただそれだけの、単純な話だ。
風を操って高速移動し、攻撃を回避する魔法というのは実際あるそうだが、エリザのこれは、もはやそういう次元ではない代物だ。
先ほどの魔法発動時、一瞬エリザの周囲に力場が発生したとき、確かに風圧を感じたことから、風を操って飛んでいるのは確かだろう。
しかし、いかに痩せたエリザと言えど羽根の生えた鳥ではないのだから、風のみであんな風に飛び回れるはずはない。
どんなに低く見積もっても、エリザの体重は確実に30kg以上はあるはずなのだ。
だとすると、恐らくは何か別の魔法も併用──
「試合中に考え事なんかしてると……殺っちゃうよ?あははは!」
旋回していたエリザがこちらに向きを変え、上空からものすごい速度で迫ってきた。
どうやら、エリザが飛び回っているカラクリについて考える時間はないらしい。
……まあどの道、魔法に無知な俺では考えてもわからんだろうが。
「そこ……そこだよっ、ほらそこっ!……あぁっ、たまんない!」
首筋の頸動脈に突き刺さるほどに強いエリザの視線を感じる。
狙うは急所、ただ一点のみということか。
あの速度ですれ違いざまに切りつけられたら……と考えるとぞっとする。
俺は咄嗟に剣を上段に構え、エリザの攻撃を受けようとする。
エリザの短剣と俺の剣がかち合い、鈍い金属音を立てながら何とかエリザの攻撃を防ぎきる。
そしてエリザが通り過ぎた後、風が地面の砂埃を空中へと舞い上げた。
「こいつは想像以上に厄介だな……。」
上方からの攻撃を受けるためには、当然上を向く必要がある。
が、上を向くと平衡感覚が少し狂ってしまい、足下の安定性をやや欠いてしまう。
つまり、攻撃を受けるにあたって、足の踏ん張りが効きにくくなるのだ。
そして、エリザへ攻撃を仕掛けるタイミングは、そのエリザが攻撃のために接近してきた時以外にないのだが……。
決定打を与えるためには、剣を下段に構え、上空から迫るエリザに下段から剣を振り上げて攻撃する必要があるだろう。
しかし、剣を下段に構えるということは、首筋の頸動脈を無防備に晒すということになってしまう。
つまりこれは、いちかばちかの捨て身の攻撃とならざるを得ない。
また、エリザは頭から突っ込んで来るため、こちらから見た際の、攻撃を当てられる面積が非常に小さくなっている。
高速で接近する物体に攻撃を当てるのはただでさえ難しい上、さらに面積も小さいときた。
そして、もしも外せば頸動脈をかっ切られて終了だ。
あんな裸同然の、布きれ2枚しか纏っていない格好のエリザが、今はとんでもなく鉄壁に見える。
現状、打開策は見当たらない。
──だが、だからこそ。
だからこそ、倒し甲斐があると言うもの。
人は成長する生き物だ。今現在の自分の限界を、自分自身で定義してしまうべきではない。
今の自分には太刀打ち出来ないように思える相手に出会って、初めて成長の可能性が生まれるのだ。
俺は勝負に勝つ優越感を味わうためにここへ来たんじゃない。
勝って当然の相手に勝ったところで、そこには何の意味もない。
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コメント
さんじゅーすい
ツッコミ役ばかりしていたけど、実は本来はこういう人です笑
美浜
なんかガイストがかっこいい。