引きこもり14歳女子の異世界デビュー ─変わり者いじめられっ子の人リスタート─

さんじゅーすい

22話 異世界転移スキルガチャ☆1

「え?どういうことですか?えっと……んー?」

全く事情が飲み込めない様子のルナに、リヒトがうれしそうに話し続ける。
どうも様子からして、リヒトはルナを知っているようだ。


「中学で1年の時同じクラスだったナツカゼだよ!ナツカゼアリヒト!ほら、前髪で目が隠れてて、根暗っぽい──」

そう言ってリヒトが右手で目を隠す。


「えー!うっそまじで?全然雰囲気ちがくてわかんなかった!なんか急に失踪していなくなっちゃったけど、こっち来てたんだ!最初席隣同士でゲームの話とかしたよね?やばい、めっちゃなつかしー!」

ルナもようやく事情が飲み込めたようで、はっと思い出したように歓喜の声を上げる。
そしてそのまま、2人して楽しそうに談笑を始めてしまった。

俺とリーシェは、不思議そうにお互いの顔を見合わせた。


「あのぉ……盛り上がってるところ悪いんだけど、話がよく見えなくって……。リヒトさんは、ルナちゃんのお知り合いなの?」

2人が話しているところに、申し訳なさそうに右手でゴメンナサイのジェスチャーをしながら、リーシェが間に入っていく。

俺もある程度予想はつくものの、いまいち状況がよくわからなかったので、ナイスと言わざるを得ない。


「あっ、ごめんなさい!そうなんですよ、元の世界で学校同じクラスだったことあって、ちょっとだけ話したことあって……それで2人ともこっち来ちゃうなんて、すっごい偶然ですよね!」


「異世界人が同じ時代に2人も、しかも2人は知り合い、か。確かにこりゃすごい偶然だな……。」

「ほんとね、マーヤ様でも見たことなかったそうなのに……。」

リーシェの言うように、ルナに合うまではマーヤでも見たことがなかった異世界人が目の前に2人。
これには俺もリーシェも素直に驚くしかない。


「あれ?でもナツカゼくんって、イケメン化はともかく何で剣術の天才になっちゃってるわけ?運動苦手だったよね?めちゃくちゃ。」

「ああ、それは……転移して目が覚めた時に、何か特殊な能力に目覚めるってやつなのかな?ラノベあるあるの……逆にコウヅキさんにはそういうのなかったの?目が覚めた時に何か、眠っていた能力が開花するような実感というか。」

ルナが目覚めた時と言えば……、いやいや、お前それ……。


「……おしっこ。」


「え?」


「おしっこがしたかった。」


「……あっはい。」


「めっちゃ漏れそうだった……。」


「……うん。えっと、他には……?」


「……。」


それ以上聞いてやるな、リヒトよ。
盛大に漏らさなかっただけ、むしろよかったというものだ。


「あー、これね。そういうあれだわ、あれ。……異世界転移ガチャ、新規アカウント初回1回無料でレア度☆1のスカ引いちゃったやつ。しかもリセマラ不可。いや、いいんだけどね、確率絞るのはさ。でもおしっこはいかんでしょおしっこは。魔物におしっこかけてもダメージ入らないんだけど?というかわたしついて・・・ないから、まずまっすぐ飛ばして命中させるのがめっちゃ難しいんだけど?……あっでも、実はむしろアンデッド相手だとダメージ入ったりするの?聖水による攻撃!みたいな?……いやないわ、それ絶対リンゴの審査即落ちするしまじでないわ。でもおしっこに特殊効果が付いてる線はまだ捨てきれないか?飲むとステータスアップみたいな?いやいやそれやばすぎ。戦闘の度に物陰でコップにおしっことか何プレイなの?しかも冬場だと普通に湯気とか──」


「あ、あの……コウヅキさん、その──」

ぶつぶつ言ってるルナに、うろたえながら声を掛けようとするリヒトだったが、当然ルナの耳には届いていない。

「しばらくそっとしておいてあげて、リヒトさん。じきにすぐ元気になって、いつも通りけろっとしてるから……。」


リーシェもルナのことがよくわかっているようだ。
反面、おろおろしてるリヒトを見るに、旧知の仲だがルナとはそこまで親しくはなかったように見えるな。

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