引きこもり14歳女子の異世界デビュー ─変わり者いじめられっ子の人リスタート─

さんじゅーすい

21話 天才騎士は元同級生

あれから一ヶ月。


毎日のようにマーヤに稽古をつけてもらい、迎えた剣術大会開催日の前日。
開催地である都へと俺たちはやって来ていた。

魔物相手にすっかりなまっていた腕も、今はもう完全に去年の勘を取り戻せている。
いや、むしろ去年以上かも知れない。


生半可な相手には負ける気がしないが、ただ、剣術の天才とやらにこれがどこまで通用するかまでは、全く予測できんな……。


都へは俺とリーシェとルナの3人で来たため、宿の部屋は2部屋とってある。
剣術大会は3日に渡って開催されるため、この時期、都の宿はどこも盛況のようだ。


ちなみにマーヤは英雄たちの墓参りに出ていて、この時期はいつもいない。
剣術大会の開催日は魔王討伐の日に合わせているため、魔王との戦いで命を落とした幾人かの英雄たちの命日でもあると言うわけだ。

「それじゃ、行ってくるのよ。」と言って村を後にしたマーヤの姿は、いつもより少しだけ大人びて見えた。


「──そうそう、それでね、……ん?誰かしら……はーい!」

宿の部屋でリーシェと談笑していたところ、急に来客があった。

ルナはちょうど席を外してる。「まじもれそう、ちょっとウンコ行ってきます!」って断言してトイレに行ったんだが、そういうのについては特に恥じらいとかないんだろうか?
いや、まあルナだからな。


「はじめまして、僕は都営騎士団所属のリヒトと申します。こちらが今年の剣術大会に出場される、ガイストさんのお借りになってる部屋だと聞いて来たんですが──」

「あぁ、あのリヒトさん……ガイスト、リヒトさんがご挨拶に来たみたいよ!」


話を聞いていた俺はすでにドアの近くまで来ていた。

「ほう、あんたが『天才騎士』リヒトか。今回の剣術大会はあんたと戦うのが楽しみで来たんだ。順当に行けば決勝で当たることになるな。お互い勝ち上がって対戦できることを期待してるぜ。」


「意外と紳士なんだね、もっと『決勝まで負けんじゃねーぞ雑魚すけ』みたいに、挑発されるかと思ったよ。……もちろんだとも。決勝で会おう、前大会優勝者『魔女の弟子』ガイスト。君と剣を交える日を、僕はずっと心待ちにしていた。」


お互いニヤリと笑いながら、決勝での対戦を約束する俺たち。

熱いね、こういう熱い展開は俺の大好物なんだよ。
つまりこれは、俺に初めてできた好敵手ライバルってやつなのか?いいねぇ、これだよこれ。そして俺たちはお互いに切磋琢磨──


などと考える俺の熱い想いを、気の抜けたような声で中断する者がいた。
もう誰かは言わなくてもわかるだろ?


「あぁー、めっちゃ出たわ。やばい超すっきりなんだけど。まじちょっと便器詰まりかけるぐらい──あれ、お客さんですか?って騎士さん!?わ、わたしまだ何にも悪いことしてないですよ?ウンコも最終的にはちゃんと流れたし──」


リヒトを見て目に見えて焦り出すルナ。
いや、仮に便器詰まらせてたとしても、別にいきなり騎士にしょっぴかれるようなことはないと思うぞ?
というか、むしろ最初は流れなかったのかよ。


しかし、それを見たリヒトの様子がおかしい。

いつもの・・・・ルナに引いてるとかじゃない、むしろルナのウンコとか便器とかの話は全然耳に入ってない様子。

そして、リヒトの口から意外な一言が放たれる。

「……もしかして、1組で一緒のクラスだったコウヅキさん?」

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