引きこもり14歳女子の異世界デビュー ─変わり者いじめられっ子の人リスタート─
20話 恋より愛
「──なんか子供の頃、リーシェちゃんのこと好きだったっぽいですよ、ガイストさん。」
ルナちゃんの言葉を聞いて、私は胸が高鳴るのを感じた。
思い当たる節はある。
心を閉ざしていたガイストが、私の呼びかけに応え、口をきいてくれるようになってからというもの、もう1日中って言っていいぐらいガイストは私の後ろにくっついて生活してた。
ちょっとでも離れると、泣きそうな顔して私のこと探してた。
今からじゃとても想像できないぐらいだけど、昔のガイストはそんなだった。
それを見て私は、その当時はかわいい弟ができたって思う程度だったけど……。
「それでそれで、今はその好きって気持ちが、親愛の情に変わったんだって言ってました。これってどう考えてもリーシェちゃんのことですよね?」
いつしかガイストはマーヤ様の稽古を受けるようになり、どんどん強くなっていった。
私のうしろにくっついてる必要はなくなって、1人で魔物討伐すらできるようになった。
私はその時、ガイストが私のこと必要じゃなくなったんじゃないかって、喪失感を覚えたんだと思う。
幼い私は、いつしかガイストに必要とされることに自分の存在価値を求めていて、ガイストが強くなるにつれてそれを失った。
恐らくそれが私の恋の最初のきっかけだ。
でも、そうじゃなかった。
その、ガイストの私を好きな気持ちは消えてなくなったわけじゃなくて、愛情に形を変えて今もガイストの心の中にあると……。
ガイストは昔、私に恋をしてて今は親愛の情を持ってる。
私は昔、ガイストに親愛の情を持っていて、今は恋してる。
私とガイストの気持ちは、全く逆の方向に進んでる。
そして、2人の気持ちは結局交わることはなかった。
これを気持ちのすれ違いと悔しがる?
運命は残酷だって、いるかどうかもわかんない神さまに恨み言を言う?
ううん、そんなのは馬鹿げてる。
だって、恋愛感情が家族愛に変わるって、それってまるで付き合ってた恋人がそのまま結婚して、夫婦になったのと同じようなものだと思うから。
ガイストの想いは、あの私にくっついてたころのまま、きっと強く心の中に残ってる。ただその形を変えただけ。だから──
「……ありがとうルナちゃん。私、自分が思ってる以上にずっと恵まれてたんだってことがわかったわ。」
「そうですよね!昔リーシェちゃんのこと好きだったんなら、また好きになる可能性だって──」
ルナちゃんはそう言うけれど、特に男の人は、知りすぎた相手に燃え上がるような恋をすることはきっとないだろう。
でも、それはもう私にとって重要な事じゃない。
「ううん、違うのルナちゃん。……これでいいの。今のままで。だって今の私、とっても幸せな気持ちだから。」
「付き合えなくても、幸せなんですか?……うーん、なんか想像するのがめっちゃ難しいです……。」
恋を知らないルナちゃんに、私の語彙力でうまくこの気持ちを説明するのはとても難しい。
なら、今私に言えることは1つしかない。
「ルナちゃんにもいつか、本気で恋するときが来れば、こういう気持ちわかる……かも?」
あんまり自信はないけど、そう答える私。
より正確には「何年にもわたって報われない恋をしたら」なんだけど、さすがにそんなことは言えない。
そしてそれを聞いたルナちゃんは、両手を胸に当てて、少し頬を染めて答える。
「そうなんですね……いつかわたしにも、わかるといいなぁ。」
ルナちゃんの言葉を聞いて、私は胸が高鳴るのを感じた。
思い当たる節はある。
心を閉ざしていたガイストが、私の呼びかけに応え、口をきいてくれるようになってからというもの、もう1日中って言っていいぐらいガイストは私の後ろにくっついて生活してた。
ちょっとでも離れると、泣きそうな顔して私のこと探してた。
今からじゃとても想像できないぐらいだけど、昔のガイストはそんなだった。
それを見て私は、その当時はかわいい弟ができたって思う程度だったけど……。
「それでそれで、今はその好きって気持ちが、親愛の情に変わったんだって言ってました。これってどう考えてもリーシェちゃんのことですよね?」
いつしかガイストはマーヤ様の稽古を受けるようになり、どんどん強くなっていった。
私のうしろにくっついてる必要はなくなって、1人で魔物討伐すらできるようになった。
私はその時、ガイストが私のこと必要じゃなくなったんじゃないかって、喪失感を覚えたんだと思う。
幼い私は、いつしかガイストに必要とされることに自分の存在価値を求めていて、ガイストが強くなるにつれてそれを失った。
恐らくそれが私の恋の最初のきっかけだ。
でも、そうじゃなかった。
その、ガイストの私を好きな気持ちは消えてなくなったわけじゃなくて、愛情に形を変えて今もガイストの心の中にあると……。
ガイストは昔、私に恋をしてて今は親愛の情を持ってる。
私は昔、ガイストに親愛の情を持っていて、今は恋してる。
私とガイストの気持ちは、全く逆の方向に進んでる。
そして、2人の気持ちは結局交わることはなかった。
これを気持ちのすれ違いと悔しがる?
運命は残酷だって、いるかどうかもわかんない神さまに恨み言を言う?
ううん、そんなのは馬鹿げてる。
だって、恋愛感情が家族愛に変わるって、それってまるで付き合ってた恋人がそのまま結婚して、夫婦になったのと同じようなものだと思うから。
ガイストの想いは、あの私にくっついてたころのまま、きっと強く心の中に残ってる。ただその形を変えただけ。だから──
「……ありがとうルナちゃん。私、自分が思ってる以上にずっと恵まれてたんだってことがわかったわ。」
「そうですよね!昔リーシェちゃんのこと好きだったんなら、また好きになる可能性だって──」
ルナちゃんはそう言うけれど、特に男の人は、知りすぎた相手に燃え上がるような恋をすることはきっとないだろう。
でも、それはもう私にとって重要な事じゃない。
「ううん、違うのルナちゃん。……これでいいの。今のままで。だって今の私、とっても幸せな気持ちだから。」
「付き合えなくても、幸せなんですか?……うーん、なんか想像するのがめっちゃ難しいです……。」
恋を知らないルナちゃんに、私の語彙力でうまくこの気持ちを説明するのはとても難しい。
なら、今私に言えることは1つしかない。
「ルナちゃんにもいつか、本気で恋するときが来れば、こういう気持ちわかる……かも?」
あんまり自信はないけど、そう答える私。
より正確には「何年にもわたって報われない恋をしたら」なんだけど、さすがにそんなことは言えない。
そしてそれを聞いたルナちゃんは、両手を胸に当てて、少し頬を染めて答える。
「そうなんですね……いつかわたしにも、わかるといいなぁ。」
コメント
さんじゅーすい
リーシェの「今のままで幸せ」が強がりなのか本心なのかは、書いてる本人にもよくわからなかったりします(>_<)
美浜
いつか私にも、わかる時が来るといいな