引きこもり14歳女子の異世界デビュー ─変わり者いじめられっ子の人リスタート─
13話 経験はなくとも100歳越えてりゃ知ってて当然
翌日、私達はさっそくマーヤ様のところに来てルナちゃんが魔法をうまく使えない原因を調べてもらった。
そして、ルナちゃんの胸に手を当ててしばらく目を閉じた後、マーヤ様は例の如く一瞬で原因を特定し、それを話し始める。
相変わらずとんでもない人だ。こんなちっちゃいのに。人は見た目によらないってことを身をもって教えてくれてる。
「結論から言うと、これはルナちゃんの体質に起因して発生している問題なの。ルナちゃんの中では、上位次元と下位次元を隔てる壁が脆かったり一部無かったりするの。」
「普通はその壁がしっかりしてるはずなのに、わたしはそうじゃないってことですか?壁がないと何かやばかったりするんですか?」
「普通に生活する分には、別にやばいことはそんなにはないのよ。むしろ情緒が豊かだったり感覚が鋭敏な分、魔法の習得が人並み外れて早くて、早くからとんでもない威力の魔法を使えたりするって利点もあるの。……ただ──」
「……ただ?」
私は相槌を打って、マーヤ様の次の言葉を待った。
私の教え方がいけなかったとかじゃないのは、はっきりして一安心だけれど、本当に重要なのはここからだ。
「──いざ魔法を使うとき、空いた穴から滝のように魔力が上位次元から下位次元に流れ落ちてきてしまうの。この魔力はマナの器に入っていない生の魔力だから、使用者はそれを制御しきれず、昨日のルナちゃんのにあったようなことが起こってしまうわけなの。」
「『魔力そのものは人は長時間制御できず、マナの器を介して初めて完全な制御が可能となる』これは魔法を使う上での鉄則なのよ。だから、ルナちゃんのように膨大な魔力が流れ落ちてきちゃう特異体質の人が魔法使いを志すなら、それを全て受け止められるだけのおっきなマナの器を自身の内に形成することが、まず最初にするべきことなの。」
うんうんといった様子で頷きながら聞いていたルナちゃんが、ここで口を開く。
「なるほど、教えてくれてありがとうございます。つまり、コップが小さくて溢れちゃってて、しかも溺れてるみたいな状態なんですね。」
「大きなマナの器の形成……とりあえずわたしの今しなきゃいけないことはわかりました。」
納得した様子で答えるルナちゃん。言い終えると同時に今度はまた興味ありげな様子へとその表情を変え、マーヤ様へと問いかける。
「じゃあじゃあ、例えばなんですけど、このままずっと、でもそんなの関係ないぜって魔法を使い続けて毎回体おかしくなっちゃってたらどうなるんですか?いっつもめちゃくちゃ気持ちいいだけ?あれほんとやばくて、ちょっとわたし癖になっちゃいそうなんですけど。寝る前に1日1回やっちゃってスッキリ熟睡とか、ダメですか?」
「それはやめた方がいいのよ。壁の穴から生の魔力を流し続ける行為を、例えば10年単位で続けたりしたら、どんどん穴が広がって流入量が際限なく増えていっちゃうのよ。結果起こるのは、許容量を超えた快感による神経の焼損とそれによる死、なのよ。」
「……うわぁ。」
気持ちよすぎて死んじゃうってやつなのかな?どれだけすごいのか正直興味はあるけど……でもマーヤ様が言うのならほんとに死んじゃうんだろな。
どっちにしろ普通の体質の私には一生わかんないことか。
「魔力そのものによる快感は、異性との性交渉による快感と違ってとっても直接的なの。そこには愛情も思いやりも躰の結合すらなくって、ただ純粋な快感だけがあるの。だから──ん?2人ともどうしたのなの?」
マーヤ様の口から性交渉なんて言葉が飛び出してきて、私は思わず噴き出してしまった。
ルナちゃんはわぁーという様子で両手で口を押さえて頬を真っ赤に染めてる。
「げほっげほっ……いやだって、マーヤ様、その、せ、せ、セックスって、ほらその……。──」
「そこなの?マーヤの歳を考えるのよ。経験はなくともそれぐらいは知ってて当然なのよ。えっへん。何なら性交渉の正しいやり方について今からみっちりじっくり──」
「だめだめ、だめですってばマーヤ様!」
「……あ、わたしそれちょっと聞きたいかも──」
「ルナちゃんもだめー!!」
胸を張って自慢げに性知識を語ろうとするマーヤ様と、性的好奇心からそれに乗っかろうとするルナちゃん(14)を必死に止める私。
まあとりあえず、単に知識が豊富なだけでマーヤ様にそういう経験自体はないようで、そこはなにより……。
やっぱり人は見た目によらないってことを、マーヤ様はいつもこうして身をもって教えてくれるのだった。
そして、ルナちゃんの胸に手を当ててしばらく目を閉じた後、マーヤ様は例の如く一瞬で原因を特定し、それを話し始める。
相変わらずとんでもない人だ。こんなちっちゃいのに。人は見た目によらないってことを身をもって教えてくれてる。
「結論から言うと、これはルナちゃんの体質に起因して発生している問題なの。ルナちゃんの中では、上位次元と下位次元を隔てる壁が脆かったり一部無かったりするの。」
「普通はその壁がしっかりしてるはずなのに、わたしはそうじゃないってことですか?壁がないと何かやばかったりするんですか?」
「普通に生活する分には、別にやばいことはそんなにはないのよ。むしろ情緒が豊かだったり感覚が鋭敏な分、魔法の習得が人並み外れて早くて、早くからとんでもない威力の魔法を使えたりするって利点もあるの。……ただ──」
「……ただ?」
私は相槌を打って、マーヤ様の次の言葉を待った。
私の教え方がいけなかったとかじゃないのは、はっきりして一安心だけれど、本当に重要なのはここからだ。
「──いざ魔法を使うとき、空いた穴から滝のように魔力が上位次元から下位次元に流れ落ちてきてしまうの。この魔力はマナの器に入っていない生の魔力だから、使用者はそれを制御しきれず、昨日のルナちゃんのにあったようなことが起こってしまうわけなの。」
「『魔力そのものは人は長時間制御できず、マナの器を介して初めて完全な制御が可能となる』これは魔法を使う上での鉄則なのよ。だから、ルナちゃんのように膨大な魔力が流れ落ちてきちゃう特異体質の人が魔法使いを志すなら、それを全て受け止められるだけのおっきなマナの器を自身の内に形成することが、まず最初にするべきことなの。」
うんうんといった様子で頷きながら聞いていたルナちゃんが、ここで口を開く。
「なるほど、教えてくれてありがとうございます。つまり、コップが小さくて溢れちゃってて、しかも溺れてるみたいな状態なんですね。」
「大きなマナの器の形成……とりあえずわたしの今しなきゃいけないことはわかりました。」
納得した様子で答えるルナちゃん。言い終えると同時に今度はまた興味ありげな様子へとその表情を変え、マーヤ様へと問いかける。
「じゃあじゃあ、例えばなんですけど、このままずっと、でもそんなの関係ないぜって魔法を使い続けて毎回体おかしくなっちゃってたらどうなるんですか?いっつもめちゃくちゃ気持ちいいだけ?あれほんとやばくて、ちょっとわたし癖になっちゃいそうなんですけど。寝る前に1日1回やっちゃってスッキリ熟睡とか、ダメですか?」
「それはやめた方がいいのよ。壁の穴から生の魔力を流し続ける行為を、例えば10年単位で続けたりしたら、どんどん穴が広がって流入量が際限なく増えていっちゃうのよ。結果起こるのは、許容量を超えた快感による神経の焼損とそれによる死、なのよ。」
「……うわぁ。」
気持ちよすぎて死んじゃうってやつなのかな?どれだけすごいのか正直興味はあるけど……でもマーヤ様が言うのならほんとに死んじゃうんだろな。
どっちにしろ普通の体質の私には一生わかんないことか。
「魔力そのものによる快感は、異性との性交渉による快感と違ってとっても直接的なの。そこには愛情も思いやりも躰の結合すらなくって、ただ純粋な快感だけがあるの。だから──ん?2人ともどうしたのなの?」
マーヤ様の口から性交渉なんて言葉が飛び出してきて、私は思わず噴き出してしまった。
ルナちゃんはわぁーという様子で両手で口を押さえて頬を真っ赤に染めてる。
「げほっげほっ……いやだって、マーヤ様、その、せ、せ、セックスって、ほらその……。──」
「そこなの?マーヤの歳を考えるのよ。経験はなくともそれぐらいは知ってて当然なのよ。えっへん。何なら性交渉の正しいやり方について今からみっちりじっくり──」
「だめだめ、だめですってばマーヤ様!」
「……あ、わたしそれちょっと聞きたいかも──」
「ルナちゃんもだめー!!」
胸を張って自慢げに性知識を語ろうとするマーヤ様と、性的好奇心からそれに乗っかろうとするルナちゃん(14)を必死に止める私。
まあとりあえず、単に知識が豊富なだけでマーヤ様にそういう経験自体はないようで、そこはなにより……。
やっぱり人は見た目によらないってことを、マーヤ様はいつもこうして身をもって教えてくれるのだった。
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