引きこもり14歳女子の異世界デビュー ─変わり者いじめられっ子の人リスタート─

さんじゅーすい

11話 10代少女がお風呂で恋バナ

「今日は盛大に失敗しちゃったなぁ……リーシェちゃんの忠告聞いて、もっとちゃんと練習してから行けばよかったです……。」

「実戦の緊張とか期待とかその他諸々で、なんかすごいやばいことなりました、主に体が。……このうら若き乙女の体が!はいここ重要、テスト出ますよー。」

「エロ漫画のおかしくなっちゃうー、みたいなのが本当マジだったことを深く実感した1日。やばい。あれほんとやばい。頭のてっぺんまでなんかすっごいぐわーって昇ってきちゃうし、めっちゃ勝手にえっろい声出まくるし。てゆーか、女子中学生が背中撫でられて絶頂連打イキスギとかこれもう完全にリアル幻想ファンタジーだよ。いやマジで。」

「ネットに上げたら100万PVも夢じゃなかったね、あの貴重映像は。女子中学生がいって・・・みた。みたいな?うわやっばい、光より速く一瞬でBANじゃん。後で某動画サイトで、下手な笛の音鳴ってる真っ暗な画面で『再うpキボンヌ!!!』ってコメント流れまくるやつじゃんこれ。わたしマジ有名人。」

帰って来たときは元気がなく、浮かない顔をしていたルナちゃんだったけど、得意げによくわかんない事言って、冗談のネタに出来るぐらいにはいつも通りのルナちゃんだ。
今日はルナちゃんを慰める意味も込めて一緒にお風呂に誘ってみたんだけど、余計な心配だったかも。

ちなみにガイストは、帰って来たとき迫真の演技でルナちゃんが魔法の使いすぎで倒れたってことを説明してくれた。まあルナちゃんの名誉を守るための嘘なんだけど。
すごい熱演で、裏の事情を知ってなければ、私でも嘘を見抜けなかったかも知れない。

「練習と実戦じゃ気持ちの面で全然変わってきちゃうからね。……でも変なんだよね。感覚はあくまで魔法を使えるまでのきっかけとして利用するもので、魔法を使えるようになれば、くすぐったいとかそういうのは感じたりしなくなるものなんだけどね。……でもルナちゃんはそうじゃなかった。」

「そうなんですよねー。魔法使えるようになってからも、変なとこむずむずするの全然収まらなかったし、今日はもっとやばいことなっちゃうし……これ何とかしないと、ちゃんと魔法習得したってことにはならないですよねぇ。」

全くその通りで、今のまま魔物討伐なんてやってたらじゃルナちゃんが危険な目に遭う可能性も高い。つまり、冗談じゃ済まないレベルの話でもある。
それに、私の教え方が良くなかったのかも知れないって心配もある。

でも、そんな色んな問題を何でも解決してくれる心強い味方が、私たちには付いている。

「ルナちゃん、明日2人でマーヤ様のところ行ってみない?特にこれって魔法のことだし、きっと解決法を教えてくれると思うわ。」

「はい、ぜひ!がんばって魔法使えるとこまではできたんだから、あと少し!もうひとがんばりですね!……むずむず克服して、ちゃんとした魔法使いになるぞー、おー!」

ざばぁと音を立てて湯船から立ち上がりつつ、ガッツポーズで決意表明をするルナちゃん。
やっぱりかわいい。ほんとかわいい。


「それでそれで、時にリーシェちゃん。」

興味津々と言った様子で私の顔をのぞき込み、ルナちゃんが私の名前を呼ぶ。

「なに?ルナちゃん。」

「リーシェちゃんって今好きな人、いますか?……あ、これ恋愛的な意味ですよ、もちろん。みんな大好き!(はぁと)とかそーゆーの求めてないですからね?てゆーかいますよね?ね?」

「ど、どうしたの急に、そんな。」

「どうって、年頃の女の子が一緒にお風呂入ったら──」

ここで一旦止めて、すぅーっと息を吸ってためを作るルナちゃん。
私はごくりと唾を飲んでルナちゃんの次の言葉を待った。

「──恋バナするものなんですよ!!」

……。

理由なんてなかった。勢いしかなかった。いや、そもそもルナちゃんはそういう子だった。でもルナちゃんのそういうとこは結構好き。
そしてそういう意味での好きな人を答えて適当にはぐらかす道は、ルナちゃんに先手を打たれて封鎖されている。ルナちゃん手強い。

いるって言ったら明らかに1人しかいないからバレバレだし、いやむしろ口ぶりか
らして既にバレてて、ただ確認のためだけに聞かれてる気もするけど、まあルナちゃんになら知られても別にいいので、ここは正直に話すことにしよう。

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