彼女が俺を好きすぎてヤバい
うまく言えないが、とにかくヤバい。(5)
遥は、見知らぬ女子学生と話をしているようだった。
近づいてコッソリ聞く。
「知り合い?」
「知らない人」
じゃあなんで立ち話? と聞く前に、女子学生が怒り出す。
「ちょっと! 月城様に近づかないでくれます?」
女子学生が遥に飛びかかりそうになるのを、慌てて間に入って止める。
女子学生のリボンの色を確認する。どうやら一つ先輩のようだ。
「ちょ、先輩。落ち着いてください」
「貴方まで! このような半端な輩と居ては、月城の名が泣きますわ!」
こちらにまで怒り出した。なんというか、ずいぶん思い込みの激しい人のようだ。
訂正しようと口を開いたところで、遥が俺の前に出てきて喋りだす。
「ハーイ、スミマセーン。おうちの話は事務所的にNGでーす。翼さん、捌けますンで通してクダサーイ」
「変なこと言って誤魔化さないでくださいまし!」
「えー」
遥がわざとらしく口をとがらせてぼやく。
女子学生は腰に手を当て叫ぶ。
「そもそも、貴女。上級生に対して失礼ではありませんのっ?」
「名乗りもしない、礼を欠いた人に与える敬意は持ち合わせてないの」
先ほどまでとは打って変わって冷淡な声で即答した遥に、女子学生は言い淀みつつも、ビシッと指差し叫んだ。
「っ! わたくしのことを知らないとは、やはり所詮は余所者ですわね。わたくしは青谷木 千晴。瀬野 遥さん、貴女に決闘を申し込みますわ!」
「だがことわる!」
キメ顔で即答する遥に千晴が憤る。
「なぜ!?」
「いやぁ、それ私受けてもメリットないしィ」
遥が肩をすくめて応えると、千晴は腕を組んで言い返してきた。
「あら、逃げるんですの?」
「やっても無駄な争いはしないよー」
「っ、そんなのやってもなくては分かりませんわ! 貴女、勝つ自信がないからそうおっしゃるんでしょう?」
千晴の言葉に、遥はニヤリと笑って、
「いいよ。じゃあやってみようか。誰かー代理人ー」
と少し大きめの声を出して手を上げ周りを見渡す。
すると、
「あんたまた喧嘩吹っ掛けられてるわけ?」
遥よりも更に小柄な、勝ち気な目に黒い長髪の少女が話しかけてくる。
高等部の生徒会長、鳥鐘 光だ。
「わぁ、会長。ちょうどいいところに」
「喧嘩ではありませんわ! 粛清です」
「粛清は政治的な表現よ。口を慎みなさい」
口を挟む千晴に、光がぴしゃりと返す。
「私では身内になってしまうから、生徒会から誰か出しましょう」
光はそう言って、後ろに控えていた大男、副会長の緑蓮 高志に生徒会メンバーと連絡を取るように言いつける。
決行は今日の午後ということになった。
千晴が睨んで去っていったのを見送って教室に戻る。
「瀬野ぉぉぉ~!!」
今年も担任になってしまった青谷木が、既に話を聞きつけていたらしく、怒り心頭だった。
「わっ、先生」
「お前! 反省文と報告書がまだだろうが! そっちが先だボケェ!」
「いや! そっち片づけたらちゃんと出しに行きますからぁ。ご勘弁をォ~」
近づいてコッソリ聞く。
「知り合い?」
「知らない人」
じゃあなんで立ち話? と聞く前に、女子学生が怒り出す。
「ちょっと! 月城様に近づかないでくれます?」
女子学生が遥に飛びかかりそうになるのを、慌てて間に入って止める。
女子学生のリボンの色を確認する。どうやら一つ先輩のようだ。
「ちょ、先輩。落ち着いてください」
「貴方まで! このような半端な輩と居ては、月城の名が泣きますわ!」
こちらにまで怒り出した。なんというか、ずいぶん思い込みの激しい人のようだ。
訂正しようと口を開いたところで、遥が俺の前に出てきて喋りだす。
「ハーイ、スミマセーン。おうちの話は事務所的にNGでーす。翼さん、捌けますンで通してクダサーイ」
「変なこと言って誤魔化さないでくださいまし!」
「えー」
遥がわざとらしく口をとがらせてぼやく。
女子学生は腰に手を当て叫ぶ。
「そもそも、貴女。上級生に対して失礼ではありませんのっ?」
「名乗りもしない、礼を欠いた人に与える敬意は持ち合わせてないの」
先ほどまでとは打って変わって冷淡な声で即答した遥に、女子学生は言い淀みつつも、ビシッと指差し叫んだ。
「っ! わたくしのことを知らないとは、やはり所詮は余所者ですわね。わたくしは青谷木 千晴。瀬野 遥さん、貴女に決闘を申し込みますわ!」
「だがことわる!」
キメ顔で即答する遥に千晴が憤る。
「なぜ!?」
「いやぁ、それ私受けてもメリットないしィ」
遥が肩をすくめて応えると、千晴は腕を組んで言い返してきた。
「あら、逃げるんですの?」
「やっても無駄な争いはしないよー」
「っ、そんなのやってもなくては分かりませんわ! 貴女、勝つ自信がないからそうおっしゃるんでしょう?」
千晴の言葉に、遥はニヤリと笑って、
「いいよ。じゃあやってみようか。誰かー代理人ー」
と少し大きめの声を出して手を上げ周りを見渡す。
すると、
「あんたまた喧嘩吹っ掛けられてるわけ?」
遥よりも更に小柄な、勝ち気な目に黒い長髪の少女が話しかけてくる。
高等部の生徒会長、鳥鐘 光だ。
「わぁ、会長。ちょうどいいところに」
「喧嘩ではありませんわ! 粛清です」
「粛清は政治的な表現よ。口を慎みなさい」
口を挟む千晴に、光がぴしゃりと返す。
「私では身内になってしまうから、生徒会から誰か出しましょう」
光はそう言って、後ろに控えていた大男、副会長の緑蓮 高志に生徒会メンバーと連絡を取るように言いつける。
決行は今日の午後ということになった。
千晴が睨んで去っていったのを見送って教室に戻る。
「瀬野ぉぉぉ~!!」
今年も担任になってしまった青谷木が、既に話を聞きつけていたらしく、怒り心頭だった。
「わっ、先生」
「お前! 反省文と報告書がまだだろうが! そっちが先だボケェ!」
「いや! そっち片づけたらちゃんと出しに行きますからぁ。ご勘弁をォ~」
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