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終末屍物語

マシュまろ

第9話「答え合わせと狂った実態」

・「あのー…ひさぎ、そろそろ離してくれると助かるんだけど…」
「…いいでしょ、2年ぶりに会えたんだから。誰でしょーね、2年間も顔見せなかったやつは。」
「…ホント、スンマセン(;´д`)」

 春人は今、ひさぎのいる病室にで彼女がさっきまで寝ていたベットに座っていた。春人の横ではひさぎが彼の腕に抱きついて、頰をスリスリしていた。

「2年ぶりに会ったら正体を隠してて、さらに私のお腹に痺れ薬をうったバカはホントーにどこにいるんでしょうねぇ、春人?」
「…ごめんなさい。(;´д`)」

こんな愚痴ばかりひさぎは言ってはいるが、実際は頰を少し赤くして、目をウルウルさせながら春人に抱きついていた。

「まぁ、良いけど。こうして会えたんだからね。それで?私が寝てたこの3日間、春人は何してたの?」
「え?ああ、それは…」

そう言って、春人はこの3日間、自分が何をしていたのかをひさぎに説明し始めた。

・ひさぎが春人に再開する3日前、春人はタウンの外でヤク達と今回の人間同士の争いで死んだ人間の死体を調べていた。中には突然ゾンビになって起き上がってくる死体もあったが、その度に春人達がそのゾンビの頭を潰していた。

「…なぁ、春人、これで何体目だ?」
「数えてないけど…もう100は潰したんじゃないかな?」

春人がそう言って顔を向けた先には、大量の頭のない死体があった。

「うん。多すぎる。もう倒れてた死体が全部ゾンビになってんじゃないのか?」
「な訳ないだろ…と言いたいが、そうなりそうだな。なぁ、春人。こんな時間差でゾンビになんのか?」
「あるもんだよ。ヤクザさん。手遅れになるのが10分ぐらいってだけで、ゾンビになるまでの時間は体質で変わりますよ。」
「へぇー、そんなもんなのか。」

春人の言う通り感染してからワクチンが効かなくなるまで10分が限界だが、それからゾンビとして動き出すのにかかる時間は個人差があった。

「嫌な個人差だな。で、ひさぎだったか?お前の彼女さん、大丈夫だったのか?」
「ああ。ワクチンが間に合って良かったよ。あと5分くらい遅かったらやばかったかも。」
「良かったじゃねえか。それで、お前の拾ってきたあの日記。俺もヤクも読んだが、日記を書いたやつはキチガイか何かか?」
「俺もあの日記を読んだよ。パンデミックが起こる前にもあんなやつを見たことねえよ。」

ヤクザが話をしていたのは春人がひさぎをタウンに運んだ後にヤクザ達に見せていたレインコートの人物達の日記だった。

「盟主様とか救いの光とかわけわからんことばっかり書いてあったな。」
「『救いの光』ってのは多分降ってきたワクチンだと思う。でも、『盟主様』と呼ばれてたやつの正体がわからん。まあ、日記に書いてあったことが本当なんだったらきっとロクでもないやつだろうけど。」
「だな。そういや春人。お前が彼女さんを運んでる間にこんなもんを見つけたんだ。」

そう言ってヤクはズボンのポケットから血の付いた何かのキバを出した。

「レインコートの死体のポケットから出てきたやつなんだけど、これ何の動物のキバだ?春人は知ってるか?」
「何のキバかってお前、それ町にいるようなゾンビになった犬のキバじゃん。特に何も珍しく…ん?待てよ…」

ヤクが取り出してきたゾンビになった犬のキバを見た春人は少し考えた後、近くにあった頭を潰したレインコートの死体をまさぐった。

「何やってんだ?」
「多分…うん。やっぱりあった。見ろよ。コレ。」

死体をまさぐった春人が握りしめていたのはヤクが拾っていたキバと同じくらいのサイズの血の付いたキバだった。

「あ、俺が拾ったのと同じやつじゃん。こいつらのお守りかなんかだったのかな?」
「かもしれないけど多分違う。」
「何でそんなことがわかるんだ?」

ヤクザの質問に答えるように春人は手に握ったキバを近くの頭のない死体の首筋に空いていた穴に差し込んだ。その穴とキバのサイズは同じだったらしく、キバは首筋の穴にぴったりとはまっていた。

「あ!ぴったり!」
「じゃあ、こいつら、死んだ後にゾンビになった犬に噛まれたのか?」
「違うよ、ヤクザさん。」

そう言った春人は差し込んだキバを抜いて2人に向き直り、2人に説明した。

「おかしいとは思ってたんだ。集団で死んで、しばらくしてからその死体がゾンビになって動き出すことはないことはない。でも、今回は違う。多分、さっきから突然動き出したやつらは誰かが人工的に作ったんだ。キバコレを使って。」

それを聞いて理解したヤクが目を見開いて青ざめた。

「じゃ、じゃあ、ここら一帯のゾンビ作ったのって…」
「レインコートの連中だろうな。あいつら殺した人間や死んだ自分達の仲間を全員ゾンビにしやがったんだ。」

周囲を探査して春人達が見つけたのは、レインコートの人物達の狂気とも言えるような実態だった。








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