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終末屍物語

マシュまろ

第7話「迷惑な救いの光」#3

・春人が思考を再生させた時にはついさっきまでレインコートの人物達がいた場所に立っていた。周りを見渡して見るとさっきまでここにいた4人が頭を消されて地面に倒れていた。春人はこの4人を自分が殺した事を握っていたバットが血でドロドロになっていることを認識するで理解した。

(俺の思考が停止していたこの数秒の間にいったい何が?いや、今はそんなことより…)

そんな考えを頭のすみにおいやり、春人は自分の足元に倒れているひさぎに近付いた。

(まだやられてそう時間はたっていないな。でも、ゾンビ化の進行が進んでいる。急がないと。)

春人は腰のベルトに付いているバックから緑色の液体の入った細長いフラスコと注射器を取り出し、フラスコの中身を注射器に入れてひさぎの腕に注射した。すると、注射をされたのに気づいたのか気を失っていたひさぎが目を覚まして春人の方を向いた。

「ア、アンタはあの時の…死んでなかったの…!」
「ああ。あんな突き1つで死んでたまるか。」
「じゃあ、も、もう一度…殺して」

ひさぎがそう言って刀に手をかける前に春人は彼女の右手にそっと手を当て、彼女の頭を撫でていた。

「俺の事を許せとは言わないが、無理は良くない。殺し合うとしても何をするにしてもとりあえず寝てろ。そしたら色々な事に付き合ってやる。」

そう言いながら春人はひさぎの頭を撫で続けていた。そんな彼に彼女はどこか懐かしさを感じながら目を閉じて眠っていった。かつて自分をゾンビから逃がすためにゾンビの大群に立ち塞がった自分の最愛の人の面影を感じながら。

・「はぁ…何とかうまくいったな。良かった。本当に。」

 春人はひさぎに注射が効いた事を確認すると大きなため息をついた。今、彼女は春人の応急処置を受けた後、彼の膝の上で小さく寝息をたてながら寝ていた。

(とっさに腰の鞄の中にあったワクチンをひさぎにうったはいいが効かなかったりしたら本当に大変だった。まぁ、さて…。それはそうとして。)

春人はひさぎの安全の確認をすると今度は自分の周りに転がっている頭のない死体に目をやった。

(この死体を作ったのが俺だということは理解できる。でも、こればっかりは調べなければならない。)

そう考えながら彼は頭のなくなった死体の1つ調べていた。

(変な色の液体の入ったフラスコを持ってたからこの死体を調べては見てるけど…特にこれといって何かあるわけでもないわな…ん?これって…日記?こいつのか?)

春人が見つけたのは白い日記手帳だった。

「生前は随分と日記をつけてたんだな…。人の日記を読む趣味はないが…まぁ、見てみるか。」

そこにはこう記されていた。




・2138年 4月6日

 いよいよ我々が求めていた『人類選別の日』まであと4日となった。楽しみで待ちきれない。ああ…早く4月10日にならないだろうか。




「2138年の4月6日…おいおい、これってゾンビパンデミックの起こる4日前じゃねえか!じゃあ、このレインコートの連中はパンデミックが起こることを知ってたのか?」

さらに日記は続いていた。




・2138年 4月10日

 遂に、遂に!夢にまで見たこの日が来た!町は今我らの盟主様の『審判の光』を浴びた者達が徘徊している。今まで下等なサルどもが築いて来た文明が音をたてて崩壊していくのが分かる!最高だ!これぞ救い!神の、我らの盟主の御意志!ああ、素晴らしい!感動だ…。」




「『審判の光を浴びた者達』?…ゾンビのことか?というか、この『盟主様』って誰だ?誰のことだ?……わからん。日記を書いたこいつがなんかの信者で狂ってるのくらいしかわからん。他には…あ、これ、今日の日付だな。




・2140年 4月12日

 審判の光が降り注いでから2年、今日やっと『救いの光』が空から降ってくる。この『救いの光』を回収する役目に私が選ばれた。これ程に名誉な事はない!さらに盟主は他の兵を与えてくださった。この任務、成功させなければ。




「『救いの光』ねぇ…俺たちのテリトリーに降って来たあのワクチンのことか。じゃあ、この日記の持ち主は、このレインコートの軍団を使ってワクチンを回収しようとしてたわけだ。こう言ったらあれだけど、こいつらとこの人間達が鉢合わせになってくれて助かったな。」

そんな独り言を言っていると向こうからヤク達が春人の姿を確認して、春人の方に向かっていた。それを見た春人は自分の側で寝ているひさぎを抱えてヤク達の方に向かっていった。

「まったく…迷惑な救いの光だったな。」




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