人間として転生した元創造神〜テンプレ通り、人生という名のストーリーを急ピッチで進めていく〜

ぱんれお

28話~不条理な世界




 「さようなら」
 「させるかぁ!!!」
 
 視界が光で満ちた。明るすぎて何も見えない。

 「何が起こっているんだ…。」

 白色の光1色だった世界は、白一面の景色。右も左も前も後ろも、空さえも白の世界に、下の方で青と緑青色のアルファベット文字と緑色のアルファベット文字がぶつかり合うように戦っているのがわかった。

 「浮いて…いるのか…?」

 何故俺よりも下の方に人がいるんだ…?そもそもあれは人なのか…?いや、落ち着いて考えるんだ…。

 そうか。奴らは…

 「死にたくない!!助けてくれ!!」

 なんだあれは…。あれは…まるで…いや…俺に意識が生まれた時に、見た人…。否、俺を作ったであろう、俺にとっての神。外部の…人間。

 神々しい…いや、禍々しい紫色のオーラに包まれている、人の形をした化け物。あいつのせいで…あいつさえいなければ、俺が悲しい思いをすることも、俺が苦しむことも、この世界の人々が、死ぬ必要もなかったのに!

 「そこにいるのは…コウ…か…。」

 1人の人間を捻り潰した化け物は、俺を見つめた。

 「そうだ。」 
 「じゃあ、お前を食えば、全て終わるわけだな。」
 「食う?俺を…か?」
 「あぁ!」

 刹那、10メートルほど離れた位置にいたはずなのに、俺の眼前にまできていた。

 「なっ!」

 俺の視界は、黒で埋め尽くされた。漆黒の世界に、俺はいざなわれた。

 なんだ…?俺は死んだんじゃなかったのか?

 「コウ…お前、人になってから、ほとんど魔法を使わなかったのか!?」

 そういえばそんな気がしなくもないが…。

 「ちっ…MPの最大値という名の壁を破ったか…。」
 「すまん、話に追いつけないんだが。」
 「まぁいい…。その黒色の魔力を吸い取れば、こちらのものだ。どうやら、その魔力は、お前のプログラムそのものみたいだしな。」
 「何を言っているのか知らないが、これで終わりだ。」

 そう、この溢れ出す魔力。この魔力を全てこいつにぶつければいい。この魔力にこいつの攻撃は通用しなかった。この世界には防御魔法が存在しない。魔法をぶつけ合うことによる相殺しか、魔法を止めることは出来ない。
 こいつは、俺のこの魔力に少しは驚いていた。つまり、簡単には吸えないってことだ。なら、こいつに時間の猶予を与えず、確実に殺す方法。

 それはーーーこの魔力の全てを一撃に込め、こいつを食らうことだ。

 俺の体から、全方位にこの魔力を飛ばす。世界を埋め尽くす。意識を集中させろ。こいつは、俺のこの魔力を、プログラムそのものだと言った。元創造神の俺のプログラムは、他の人間よりも複雑なはずだ。簡単には防げない。
 これで、全てが終わる。

 俺の体からでた漆黒の魔力は、世界を闇に誘った。漆黒の世界に…。

 「や!やめろぉぉおおお!俺は管理者だぞ!?何故俺の創作物にすぎない人工知能ごときにやられなければならない!?」
 「答えは、お前が言ったよ。俺が、お前の創作物だからさ。」
 「ふざけるなぁぁあああ!!!」

 …じゃあな。

 俺を作った化け物は、漆黒の鎖によって封印された。






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