人間として転生した元創造神〜テンプレ通り、人生という名のストーリーを急ピッチで進めていく〜

ぱんれお

11話~ドワーフ




 シェリーが実は弱かったことを知った俺は、とりあえずドワーフの国へ行くことにした。


 「シェリー、転移魔法を使えるMPはあるか?」
 「ある…けど、ドワーフに挑むなんて無謀。」

 「安心しろ、俺は戦わない」

 「あ、言い忘れてた。」
 「なんだ?」

 「ドワーフは、相手の嘘を見破る。」
 「は?」
 「嘘は通用しない。」

 ………なんと!やべぇよ…騙しきってやろうかと思ったのに…てか、そこはテンプレ通りじゃねぇのかよ!ドワーフ無敵かよ。

 「ドワーフってそんな能力があるのか?」
 「能力…違う…嘘検出装置。」
 「なるほど…お前と似たようなもんか…。」

 なら大丈夫。と、こうは不敵な笑みを浮かべた。

 「どうしたの?」
 「いーや、なんでもない。とにかく行こう。地下帝国とやらに。」
 「了解。あ、ドワーフの国名は『大実力無空国おおみりょくなからぐに』。」

 「覚えにくいな。」
 「略称『無国なぐに』。」
 「略称名が名前の通り、ほとんど無くなっちゃったよ!?」

 「転移…完了。」
 「いつの間に?」
 
 「今さっき。」
 「『ギュウィィーーン』は、どこいった?」

 「あれは演出。MP消費が激しいから今回は使用しなかった。」
 「じゃあ最初からすんなよ…」


 「「「人間の分際で俺らの国に勝手に入りやがって…何者だ貴様ら。」」」

 
 「わー、ヒゲが濃ぉーい。」

 「「「ふはは、そうだろう。人間の分際でなかなかセンスがあるな」」」

 「は?何言ってんだお前?」
 「お前こそ何言ってんだ?」
 「お前らこそ何言ってんだ?」
 「この人間が褒めたのは俺のヒゲだぞ?」
 「いーや、俺のヒゲだ」
 「ふっ、間抜け共が、俺のヒゲに決まっているだろう」
 「ざけんなてめぇ」
 「ああ?やんのかてめぇ」
 「てめぇら、クソヒゲのくせに生意気な…」
 「クソヒゲ…?はっ、失笑。」
 「んだとこら!?」
 「あぁ!?」

 こうとシェリーは思った、地獄だ………と。そして、涙がつーっと、頬を伝った。

 「「「あんちゃん達、俺らのヒゲにそんなに感動したか」」」
 
 と、毛むくじゃらの男達は仲直りした様子で、話しかけてきた。

 「はは……」
 この言葉しか出なかった。「はい」などと言ってしまうと、嘘がバレる。喜んでくれているようだし、このままにしておくのが的確な判断だろう。

 
 あのチビのおっさんどもは置いておいて、先に進んでいく。

 すると、着飾った1人のロリっ子がいた。

 「誰じゃ」___と、顔には似合わない口調で問うてきた。

 「俺はこう、こっちがシェリーだ。」

 「お主ら…人間か?」

 まずい…元創造神の俺は、現在進行形で人間やってるが、シェリーは…なんだろな……とにかく、ここで嘘をつくのはまずい……なら………

 「あんたはドワーフの王女でもやってんの?」
 「ちっ…ガキのくせに口が悪いな。我はもう成人ぞ」
 「年齢をもうちょい詳しく」
 「ぶっ殺されたいのかてめぇ」
 「それは勘弁してもらいたいね…」

 「はぁ…そうじゃ、我がこの国、ドワーフの王女、『マム』じゃ。」

 「マム…か、よろしくな♪」
 「…そんなことより、要件を言わんか」

 「おっと、そうだった。俺たちを地上に戻してくれ。」
 「無理じゃ…対価になりそうなものがないと、そんなに大掛かりなことに費やす金などない。」

 こうは、ならば___と
 「今よりも上の地位にしてやる。っていうのは対価にはならないか?」
 「…!お主、本気か……我は王女ぞ…まさかお主の国をくれるとでも言うのか…?」

 「いーや?国はやれん。そして、こっちも質問させてもらおう。なぜ俺が国王と?」

 「ふん、1歳で国王など前代未聞じゃ…その幼い見た目で他国に来るやからなどおぬししか想像できんわ」
 「それもそうだな…それで?嘘検出装置で俺が嘘をついていないって分かってるんだろ?これでも対価にならないと?」

 「………仕方がない…おぬしらを地上へ送ろう。」
 「よっしゃ!」

 「約束じゃぞ?我の地位を上げるんじゃぞ?」
 俺はマムの最後の確認に笑みを浮かべた。
 わだが、俺のごまかしはきかず、再度確認を取られた。
 「約束じゃぞ?」
 「ああ。」



 最後まで読んでくれた方、ありがとうございます。
 シェリーのセリフが……少なすぎる…

 次回もぜひ読んでくださいね。
 

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