願いは願いのままに
3
 
  予想が的中したらしく、ボクが向かった空き地となっていた場所には大きな門が聳え立っていた。
 門から左右に高めの塀があり、まるでこの先に牢獄でもあるかのようだ。
  
 けれどその門には龍やペガサスに鳳凰といった伝説の生き物の彫刻がされていて、よく見ると細部まで丁寧だ。
 さぞ腕のいい彫刻家を雇って彫らせたんだろう。
 無駄な金だ。
「おぉー!ここが特別練!」
「ッ・・・」
 呆然としていた訳では無い僕の後ろから
突然溌剌とした陽気で大きな声が聞こえた。
  僕は声は出なかったものの吃驚し、勢いよく振り向いて後ろに五歩下がった。
 
 「お、悪い!
驚かせちまったか?」
 
 そいつは首を掻いて申し訳なさそうに、けれどその明るい笑顔は崩さず僕にそう言った。
 だがその言葉でいい気になれないのが僕のプライドの高さだ。
「別に。
君に驚かされたつもりは無い。
知らない人間に近寄られたら、遠のくのは当然だろう。
勘違いも甚だしいな」
「そうか?
俺は冴島陽向!
よろしくな!」
「君とよろしくするつもりは無い。
あまり馴れ馴れしくしないでくれるか。
不愉快だ」
 差し出されたその大きな手を、僕は無視して背を向ける。
 するとさっきまで固く閉じられていた門が、独りでに開いていく。
 重たい扉はゆっくりと完全に開くと、低めで落ち着きのある、けれど女性だと分かるハッキリとした声がスピーカーから聞こえる。
『中に入りなさい』
 僕は、後ろに居る冴島を置いて足を進めた。
 
  予想が的中したらしく、ボクが向かった空き地となっていた場所には大きな門が聳え立っていた。
 門から左右に高めの塀があり、まるでこの先に牢獄でもあるかのようだ。
  
 けれどその門には龍やペガサスに鳳凰といった伝説の生き物の彫刻がされていて、よく見ると細部まで丁寧だ。
 さぞ腕のいい彫刻家を雇って彫らせたんだろう。
 無駄な金だ。
「おぉー!ここが特別練!」
「ッ・・・」
 呆然としていた訳では無い僕の後ろから
突然溌剌とした陽気で大きな声が聞こえた。
  僕は声は出なかったものの吃驚し、勢いよく振り向いて後ろに五歩下がった。
 
 「お、悪い!
驚かせちまったか?」
 
 そいつは首を掻いて申し訳なさそうに、けれどその明るい笑顔は崩さず僕にそう言った。
 だがその言葉でいい気になれないのが僕のプライドの高さだ。
「別に。
君に驚かされたつもりは無い。
知らない人間に近寄られたら、遠のくのは当然だろう。
勘違いも甚だしいな」
「そうか?
俺は冴島陽向!
よろしくな!」
「君とよろしくするつもりは無い。
あまり馴れ馴れしくしないでくれるか。
不愉快だ」
 差し出されたその大きな手を、僕は無視して背を向ける。
 するとさっきまで固く閉じられていた門が、独りでに開いていく。
 重たい扉はゆっくりと完全に開くと、低めで落ち着きのある、けれど女性だと分かるハッキリとした声がスピーカーから聞こえる。
『中に入りなさい』
 僕は、後ろに居る冴島を置いて足を進めた。
 
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