学園内の最低ランクの学生がこの世の悪を成敗するそうです。(仮)

怪盗80

第29話:狂気の化学者(マッドサイエンティスト)

「おーい、侵入者捕まえたんだが…どうする?」

「適当な場所だとダメだからなぁ…本部にでも連れて行け」

「「了解しました!」」

やけに動きが早い二人はせっせと眼帯の青年を縄ではなく鎖で縛って連れて行く。

「おっ、少し待ってくれ、お前達よく見ない顔だな…新入りか?」

やっべぇ…だよなぁ、普通顔とか見るもんねー。どうしよ…。

「はい、少し前、おばあちゃんが倒れて…お金を稼ぐ為に…」

「そうか…よし!行け!」

冷斗が機転を利かせて言った台詞で救われたが…。
何故か涙ぐみながら俺たち二人の背中を見送る見張りは馬鹿なのかアホなのか分からないが間違いなく職場を間違えている。
人影が無くなってきたら仕方なく外していたマフラーをまた巻いた。

「すまん、結構キツく縛ってるけど痛くないか?」

「だ、大丈夫…それよりもこれからどうするんだ?」

「葵ちゃんにシズカ学園長を呼んでくれたのはいいんだけど…本当にここからどうする?」

「決まってんだろ…」

大きな扉の前で相談する三人は大体これからやる事を分かっているのだろう。
各々自分の装備や武器を持ちはじめた。
冷斗と眼帯は目の前の扉を開けると隙間から鎖をねじ込んで扉を破った。

「な、なんだ!!だ、誰だ!こんな死に急ぎをする馬鹿は!」

黒煙の中では銃を持ちながら銃口を向ける人影とナイフを構える人影、そして辺りに鎖が漂わせ夏なのに季節外れのマフラーをなびかせる三人の人影があった。




「どうもー、ここに居る屑野郎達を掃除に来ました」

爆風によって出た黒煙が俺たち三人の足元を戦隊ヒーローが登場する時のような感じになっていた。

「なんだこのガキ!さっさと潰せ!」

混乱する状況の中、冷静な判断で普通の銃口から弾丸を五発撃つ。
だが、その内一発は研究員に着弾し、残りは全て途方も無い場所に当たった。

「待て待て、もしかしてお前…」

「僕さ…この銃だとめちゃくちゃノーコンなんだよね♪髪の毛が邪魔でさ♪」

「おい、どうするんだ?このままだとバッドエンド真っしぐらだぞ?」

慌てる様子もなく短剣を構える眼帯は冷斗の方を見た。
いつもみたく冷静な顔をして笑い掛ける冷斗の顔を信じてみる。

「だから…ね♪」

急に走り出すと近くの敵の腹部に弾丸を撃ち込んだ。
髪を搔き上げて間合いに入りながら同時に相手の攻撃をいなしていた。
弾丸が着弾した所を囲うように厚い氷の塊に覆われていた。

「この古代武装…絶対零度の弾丸アブソリュート・ゼロ・バレットならそんな事関係ないんだけどね」

髪を搔き上げてカッコつけながら銃をクルクル回す冷斗。
まず、さっき聞いていたが本当にあの冷斗が古代武装を持っている事に驚いたがそれよりも…。

「絶対に今自分カッコいいとか考えてるよね…ヤベェ奴だよきっと…」

「ま、まぁ…悪い奴じゃないからな…」

「はいそこ〜僕が傷つきそうな事言わない」

眼帯は真面目に俺に話し掛けて茶番のような感じがするが現在もれなく戦闘中である。
走り出してくる敵を一人ずつ拘束していきながら鎖で二人を援護する。
眼帯は自身の短剣を巧みに使って前の敵を制圧し、冷斗は近づいてくる敵の足を古代武装で凍らせて動きを制限させる。
数分もしない内にこの部屋は制圧できたがカイトは縛り上げている一人の胸倉を掴んだ。

「なぁ…お前らはなんでこんな事しやがった!こんな…こんな事して何も感じないのかよ!」

「し、知らねぇよ…俺らはただ新しい兵器を作っていただけだ!」

眼帯に肩を掴まれて振り向いた。
振りかぶった拳を止めるとそこに立っていた眼帯は苦虫を噛み潰したような顔をしていた。

「…こいつらに怒りをぶつけても駄目だ、逆に体力を使うだけだ…」

「眼帯…お前…」

「カイト君…君の思っている事もよく分かるけど…今この場で怒っている人は君だけじゃない、僕もその一人だからね」

「そうかいそうかい、なんでお前が裏切ったのかよーく分かったよ、ジョョョョカァァァ!」

静まり返っていた部屋に叫びながら入ってくる白衣を着た3〜40歳くらいの男性がいた。
目はギラギラとしてヤバイ薬でもやってんのかと思うくらいな目だった。
髪もボサボサで長く、黒色の髪に緑色や黄色の蛍光色の色が入っていた。
そして白衣には試験管などが収納されておりいかにもマッドサイエンティストと言える格好だった。

「僕の研究をよくも壊してくれたなぁぁぁぁ!!あの研究さえ成功したら僕は幹部になれたのにぃぃぃぃ!」

「あいつは?てか、ジョーカー?とか言ってたけど…」

「この研究所所長の魔黄 泉まおう いずみだ、ただの屑野郎って言った方が早い。そして、ジョーカーは本部内での僕の呼び名」

「そうか…。
なぁ…その研究とやらは楽しかったか?」

ゆっくりと落ち着いた様子で淡々と話し始めた。
室内な為、風も吹いてないのにマフラーがなびきゆらゆらとゆれていた。

「あ?あぁ、とても優雅な研究だったよ。
だって自分の異能で人間を生物兵器に変えられるなんてとても素晴らしいじゃないか!」

「なら…子供達はお前のモルモットな訳か?」

また言葉を繋いでいるカイトの顔が冷斗と眼帯からは見えなかった。
見ようとしてもマフラーが激しくなびいて良く見えなかった。

「そぉぉだよ?でも感謝はして欲しいなぁ、この天才な僕の研究の役に立てたんだからさぁぁぁ!」

「そうか……」

右腕を上に上げると地面から数十本の鎖がマフラーの様に荒く各々に動いていた。
その様子を例えるならキリキリと音を立てて意思を持ち指示を待つ鎖の生き物の様だった。

「なら…何やっても大丈夫そうだな」

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