毒手なので状態異常ポーション作る内職をしています

桐生 舞都

side:ブラッド_3


 群れなして襲ってくるロボットの大群を蹴散らしながら、ブラッドはともに戦う“仲間”たちを見ていた。

 ――仲間の存在、か。

 我がこのような想いにかられるとはな。


「――この大群、資源のムダ遣いだとは思わないかい?」

 アイザックを見ると、ロボット達相手にポーションを投げつけて攻撃していた。
 彼が投じるポーションは百発百中で、機械の塊をよく足止めしてくれている。

 アイザックは、戦闘では目立ちこそしないが。調合学の知識で、度々パーティーを助けてくれた。
 彼がいなければ、コーキ達がここまでたどり着くことも無かったであろう。
 当然、コーキがブラッドと巡り会ったかどうかも。

「……ロボットが次から次へと――大丈夫ですよねこれ? 私たち、こんなところで負けたりしないですよね? どうなんでしょう――」

 カティアは、そう心配そうに言いつつも、大きな斧で次々と敵を串刺しにしていた。
 彼女がいなければ、エルとレイラに始まるこの騒動、どうなっていたことやら。

「へーきだよ、カティアさん。むしろ博士のとこまで体力を温存するくらいの気持ちで相手しなきゃね」

 それから、エル。
 いっけん掴み所がないようにふるまってはいるが、その実は腹の内にとんでもないものを抱えている少女だった。
 まったく、レイラと並んで今回のトラブルメイカーであったな。

「コーキ、どうか、無事でいてくれよ――」

 レイラの口からそんな言葉が飛び出したのは、かなりの衝撃だった。

 復讐は連鎖するもの。それゆえ、憎悪の種は完璧に始末しなければならない。
 それがブラッド自身の哲学である。

 だから、彼女を赦《ゆる》す、というコーキの選択が正しかったのかどうかは判らない。

 だが、レイラのその言葉を聞いて、ブラッドは

「――フッ、悪くないな」とつぶやいた。


 息子であるコーキが人々との関わりを経てどんな結末を辿るのかは、少し前までのブラッドの一番の興味であった。

 毒手使いとして最強を極めた今、ブラッドは己の能力に行き詰まりを感じていた。

 だから、相反する作用を知りたかった。

 その代表が、仲間という存在のこと。

 ブラッド自身が懐疑的だった、『仲間』というものに。

 自分のようなはぐれものや、レイラのような過去の因縁を抱えた者。必ずしも考え方が同じわけでもないだろう。

 そう。真の仲間とは、たんにベタベタした者どうしのことではない。

 仲間とは、お互いのチカラを認めあい、尊重する関係。たとえ考えが合わずとも、互いを認められる。

 ブラッドは、コーキ達とは逆に、最強のため、他者との関わりをできるだけ絶ってきた。

 だがブラッドは、コーキ達パーティーと過ごすうちに、自身が『孤独』と『仲間』という一見相反する価値を吸収し、完璧に取り込んだのを自覚した。
 それはブラッドにとって、さらなる高み、最強のその先へと繋がる道しるべとなって、この瞬間に昇華された。

 そして、ブラッドは最後にカリンのことを思う。この場には居合わせないが。

 アイザックの弟子で、コーキとは以前から知り合いだったという。

 その時のコーキは絶望の淵にいたようだが、ポーションの取引相手である彼女との出会いが、きっかけのきっかけとなったことは間違いないだろう。

 人間にはどんな時でも、きっかけを繋いでくれる他者が存在するのだ。
 ただ、暗闇の中にいるときには、その糸がなかなか見えにくい、というだけでな。

 ところでカリン、あやつ、コーキに対して――まあ、今はいい。

 まずは目の前の戦に集中せねば。

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