毒手なので状態異常ポーション作る内職をしています
3-4
「さっきは助けていただいて、なんか、ありがとうございます」
俺が取り敢えず礼を言うと、彼は首を振った。
「否。これは我が巷で噂の窃盗団の程度を知るべく、あやつらに決闘を挑んだだけの話。
うぬらを助けようなど、木っ端ほども思いはせんぞ。」
「はぁ……」
何だか妙な言い分だ。
殺気が消えてから改めて男を観察すると、彼は二十代後半ほどに見えた。
だが、その佇まいは見た目の若さに反して何とも言えないような落ち着きがあった。と言っても、それはアイザックさんのような知的なそれとは異なり、奇妙な不自然さがあった。
その雰囲気には、そこらの二十代よりも遥かに人生経験を積んだかのような老練さ、そして一種の諦めのようなものが感じられるのである。
「おい、さっきの強い奴!
ずいぶんと体術に秀でてるようじゃったが、何者じゃあ!」
他の三人も男の前に寄ってきた。
「それにしても、お前達、ふぅむ……」
「???、なんすか、ジロジロ見て?」
男は呟くと、集合した俺たちを交互に見た。そして、言う。
「左から、『馬鹿力』、『ポーションマスター』、『弓の達人』」
「って、ちょ……!」
男がしたのは「アナライズ」のようだ。これは他人のレベルと能力を見ることが出来るスキルである。
彼はそうして三人の能力を読み上げ、そして俺の前で止まる。
「なんと――これは!?」
男は俺の前で目を丸くする。そして、驚きを隠せない様子で言った。
「『毒手』……だと?」
「な、何なんですか!?さっきから?」
俺は能力を読み上げられ、戸惑った。
「勝手に覗くなんて失礼じゃ」
「失礼です」
女性陣が憤慨したように言う。
街中で他人をアナライズするなんて、普通はやらないことだ。怒る二人を意に介さず、男は俺に、ゆっくりと言った。
「……我は、その力を知っている。
だが、お前を見る限り、まだ不完全の様子。
……毒手について、知っていることを教えてやる。
ついてこい。」
「な!ちょっと、待て!」
男は言い残し、歩き出した。
毒手のことを、知っていることを教える、と言っていたが……?
「どうしましょう……?」
困惑した俺は男の背中を指差し、アイザックさんに聞いた。
「怪しさ満点なのじゃ」
カリンが口を尖らせて言う。隣のカティアさんもご立腹のようだ。
「勝手に他人のステータスを見るなんて、信じられません」
「でも、助けてもらったんだし悪い人ではなさそうだよ」
アイザックさんはそう言うと、少し考えるそぶりを見せた。
「――毒手を知っている、か……
よし、コーキくん、彼の後を追おう。
これはもしかしたら二度と無い機会かも知れない」
そう言うと、男に続いて歩き出した。
「え、ちょっとアイザックさん!」
俺は呼び止めようとする。
「あ、もう角曲がっちゃいましたよ!」
カティアさんが慌てたように路地を指す。
「まったく、もう!」
俺は愚痴をこぼしながら二人の後を小走りで追いかける。残りの二人も駆け足で後ろを付いてきた。
その途中、ほとんど道端に打ち捨てられたかのようなボロボロの看板に目が止まった。赤いペンキで手書きした文字が剥がれかけている。
それは『トーナメント参加者募集中!賞金あり、この道を真っ直ぐ』と書かれているのが読めた。
この道って確か――、
「旧闘技場広場のほうか?」
俺が取り敢えず礼を言うと、彼は首を振った。
「否。これは我が巷で噂の窃盗団の程度を知るべく、あやつらに決闘を挑んだだけの話。
うぬらを助けようなど、木っ端ほども思いはせんぞ。」
「はぁ……」
何だか妙な言い分だ。
殺気が消えてから改めて男を観察すると、彼は二十代後半ほどに見えた。
だが、その佇まいは見た目の若さに反して何とも言えないような落ち着きがあった。と言っても、それはアイザックさんのような知的なそれとは異なり、奇妙な不自然さがあった。
その雰囲気には、そこらの二十代よりも遥かに人生経験を積んだかのような老練さ、そして一種の諦めのようなものが感じられるのである。
「おい、さっきの強い奴!
ずいぶんと体術に秀でてるようじゃったが、何者じゃあ!」
他の三人も男の前に寄ってきた。
「それにしても、お前達、ふぅむ……」
「???、なんすか、ジロジロ見て?」
男は呟くと、集合した俺たちを交互に見た。そして、言う。
「左から、『馬鹿力』、『ポーションマスター』、『弓の達人』」
「って、ちょ……!」
男がしたのは「アナライズ」のようだ。これは他人のレベルと能力を見ることが出来るスキルである。
彼はそうして三人の能力を読み上げ、そして俺の前で止まる。
「なんと――これは!?」
男は俺の前で目を丸くする。そして、驚きを隠せない様子で言った。
「『毒手』……だと?」
「な、何なんですか!?さっきから?」
俺は能力を読み上げられ、戸惑った。
「勝手に覗くなんて失礼じゃ」
「失礼です」
女性陣が憤慨したように言う。
街中で他人をアナライズするなんて、普通はやらないことだ。怒る二人を意に介さず、男は俺に、ゆっくりと言った。
「……我は、その力を知っている。
だが、お前を見る限り、まだ不完全の様子。
……毒手について、知っていることを教えてやる。
ついてこい。」
「な!ちょっと、待て!」
男は言い残し、歩き出した。
毒手のことを、知っていることを教える、と言っていたが……?
「どうしましょう……?」
困惑した俺は男の背中を指差し、アイザックさんに聞いた。
「怪しさ満点なのじゃ」
カリンが口を尖らせて言う。隣のカティアさんもご立腹のようだ。
「勝手に他人のステータスを見るなんて、信じられません」
「でも、助けてもらったんだし悪い人ではなさそうだよ」
アイザックさんはそう言うと、少し考えるそぶりを見せた。
「――毒手を知っている、か……
よし、コーキくん、彼の後を追おう。
これはもしかしたら二度と無い機会かも知れない」
そう言うと、男に続いて歩き出した。
「え、ちょっとアイザックさん!」
俺は呼び止めようとする。
「あ、もう角曲がっちゃいましたよ!」
カティアさんが慌てたように路地を指す。
「まったく、もう!」
俺は愚痴をこぼしながら二人の後を小走りで追いかける。残りの二人も駆け足で後ろを付いてきた。
その途中、ほとんど道端に打ち捨てられたかのようなボロボロの看板に目が止まった。赤いペンキで手書きした文字が剥がれかけている。
それは『トーナメント参加者募集中!賞金あり、この道を真っ直ぐ』と書かれているのが読めた。
この道って確か――、
「旧闘技場広場のほうか?」
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