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性転換した結果がハッピーエンド

Natrium リウム

オカルト部での失敗

___朝だ。何故この時間帯から大きな声で話せるのだろうか。
教師に決められた端っこの席に座り、ノートに書いたオカルト部の内容を読んでいた。すると、野球部の大嶋が突然こっちに向かって来た。
「おい矢部ー。ちょっとそのノート貸せ」
「…え?…な、なんで?」
「いーから。ほら」
「…」
度胸が無い僕は、当然言い返せる筈もなく、あっさり取られてしまった。するとノートを持っていた大嶋が、窓からノートを投げ出したのだ。
「…ぁ、え?」
「取ってこい!ポチ!」
怒りも沸かず、ただ疑問と呆れしか感じなかった。何だったんだ???
靴を履いて外に出て、ノートのある中庭へと向かう。そしてノートを手に取った時、上から何かが降ってきた。___雨?そう思いながら手のひらを上に向け、待とうとしたその時、降り掛かってきたのは大量の水だったのだ。そしてすぐさま上を見上げると、大嶋が逆さになったバケツを持って嘲笑っていた。
「おうおう!どうしたよポチ!」
多数の笑い声が聞こえたかと思うと、大嶋の隣には男女数名がこっちをみて笑っていたのだ。
すると、さっき湧いてこなかった怒りが湧いてきた。それを握り潰すように、拳を握り締めたのだった。




___放課後。楽しみにしていた仲間との部活動だ。ここには大嶋のような奴はいない。
スクールカーストの最下位の仲間達だ。
「なぁ矢部、ノート持ってきたか?」
「おうよ。持ってきたぜ」
そしてガラガラと扉を開ける音がする。そしてその方向を向くと、部長の伊藤が入って来た。
「…儀式始める。矢部君、詠唱」
「はい」
部長の独特な話し方で合図を貰った後、ノートを開いて詠唱する。噛まずに進み、順調に進んでいた筈だった。しかし途中、水で文字が歪んでいる場所があったのだ。___読めない!
結果、そこだけ誤魔化し、詠唱を終わらしたのだった。
「うん」
部長の優しい声で終わったと思うと、いきなり全てを見透すような目でこちらを見てきた。
「間違えなかった?」
汗が背筋を伝う。
「はい」
真顔だった顔を少し微笑んでいる顔に戻し、儀式の手順が終わる頃、身体に違和感があったのだ。そして部長の1番最後の動きが終わったのと同時に、膝の力が抜けたのだ。
「矢部!大丈夫か?」
「大丈夫?儀式の、影響?」
部長が首を傾げた後、こう言った。
「詠唱、間違えた、でしょ?」
返事も出来ない位に苦しくなり、視界が真っ白になった後、急に身体が軽くなった。
「「「…え?」」」
髪が…長い?制服が…大きい?そして何より気になったのが、自分の胸だった。胸が…ある?
1番に駆け寄ってきたのが部長だった。
「矢部君、だよね?女の子に、なってるよ」
「…え?」
鏡を貸してもらい、除くと、そこには美少女の顔が映り込んでいた。いつもの冴えない顔じゃない、美少女だ。
「声も…変わってる……」




先生に事情を説明した結果、オカルト部は廃部になったが、違う名前、違う内容でやる事になった。性転換の件については、矢部一斗のまま受け入れるだそうだ。国に伝えるのは検査や、戸籍の変更などで大変らしいので国には内密にしておく、という約束で生活していくらしい。もし情報を漏えいした者には、厳正な処分が下されるらしい。
しかしまぁ、大変な事になったなぁ…今は教室の扉の前にいる。先生に呼ばれたらドアを開けて入る予定だ。姉に髪の手入れをして貰い、メガネを変え、女子用の制服を買った。
クラスのみんなは受け入れてくれるだろうか…大丈夫だろうか___
「矢部ー!」
先生の声が聞こえる。心臓の位置が解るくらい心拍が早い中、震える手で扉を開けた。

___ザワッ

「…ぁ、改めて、よ、よろしくお願いします…矢部一斗、です……」
「え?あの子一斗?」
「性転換とかマジであんの?」
「可愛いやん」

バンッ

「おいお前らー。可愛いのはわかるけどうるさくするなよー」
そう言ったのは中村先生だった。バスケ部の先生だ。生徒名簿を教卓に叩きつけていた。
そして辺りを見渡すと、大嶋がポカンと口を開けたまま呆然としていた。まぁ、そうなるのも理解できる。
「矢部は席戻れー」
「…はい」
早く性別が戻って欲しい。そう思えるのが今だけだとは、誰も知らなかったのだった。




読んで下さりありがとうございました。書き終わったら投稿しようと思いますので、よろしくお願いします。

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