ATM~それが私の生きる意味~
オーディション結果
オーディション終了後、クロナは真っ直ぐ信二の家へと向かった。終了後は、予め信二の家に集まって反省会をすると決めていたのだ。
玄関のベルを鳴らすと、家の中からドタドタと慌てているような音が聞こえ、すぐにドアが開かれた。
「お、おつかれクロナ。それで、どうだった!?」
信二が切羽詰まったような表情で聞いてくる。どうやらクロナ以上に結果が気になっているようだ。
「ちょっと、落ち着きなって。結果が知りたいのはわかるけど、そんな表情されたらクロナちゃんだって話づらいでしょ」
「あはは。心配してくれてありがとうございます」
苦笑いするクロナ。
「それで、どうだったの?」
「はい。……結論から言うと、私はアイドルになることができるそうです」
「ということは、オーディションに合格したのか!?」
「うーんと、そこら辺はちょっといろいろあるんですけど……」
クロナはどう話したらいいのか迷っている。
「え、どういうこと?」
「……そうですね。じゃあ順を追って説明しますね」
クロナは頭の中を整理してから、二人に事の詳細を話し始めた。
「……それでは、オーディションの結果を発表します」
森重京香のパフォーマンスが終わり、オーディションの結果発表となった。
クロナは意気消沈しながらも、まだ諦めてはいなかった。結果を聞くまでは、まだ落ちたわけではない。
「合格者は……113番の森重京香さんです」
その言葉を聞いたクロナは、静かにため息をついた。合格した京香を見てみると、別段喜んでいるような表情ではなかった。
合格と言われた京香は、審査員のもとへ行き、
「合格おめでとうございます、森重京香さん」
「ありがとうございます」
と軽いお礼を述べた。
「そして54番のクロナさんですが……」
京香の合格の様子を見ていたクロナに、審査員は話しかけ、そして
「HN事務所の飯田社長からスカウトが来ています」
と言った。
「……え?」
審査員の言葉を聞いたクロナは、何を言われたのかを理解できなかった。
「つまり、君もアイドルデビューできるというわけだよ。もっとも、GMプロダクションではなく、私の弱小事務所だけどね」
ステージ裏から初老の男性が現れ、言った。
「あなたは……私の審査をした方ですよね」
「ああ。君のアイドルに対する情熱に感心してね。もし落選した際は是非うちで引き取りたいと申し出たんだ」
「やったじゃん、クロナちゃん。一緒にというわけにはいかないけど、スカウトされるなんてラッキーだね」
京香がクロナに話しかける。
「え、でも……」
「確かに、GMには合格できなかったけど、こんなチャンスなんかめったにあるもんじゃないし、私は受けた方がいいと思うけどな。それに、弱小事務所だろうと本人に実力があればいずれは上にあがってくるでしょ」
「上に……」
「そ。まああくまでも決めるのは自分自身だけどね」
クロナは少し考え、そして
「わかりました。よろしくお願いします飯田社長」
と飯田に向かって礼をした。
「ありがとう、クロナさん。こちらこそ、今後はよろしく」
飯田は手を差出し、クロナに握手を求める。クロナはそれに応じ、飯田の手を握った。
「これで、ライバル同士だね、私たち」
「京香ちゃん……」
「始まりの環境は違うかもしれないけど、最終的には同じ道をたどると信じてるよ」
「うん。こちらこそ、今度会った時はよろしく」
クロナは京香とも握手を交わした。
「じゃあ、またどこかで」
「うん」
京香は手を振り、GMプロダクションの社長と一緒にその場を後にした。
「それではクロナさんも今後の話があるから、こちらへ来てもらってもいいかな」
「はい、わかりました」
クロナも今後の話をするために、飯田の後についていった。
玄関のベルを鳴らすと、家の中からドタドタと慌てているような音が聞こえ、すぐにドアが開かれた。
「お、おつかれクロナ。それで、どうだった!?」
信二が切羽詰まったような表情で聞いてくる。どうやらクロナ以上に結果が気になっているようだ。
「ちょっと、落ち着きなって。結果が知りたいのはわかるけど、そんな表情されたらクロナちゃんだって話づらいでしょ」
「あはは。心配してくれてありがとうございます」
苦笑いするクロナ。
「それで、どうだったの?」
「はい。……結論から言うと、私はアイドルになることができるそうです」
「ということは、オーディションに合格したのか!?」
「うーんと、そこら辺はちょっといろいろあるんですけど……」
クロナはどう話したらいいのか迷っている。
「え、どういうこと?」
「……そうですね。じゃあ順を追って説明しますね」
クロナは頭の中を整理してから、二人に事の詳細を話し始めた。
「……それでは、オーディションの結果を発表します」
森重京香のパフォーマンスが終わり、オーディションの結果発表となった。
クロナは意気消沈しながらも、まだ諦めてはいなかった。結果を聞くまでは、まだ落ちたわけではない。
「合格者は……113番の森重京香さんです」
その言葉を聞いたクロナは、静かにため息をついた。合格した京香を見てみると、別段喜んでいるような表情ではなかった。
合格と言われた京香は、審査員のもとへ行き、
「合格おめでとうございます、森重京香さん」
「ありがとうございます」
と軽いお礼を述べた。
「そして54番のクロナさんですが……」
京香の合格の様子を見ていたクロナに、審査員は話しかけ、そして
「HN事務所の飯田社長からスカウトが来ています」
と言った。
「……え?」
審査員の言葉を聞いたクロナは、何を言われたのかを理解できなかった。
「つまり、君もアイドルデビューできるというわけだよ。もっとも、GMプロダクションではなく、私の弱小事務所だけどね」
ステージ裏から初老の男性が現れ、言った。
「あなたは……私の審査をした方ですよね」
「ああ。君のアイドルに対する情熱に感心してね。もし落選した際は是非うちで引き取りたいと申し出たんだ」
「やったじゃん、クロナちゃん。一緒にというわけにはいかないけど、スカウトされるなんてラッキーだね」
京香がクロナに話しかける。
「え、でも……」
「確かに、GMには合格できなかったけど、こんなチャンスなんかめったにあるもんじゃないし、私は受けた方がいいと思うけどな。それに、弱小事務所だろうと本人に実力があればいずれは上にあがってくるでしょ」
「上に……」
「そ。まああくまでも決めるのは自分自身だけどね」
クロナは少し考え、そして
「わかりました。よろしくお願いします飯田社長」
と飯田に向かって礼をした。
「ありがとう、クロナさん。こちらこそ、今後はよろしく」
飯田は手を差出し、クロナに握手を求める。クロナはそれに応じ、飯田の手を握った。
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