声の神に顔はいらない。
341 与えられる奴はなんだって持ってる
「先輩って運いいほうですか?」
「いいように見える?」
浅野芽依のやつのそんな質問に私は質問で返す。そもそもだ……そもそも、こんな顔に生まれた時点でってことで察してほしい。本当に運がいいやつがこんなゴミみたいな顔で生まれてくる? 来ないでしょ? まあ両親がゴミみたいな顔してるなら、遺伝で納得できるだろう。でも両親はそこまででもない。勿論、ふたりとも別に美男美女ってわけじゃない。でも、ここまでではない。なんで平凡と平凡をかけ合わせてこんなことになるのか……遺伝子の不思議だ。ちゃんと仕事しろよ。
絶対に不具合どこかで起きたと思う。
「いいように見えませんね。けど、ほら顔がそんなんだから、運くらいはって思うじゃないですか?」
「私、好きなアーティストのLIVEのチケットとか当たった事……ない。限定商品とか……目の前でなくなるタイプ……だよ」
「あちゃー。まあそんな顔してますもんね」
こいつは正直すぎるだろう。それは褒めてないからね。むしろ追い打ちだから。
「でもでも、匙川先輩には声があるじゃないですか! 匙川先輩の声と演技は本当にすごいって思ってますよ!」
浅野芽依なんかよりもよっぽどいいことを言ってくれるのは緑山朝日ちゃんだ。まあ緑山朝日ちゃんは普通に顔いいから、私的にはなんか素直に受け取れないんだけどね。それしかないって思ってるんでしょ……的な嫌な感情が湧いてくる。まあそれは飲み込んで「ありがとう」とは言うけどね。
「本当に……若くて可愛いければいいんだから……歪んでしまったわねこの業界」
「時代ですよ。しょうがないことですよ」
緑山朝日ちゃんや浅野芽依を見て北大路さんが肉たらしげにそう言うよ。それに登園さんがやんわりとフォローしてる。まあ実際登園さんぐらいがアイドル声優の走りなんだよね。だからそこは彼女にとっては否定できないんだろう。逆に北大路さんくらいの時はまだ声優とはメディアにバンバン出てLIVEまでやる……なんて存在ではなかった。
「結局貴方もそんな時代の波に流されて消えようとしてるじゃない」
「そうですね。言葉もないですよ。若い時はまだまだ行けるって思ってたんですけどね」
登園さんがそんな事を言わないでほしい。事実なんだろうけど……若くもなくて、人気もない私はどうなるのか……
「とりあえず、このオーディションよ。今の内に会社に所属してる声優の連絡先を調べるわよ」
「ええーなんのためにですか?」
「それは勿論……おっと、あなた達に聞かせられる話じゃないわ。さっさと子供は帰りなさい」
なんか北大路さんの悪巧みに登園さんはつきあわされるらしい。絶対に脅しにかかるつもりでしょ。私達には多分やらないだろうけど……明日のクジに参加させない手を北大路さんは使う気だ。それだけかけてるってことだね。
「まあおばさんの言葉に従うのは癪ですけど、私は仕事も明日いっぱいあるので失礼しまーす」
浅野芽依の奴は相変わらずに神経逆撫でしてくよ。そして緑山朝日ちゃんも頭を下げて去っていく。私も何か出来ることはないだろうか? 浅野芽依のやつもあいつの性格を考えたら何もしないなんて事ないと思う。あいつはそういうやつだ。
私だってなにかしないと、百%クジで当たるなんてない。いや、百パーセントなんてないけど……私が自分が当選できる姿を想像することができない。開運グッズを買いまくっても……それでどうにかなるものなのか……
「おまじないもしようかな……」
私はそう思って再びスマホで検索をしようとした。するとラインメッセージが来た。それはマネージャーからだ。今更なにが? と思って更にハテナになる。だってなんか地下の駐車場に来てほしいって……なんで?
「いいように見える?」
浅野芽依のやつのそんな質問に私は質問で返す。そもそもだ……そもそも、こんな顔に生まれた時点でってことで察してほしい。本当に運がいいやつがこんなゴミみたいな顔で生まれてくる? 来ないでしょ? まあ両親がゴミみたいな顔してるなら、遺伝で納得できるだろう。でも両親はそこまででもない。勿論、ふたりとも別に美男美女ってわけじゃない。でも、ここまでではない。なんで平凡と平凡をかけ合わせてこんなことになるのか……遺伝子の不思議だ。ちゃんと仕事しろよ。
絶対に不具合どこかで起きたと思う。
「いいように見えませんね。けど、ほら顔がそんなんだから、運くらいはって思うじゃないですか?」
「私、好きなアーティストのLIVEのチケットとか当たった事……ない。限定商品とか……目の前でなくなるタイプ……だよ」
「あちゃー。まあそんな顔してますもんね」
こいつは正直すぎるだろう。それは褒めてないからね。むしろ追い打ちだから。
「でもでも、匙川先輩には声があるじゃないですか! 匙川先輩の声と演技は本当にすごいって思ってますよ!」
浅野芽依なんかよりもよっぽどいいことを言ってくれるのは緑山朝日ちゃんだ。まあ緑山朝日ちゃんは普通に顔いいから、私的にはなんか素直に受け取れないんだけどね。それしかないって思ってるんでしょ……的な嫌な感情が湧いてくる。まあそれは飲み込んで「ありがとう」とは言うけどね。
「本当に……若くて可愛いければいいんだから……歪んでしまったわねこの業界」
「時代ですよ。しょうがないことですよ」
緑山朝日ちゃんや浅野芽依を見て北大路さんが肉たらしげにそう言うよ。それに登園さんがやんわりとフォローしてる。まあ実際登園さんぐらいがアイドル声優の走りなんだよね。だからそこは彼女にとっては否定できないんだろう。逆に北大路さんくらいの時はまだ声優とはメディアにバンバン出てLIVEまでやる……なんて存在ではなかった。
「結局貴方もそんな時代の波に流されて消えようとしてるじゃない」
「そうですね。言葉もないですよ。若い時はまだまだ行けるって思ってたんですけどね」
登園さんがそんな事を言わないでほしい。事実なんだろうけど……若くもなくて、人気もない私はどうなるのか……
「とりあえず、このオーディションよ。今の内に会社に所属してる声優の連絡先を調べるわよ」
「ええーなんのためにですか?」
「それは勿論……おっと、あなた達に聞かせられる話じゃないわ。さっさと子供は帰りなさい」
なんか北大路さんの悪巧みに登園さんはつきあわされるらしい。絶対に脅しにかかるつもりでしょ。私達には多分やらないだろうけど……明日のクジに参加させない手を北大路さんは使う気だ。それだけかけてるってことだね。
「まあおばさんの言葉に従うのは癪ですけど、私は仕事も明日いっぱいあるので失礼しまーす」
浅野芽依の奴は相変わらずに神経逆撫でしてくよ。そして緑山朝日ちゃんも頭を下げて去っていく。私も何か出来ることはないだろうか? 浅野芽依のやつもあいつの性格を考えたら何もしないなんて事ないと思う。あいつはそういうやつだ。
私だってなにかしないと、百%クジで当たるなんてない。いや、百パーセントなんてないけど……私が自分が当選できる姿を想像することができない。開運グッズを買いまくっても……それでどうにかなるものなのか……
「おまじないもしようかな……」
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