声の神に顔はいらない。
185 人には個性しかない
「あ、あの」
頑張ってそう声を出したが、どうやら気付いてもらえなかった。ガクンとしたような……けど安心したような……そんな二律背反の気持ちになる。でもここで諦めたらいけない。私はもう一度声をかける。
「あ、あの!」
すると今度は聞こえたのか、三人の女の人が話を止めてこっちを見る。三人の視線が一気に私に向いた事で私は思わず後ずさった。でもここで逃げてはだめだ。今度は私から行くんだ。これまで、皆向こうから来てくれてた。
でもそれだけじゃきっと限界がくる。だから私から行かなくちゃ……もっとこの業界にしがみつく為にも。でもも問題は、声を掛けるって事に意識を集中しすぎてこの後の会話を考えてなかった。まずは声を掛ける。それだけに集中してたせいで……何を言えば良いかわからない。
「あ……えっと……あめましておめでとうございます」
それしかなかった。なにせ、正月明けだ。もしかしたら既にそんな挨拶聞き飽きた人も居るかもしれない。そう思うと怖くなった。でも……
「はい、明けましておめでとうございます」
「あけおめです~」
「明けましておめでとうございます!」
三者三様、皆さんちゃんと挨拶してくれた。それはそうだよね。学生時代ではないのだ。仕事相手にあからさまなイヤな態度は取らないだろう。本心はどうかわからないけど、とりあえず皆さん優しそうだ。私はちょっとだけ心の重りが軽くなった気がした。
「匙川さんですよね。初めまして私はこれから現場で会うこともあると思います。『五正院 華南』です」
五正院さんはとても清楚なお嬢様みたいな人だ。黒髪の長い髪をサイドに束ねて前に流してる。容姿もかなりいい。白く綺麗な肌がとても眩しい。染み一つないとはこのことか。ソバカスだらけの私と違う。
「私はしってるよね。なにせ今まで現場でもあってるし」
「は……はい。『小南』さんですよね?」
「正解~。いや~匙川さんいつもしずかわっちといるじゃん。だから話しかける機会なくてさ」
小南さんは背は低いけど、おっぱいある系の元気系女子だ。服装もスカートとかはあんまり見なくていつもパンツスタイル。髪は明るめの短髪で胸以外は男子っぽい。でもその主張しすぎる旨のおかげでアイデンティティーかあるみたいな……いや、これは失礼かもしれない。
「私もこれらかお世話になります! 匙川さんの演技、とても感動してます。これから勉強させてください!!」
「あ、ありがとうございます」
元気いっぱいである。なにやらこの子はめっちゃ喋ってくる。メモまで取り出してる。色々と聞かれた後でようやく彼女の名前を知ることが出来た。彼女は『遠山 飛鳥』新人声優らしい。
頑張ってそう声を出したが、どうやら気付いてもらえなかった。ガクンとしたような……けど安心したような……そんな二律背反の気持ちになる。でもここで諦めたらいけない。私はもう一度声をかける。
「あ、あの!」
すると今度は聞こえたのか、三人の女の人が話を止めてこっちを見る。三人の視線が一気に私に向いた事で私は思わず後ずさった。でもここで逃げてはだめだ。今度は私から行くんだ。これまで、皆向こうから来てくれてた。
でもそれだけじゃきっと限界がくる。だから私から行かなくちゃ……もっとこの業界にしがみつく為にも。でもも問題は、声を掛けるって事に意識を集中しすぎてこの後の会話を考えてなかった。まずは声を掛ける。それだけに集中してたせいで……何を言えば良いかわからない。
「あ……えっと……あめましておめでとうございます」
それしかなかった。なにせ、正月明けだ。もしかしたら既にそんな挨拶聞き飽きた人も居るかもしれない。そう思うと怖くなった。でも……
「はい、明けましておめでとうございます」
「あけおめです~」
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三者三様、皆さんちゃんと挨拶してくれた。それはそうだよね。学生時代ではないのだ。仕事相手にあからさまなイヤな態度は取らないだろう。本心はどうかわからないけど、とりあえず皆さん優しそうだ。私はちょっとだけ心の重りが軽くなった気がした。
「匙川さんですよね。初めまして私はこれから現場で会うこともあると思います。『五正院 華南』です」
五正院さんはとても清楚なお嬢様みたいな人だ。黒髪の長い髪をサイドに束ねて前に流してる。容姿もかなりいい。白く綺麗な肌がとても眩しい。染み一つないとはこのことか。ソバカスだらけの私と違う。
「私はしってるよね。なにせ今まで現場でもあってるし」
「は……はい。『小南』さんですよね?」
「正解~。いや~匙川さんいつもしずかわっちといるじゃん。だから話しかける機会なくてさ」
小南さんは背は低いけど、おっぱいある系の元気系女子だ。服装もスカートとかはあんまり見なくていつもパンツスタイル。髪は明るめの短髪で胸以外は男子っぽい。でもその主張しすぎる旨のおかげでアイデンティティーかあるみたいな……いや、これは失礼かもしれない。
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