声の神に顔はいらない。
164 大きな子供の、これらかの夢
目の前のプラムを見て思い出す様々な日々。あの日、僕がカメラの前で演技がポンコツになると言う欠点がわかってそれをどうにかしようとしても、どうしようもなかった時、ミーシャさんには捨てられてもおかしくなかった。
それでもここまで付き合ってくれてる。僕は自分の夢は……もう叶えてる。自分の劇団……その夢。そして劇団は大きくなって、今や順調だ。これ以上を求め無ければ何も問題なんてない。けどミーシャさんはもっともっと先を見据えてる。
それは僕の夢ではないが……ないがしろにしていいものでもない。なにせ、ここまでこれたのは彼女のおかげだ。自分の夢を叶えてくれた人の夢はまだ終わってないわけで……その期待にずっと応えないといけないと思いつつ、いつの間にか諦めれてた部分もあった。
でも……自分だけの夢なら満足したが、その夢に誰かの夢が乗っかって更に大きくなってる今、僕は殻をもう一度破らないといけない。
カメラは怖い。それはいつの間にか出来てた苦手意識だ。あの大きな眼球が……何かを吸い取ってる気がする。でも……プラムは輝いてる。その輝きは確かに感じれて……陰るなんて事はない。消えるなんてことはない。そして団員の皆もそうだ。
彼等はこの場に確かな舞台を作ってくれてる。
(そうか……)
舞台ってその場にある物だと思っていた。いや、今までも散々言われてた気がするが、本当の役者はどこでも舞台にする。やはりそれが出来てなかった自分は二流だったのかもしれない。でも、自分の劇団がその舞台を形作ってくれるのなら……団長として、それを感じない訳にはいかない。
僕は背筋を伸ばした。そしてプラムを……いや今は……このPVではアリスとなってるプラムを見る。そして体が動く。ガチガチとしてた筋肉が、まるで流れる流水の様に動きだす。団員によって形作られた舞台を感じろ。それだけでいい。カメラなんて意識はしない。チリチリとまだまだ感じるが……それでも舞台が自分に張り付いてくる。それは一重に、プラムのおかげだった。
僕は何度も衣装を変えて撮影を行っていった。そして日がてっぺんに行き、そして斜めにしずんて行く中……大きな噴水が水の柱で壁を作り出すイルミネーションの中、全ての撮影を終えた。バッシュ・バレルはその場の雰囲気、巡り合わせた人々さえも舞台の一員として使う気のようだ。周囲には沢山の人たちがいる。
舞台よりも……全然近い距離。
「カァァット!!」
そんなバッシュ・バレルの声と共に、沢山の拍手が巻き起こった。舞台が霧散していくのかを感じる。そしてそれらがあのカメラに吸い取られていく様な気持ち悪さ。でも……その場でバッシュ・バレルの仲間が編集した映像を見せられて衝撃を受けた。
編集したその映像の中には僕たちの舞台が……世界が確かにあった。
(そうか……)
僕はその時理解した。吸われてたんじゃない。昇華してたんだと。どっちがいいかじゃない。編集された映像は色々と僕たちが演じた物とは違ってるが、これがバッシュ・バレルが観てた世界。悪くないっておもったんだ。
「ジュエル……やったわね」
そういったミーシャさん。僕は思わず彼女に抱きついた。だって、これで彼女の夢に応える事が出来るのだから。
それでもここまで付き合ってくれてる。僕は自分の夢は……もう叶えてる。自分の劇団……その夢。そして劇団は大きくなって、今や順調だ。これ以上を求め無ければ何も問題なんてない。けどミーシャさんはもっともっと先を見据えてる。
それは僕の夢ではないが……ないがしろにしていいものでもない。なにせ、ここまでこれたのは彼女のおかげだ。自分の夢を叶えてくれた人の夢はまだ終わってないわけで……その期待にずっと応えないといけないと思いつつ、いつの間にか諦めれてた部分もあった。
でも……自分だけの夢なら満足したが、その夢に誰かの夢が乗っかって更に大きくなってる今、僕は殻をもう一度破らないといけない。
カメラは怖い。それはいつの間にか出来てた苦手意識だ。あの大きな眼球が……何かを吸い取ってる気がする。でも……プラムは輝いてる。その輝きは確かに感じれて……陰るなんて事はない。消えるなんてことはない。そして団員の皆もそうだ。
彼等はこの場に確かな舞台を作ってくれてる。
(そうか……)
舞台ってその場にある物だと思っていた。いや、今までも散々言われてた気がするが、本当の役者はどこでも舞台にする。やはりそれが出来てなかった自分は二流だったのかもしれない。でも、自分の劇団がその舞台を形作ってくれるのなら……団長として、それを感じない訳にはいかない。
僕は背筋を伸ばした。そしてプラムを……いや今は……このPVではアリスとなってるプラムを見る。そして体が動く。ガチガチとしてた筋肉が、まるで流れる流水の様に動きだす。団員によって形作られた舞台を感じろ。それだけでいい。カメラなんて意識はしない。チリチリとまだまだ感じるが……それでも舞台が自分に張り付いてくる。それは一重に、プラムのおかげだった。
僕は何度も衣装を変えて撮影を行っていった。そして日がてっぺんに行き、そして斜めにしずんて行く中……大きな噴水が水の柱で壁を作り出すイルミネーションの中、全ての撮影を終えた。バッシュ・バレルはその場の雰囲気、巡り合わせた人々さえも舞台の一員として使う気のようだ。周囲には沢山の人たちがいる。
舞台よりも……全然近い距離。
「カァァット!!」
そんなバッシュ・バレルの声と共に、沢山の拍手が巻き起こった。舞台が霧散していくのかを感じる。そしてそれらがあのカメラに吸い取られていく様な気持ち悪さ。でも……その場でバッシュ・バレルの仲間が編集した映像を見せられて衝撃を受けた。
編集したその映像の中には僕たちの舞台が……世界が確かにあった。
(そうか……)
僕はその時理解した。吸われてたんじゃない。昇華してたんだと。どっちがいいかじゃない。編集された映像は色々と僕たちが演じた物とは違ってるが、これがバッシュ・バレルが観てた世界。悪くないっておもったんだ。
「ジュエル……やったわね」
そういったミーシャさん。僕は思わず彼女に抱きついた。だって、これで彼女の夢に応える事が出来るのだから。
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