声の神に顔はいらない。

ファーストなサイコロ

144 大きな子供の、大きな夢 2

 ジャパンニーズライトノベルに僕は直ぐにはまった。なにせ簡単に読めるのがいい。表紙もいい。小説はよくわからない表紙が飾ってある物なのが普通だが、こちらはアニメ的なイラストである。まあ美少女ばかりなのはよくわからないが。

 それからは色々と片足突っ込んでる程度だったオタク界隈に走って行った。そしてコスプレと言うのをみつけたのだ。勿論こっちでも二次創作とか言うのをやってみようと思った。絵とかは昔から絵心なんて物は持ち合わせてなかったから、ヒーローが出てくる小説とかを書こうとスマホで挑戦してみたが、全く何も出てこなくてびびった。世の中にはプロ、アマチュア問わずに、今や数え切れない程の物語が溢れてるのに、自分には一ミリもその才能がなかった。
 自分には本当に何もない。本当に身長だけ。でもそんな僕にネット友達がコスプレを教えてくれた。最初はただコスプレなんて物でもなかった。ただなりきる……みたいな。好きな台詞を口に出してポーズとるみたいなものだった。

 それが次第に衣装もそれっぽい物を用意したりして密かに楽しんでた。でも僕は他人よりも証人欲求が強いのかもしれない。次第にやっぱり認められたい……とか共用したいとかのが出てきた。だからネットで検索して、そういうイベントでもないかと探ってみた。
 最近は日本のアニメも人気だ。そういうのに染まってる人たちはそれなりにいるはず。そのコミュニティを見つけるのだ。そしてそれは案外簡単に見つかった。昔はこんな簡単に同じ趣味の人たちに出会えるなんて事はなかっただろう。
 けど今はインターネットがどんなに距離が離れれても同じ趣味の人たちをつなげてくれる。まあだけど、今回は幸運にも、そのコミュニティもそんなに遠くではなかった。だから参加をした。

 衣装をもって会場へと行き、そこで着替えて同じ趣味の人たちとお喋りする場だ。ジャパンなら撮影とかをするらしいが、こっちではそれはコミュニケーションの方がメインだ。お気に入りのキャラになって交流を深める。そんな場所。

 まあ何回かカメラを撮られる事はあった。その度にこわばったが、話して、演じる時はそんな事はなかった。違う誰かになるのはある意味楽しいのかもしれない……そう思った。

 そして僕は舞台の門を叩いたのだ。ハイスクールの演劇をやってるコミュニティに入ると、そこで自分も知らなかった才能……と言う奴が花開いたんだと思う。そこは数も五人くらいの小さなコミュニティで細々とやってたが、校外のイベントに参加して劇をやった所、評判になって人数が増えた。それでハイスクールで競い合う演劇のコンクールに出て入賞。このときから、僕はそっちの道に進むと決めたんだ。

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