声の神に顔はいらない。
98 思考がぶっ飛んでる
「おおう、どうしたんだ?」
「どうした? どうしたんでしょうねこれ? それって私の言葉じゃないでしょうか?」
何だろうか……いきなり現れたこの人……とても怖い。相手はここの社長さんですが? 多分ここに所属する声優……だよね? 一緒に現れた男の人が一生懸命頭下げてるのが哀れにみえる。きっと苦労人なんだろうな。
「ああ、そうだ。おまえにも紹介しておこう。彼女は『匙川ととの』君だ。それと――」
「えっと、匙川のマネージャーでこういう者です」
マネージャーはそう言って彼女に名刺を渡す。どっちに渡そうかと一瞬迷ってたけど、近くにいた女性の方にしたようだ。いきなり入ってきた彼女におびえてたマネージャーだけど、マネージャーが名刺を差し出すと、彼女は表情を取り戻して笑顔を作る。
「これはご丁寧にありがとうございます。私もこのしがない事務所に所属してる、一応売り出し中の声優なんです。名前は『橘アリス』です。以後お見知りおきを」
そう言って彼女『橘アリス』は貴族かな? っていう風な挨拶をした。具体的にはスカートの端っこをちょこんとつまんで軽く膝を曲げる奴である。カーテシーって言ったっけ? あれだ。でも昨今の日本ではそんなことをやる奴は、バレエの発表会とかでしか居ないのではないだろうか?
あれはキャラのなのか……それとも地なのか……今の段階では判断できない。
「それでですね社長。どうして他事務所の声優がここに? これは内身で決めるって言ってませんでしたっけ?」
怖い怖い、この子怖いよ。ストンと感情が抜けたような顔するんだもん。絶対にヤンデレだよ。お嬢様然とした上品な顔から人形の様になるんだもん。それに丸っこい顔がちょっと向こうの人形っぽいというか……別段太ってる訳じゃない。むしろ顔はかわいい部類だし、格好もゆるふわ系で男受け良さそうだなって感じ。
私の知ってる中では浅野芽衣みたいで、警戒心が出てくる。
「まあ、そうなんだが、彼女の声が素晴らしくてな。どうしてもと無理を言って声を当ててもらってたんだ」
「ふーん」
なんでこの橘アリスはいきなり目ん玉が動くの? ぎょろっとした感じで動いて私を捉えるから本当にビックリする。てか社長さんは気にしてないの? 絶対にわかってるよね。あの子の……橘アリスのヤバさというか危険さを。どうやらやばい問題に手を出してしまったらしい。
そう思ってると、彼女がこっちに歩いてくる。その歩調は別段普通で、むしろ軽くある。顔もニコニコだ。
「匙川さん、ありがとうございます。 これできっと想像の幅が広がりましたね。社長がここまで言うなんて本当にスゴイ人なんですね。私なんて全然声優としてはまだまだで――」
そういう橘アリスは普通に腰が低いかわいらしい子だった。だから私は思わず「いえ、私も全然……」とか言ったら、更に近づいてきてた橘アリスが私の胸をギュムっとわしづかみにした。モミモミなんてかわいらしい物じゃない。私の胸を親の仇かと言わんばかりに握りつぶそうとしてる。
「――つっ!?」
思わず零れる声。でもそれは小さい、周りには旨く橘アリスが体を使って隠してるのか、気づいてない。そして瞬きせずに、瞳孔を開いた橘アリスが私の目をまっすぐに見てくる。超こええええええええええええええええ!!
「は? 全然なら羽虫のように飛ばないでください……な」
私ではどうしようもない理不尽な事をいってきた。どうしろっていうのーーーーーーーーーーー!?
「どうした? どうしたんでしょうねこれ? それって私の言葉じゃないでしょうか?」
何だろうか……いきなり現れたこの人……とても怖い。相手はここの社長さんですが? 多分ここに所属する声優……だよね? 一緒に現れた男の人が一生懸命頭下げてるのが哀れにみえる。きっと苦労人なんだろうな。
「ああ、そうだ。おまえにも紹介しておこう。彼女は『匙川ととの』君だ。それと――」
「えっと、匙川のマネージャーでこういう者です」
マネージャーはそう言って彼女に名刺を渡す。どっちに渡そうかと一瞬迷ってたけど、近くにいた女性の方にしたようだ。いきなり入ってきた彼女におびえてたマネージャーだけど、マネージャーが名刺を差し出すと、彼女は表情を取り戻して笑顔を作る。
「これはご丁寧にありがとうございます。私もこのしがない事務所に所属してる、一応売り出し中の声優なんです。名前は『橘アリス』です。以後お見知りおきを」
そう言って彼女『橘アリス』は貴族かな? っていう風な挨拶をした。具体的にはスカートの端っこをちょこんとつまんで軽く膝を曲げる奴である。カーテシーって言ったっけ? あれだ。でも昨今の日本ではそんなことをやる奴は、バレエの発表会とかでしか居ないのではないだろうか?
あれはキャラのなのか……それとも地なのか……今の段階では判断できない。
「それでですね社長。どうして他事務所の声優がここに? これは内身で決めるって言ってませんでしたっけ?」
怖い怖い、この子怖いよ。ストンと感情が抜けたような顔するんだもん。絶対にヤンデレだよ。お嬢様然とした上品な顔から人形の様になるんだもん。それに丸っこい顔がちょっと向こうの人形っぽいというか……別段太ってる訳じゃない。むしろ顔はかわいい部類だし、格好もゆるふわ系で男受け良さそうだなって感じ。
私の知ってる中では浅野芽衣みたいで、警戒心が出てくる。
「まあ、そうなんだが、彼女の声が素晴らしくてな。どうしてもと無理を言って声を当ててもらってたんだ」
「ふーん」
なんでこの橘アリスはいきなり目ん玉が動くの? ぎょろっとした感じで動いて私を捉えるから本当にビックリする。てか社長さんは気にしてないの? 絶対にわかってるよね。あの子の……橘アリスのヤバさというか危険さを。どうやらやばい問題に手を出してしまったらしい。
そう思ってると、彼女がこっちに歩いてくる。その歩調は別段普通で、むしろ軽くある。顔もニコニコだ。
「匙川さん、ありがとうございます。 これできっと想像の幅が広がりましたね。社長がここまで言うなんて本当にスゴイ人なんですね。私なんて全然声優としてはまだまだで――」
そういう橘アリスは普通に腰が低いかわいらしい子だった。だから私は思わず「いえ、私も全然……」とか言ったら、更に近づいてきてた橘アリスが私の胸をギュムっとわしづかみにした。モミモミなんてかわいらしい物じゃない。私の胸を親の仇かと言わんばかりに握りつぶそうとしてる。
「――つっ!?」
思わず零れる声。でもそれは小さい、周りには旨く橘アリスが体を使って隠してるのか、気づいてない。そして瞬きせずに、瞳孔を開いた橘アリスが私の目をまっすぐに見てくる。超こええええええええええええええええ!!
「は? 全然なら羽虫のように飛ばないでください……な」
私ではどうしようもない理不尽な事をいってきた。どうしろっていうのーーーーーーーーーーー!?
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