声の神に顔はいらない。
50 自分の可能性を信じれる奴になりたいな
マネージャーさんが例の仕事を断るという。わかる。ちよっと前の私ならそれを大手に振って受け入れただろう。だって辛かったし、あの仕事ってだけで腹痛になる程だった。けど、私はすべての仕事をチャンスだと思うことにした。
だって今、私あの仕事で何役やってる? めっちゃやってるよ。てか私以外に見たことないし、マネージャーが言うには私一人の可能性が高い。ただ単に、同じ時間に成らないように、してるんだと思ってたけど、どうやらそうじゃないらしい。
私が途中から入ったから……とか勝手に思ってたが、行くたびに私がやらされる役は多くなってた。最初は「面白いだろ?」とか「いいからいいから、お試しだって」とか言ってた。けどそのうちそんなのもなくなって、普通に全部の役を、私が声を変えてやってた。
流石にこれをそのまま流すなんてしないだろうと思ってたんだけど、その可能性が実はとても高いんだと言うことがマネージャーさんの話でわかった。
「マネージャー、もしもですよ。もしも、私がすべての役を完璧に演じ分けてたら、どう思いますか?」
「それは……素直に凄いと……まさか匙川お前」
どうやらマネージャーさんも私の狙いに気づいたようだ。ハッキリ言ってこのアニメの出来はヤバイ。既にアフレコの絵はコンテである。動画とかでもない。コンテである。ヤバさがわかるだろうか。それに声優は私だけ……それに更に驚愕なのはこのアニメ……なんと静川秋華と共にやってる『スターセイバー』よりも放送月が速いのである。具体的に言うと、既に後半月くらいしかない。
作品名でググれば、発表されてるならサイトもあるし、放送開始月だってわかる。一年以内に放送されるのなら、大体既に予定は決まってる物だ。動くことは……落とす以外にない。けどどんな出来でも大体放送するからこれも行くんじゃないだろうか?
私はただ視聴者だった時は、こんな作画とか崩壊したりしたアニメに関わった人たちは気の毒だな~って漠然と思ってた。一体どんな気持ちで声をあててたんだろう? とかさ。仕事だから……それが一番なのかもしれないが、今私はヤバイアニメに関わってると肌で実感して実はメラメラ燃えてる。
まあちょっと前まではめそめそしてけど、今はメラメラだ。だからもしかしたら、これまでも声で救おうとした声優がいたかもしれない。それが出来た人は見た事ないし、聞いたこともない。
私だってそこまで出来るとは思ってなんかない。だって絶対に視覚から入る情報の方が耳から入る情報よりも多いんだ。それは覆しようのない人の構造的問題だ。けど、残せる物はあると思ってる。
「まさか、お前が作品を踏み台にしようとするとはな」
「酷い事、いっぱい言われたんです。それに踏み台にするわけじゃないです。私はただ……全力を尽くすんです。声優として、出来る事をやって出来る事なら作品を助けて上げたいですよ。けど、私は声優だから、声優に出来る事は声をあてる事だけだから……だから、私は声優をやるだけなんです。許してください」
「…………はあー、まさかそんなことをいうようになるとは……な。よし、会社の事は任せておけ、どうせだ。絵に見合わない圧倒的な声をつけてやれ」
「はい!!」
この人は、私の声優としての力を信じてくれてるんだ。それはもしかしたら私以上にそうなのかもしれない。だって……こんな売れない私の担当にずっとなっててくれたんだ。それに今、私は気づいた。先生以外にも、ちゃんと私を……ううんもっと前から、私が信じてなかった私の声を信じてくれた味方。
ただのマネージャーじゃない。味方なんだとこれからは思おう。
だって今、私あの仕事で何役やってる? めっちゃやってるよ。てか私以外に見たことないし、マネージャーが言うには私一人の可能性が高い。ただ単に、同じ時間に成らないように、してるんだと思ってたけど、どうやらそうじゃないらしい。
私が途中から入ったから……とか勝手に思ってたが、行くたびに私がやらされる役は多くなってた。最初は「面白いだろ?」とか「いいからいいから、お試しだって」とか言ってた。けどそのうちそんなのもなくなって、普通に全部の役を、私が声を変えてやってた。
流石にこれをそのまま流すなんてしないだろうと思ってたんだけど、その可能性が実はとても高いんだと言うことがマネージャーさんの話でわかった。
「マネージャー、もしもですよ。もしも、私がすべての役を完璧に演じ分けてたら、どう思いますか?」
「それは……素直に凄いと……まさか匙川お前」
どうやらマネージャーさんも私の狙いに気づいたようだ。ハッキリ言ってこのアニメの出来はヤバイ。既にアフレコの絵はコンテである。動画とかでもない。コンテである。ヤバさがわかるだろうか。それに声優は私だけ……それに更に驚愕なのはこのアニメ……なんと静川秋華と共にやってる『スターセイバー』よりも放送月が速いのである。具体的に言うと、既に後半月くらいしかない。
作品名でググれば、発表されてるならサイトもあるし、放送開始月だってわかる。一年以内に放送されるのなら、大体既に予定は決まってる物だ。動くことは……落とす以外にない。けどどんな出来でも大体放送するからこれも行くんじゃないだろうか?
私はただ視聴者だった時は、こんな作画とか崩壊したりしたアニメに関わった人たちは気の毒だな~って漠然と思ってた。一体どんな気持ちで声をあててたんだろう? とかさ。仕事だから……それが一番なのかもしれないが、今私はヤバイアニメに関わってると肌で実感して実はメラメラ燃えてる。
まあちょっと前まではめそめそしてけど、今はメラメラだ。だからもしかしたら、これまでも声で救おうとした声優がいたかもしれない。それが出来た人は見た事ないし、聞いたこともない。
私だってそこまで出来るとは思ってなんかない。だって絶対に視覚から入る情報の方が耳から入る情報よりも多いんだ。それは覆しようのない人の構造的問題だ。けど、残せる物はあると思ってる。
「まさか、お前が作品を踏み台にしようとするとはな」
「酷い事、いっぱい言われたんです。それに踏み台にするわけじゃないです。私はただ……全力を尽くすんです。声優として、出来る事をやって出来る事なら作品を助けて上げたいですよ。けど、私は声優だから、声優に出来る事は声をあてる事だけだから……だから、私は声優をやるだけなんです。許してください」
「…………はあー、まさかそんなことをいうようになるとは……な。よし、会社の事は任せておけ、どうせだ。絵に見合わない圧倒的な声をつけてやれ」
「はい!!」
この人は、私の声優としての力を信じてくれてるんだ。それはもしかしたら私以上にそうなのかもしれない。だって……こんな売れない私の担当にずっとなっててくれたんだ。それに今、私は気づいた。先生以外にも、ちゃんと私を……ううんもっと前から、私が信じてなかった私の声を信じてくれた味方。
ただのマネージャーじゃない。味方なんだとこれからは思おう。
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