命改変プログラム

ファーストなサイコロ

2036 前に進むためのXの問い編 409

「あれって……人?」

 はっきりとは見えない。けど確かに繭の中には人影が見える。こんないかにもな場所に見える人影……それが示すのは一つではないだろうか?

「これってきっとボスだよね?」

 この繭をぶち破ってあれが出てきて戦闘になるんでは? って私は思った。これまで私は沢山のゲームをやってきた。その経験を引っ張り出して考えた結果、あれはボスである。

 きっと人形にみえるが、その肌には鱗とかが生えてるんじゃないんだろうか? そして背中には羽があって、尻には尻尾とかさ……つまりはあれはドラゴンが人形を取った姿なのだ。

 きっと強力なボスになるだろう。そもそもが直接ドラゴンと戦うのはとても無理があるから、あれがこのドラゴン戦の本当のボス……私は自分の推理に戦慄するよ。

「まずは前哨戦ってわけね」

 なんか地面からスライムたちが湧いてくる。スライムなら……とか思ってたら奴らはどんどんとその姿を積み重ねていく。そして私よりもずいぶんと大きくなった。けどそれだけで恐れるなんてゲーマー失格だろう。

 私はその程度の胆力ではない。

「デカいスライムなんて……ほへ?」

 なんか色が虹色に輝き出した。キレイだけど……なんか嫌な予感がする。するとスライムがその形を変えていく。太い体に、トゲトゲがいっぱいついてる。そしてその中心の大きな口はその体分ある。そしてその口には無数の歯が螺旋状についてた。なんとも醜悪な姿だ……一体これは……なに? 

 そんなことを思ってると、更に大きくそのスライムだった物が縮んだ。私よりも大きかったその姿が一気にしぼんでしまう。

「え? なに? これって倒していいの?」

 そんな風に思った。ステータスを見てみると『グラッパル』となってる。鑑定で見る説明文には『体内の掃除屋。すべての物を吸い込み、そして栄養とする。その吸引力には誰も抗えない』――だ。

「え?」

 説明文を読んだ瞬間、縮こまってたグラッパルが膨らんだ。それとともに、周囲に風が吹く。いや、吹くというか、吸い込まれだした。

「きゃ――ぎゃああああああああああああああ!!」

 気づいたら足が浮いてた。最初は可愛らしい声が出たけど、一気にその汚い……というかおぞましい口が迫ってきたら女子が出しちゃいけない声が出た。私はとっさに剣を地面に刺してなんとか吸い込まれるのを我慢する。

コメント

コメントを書く

「SF」の人気作品

書籍化作品