命改変プログラム

ファーストなサイコロ

1936 前に進むためのXの問い編 309

「くっ!?」

 素早く突っ込んで斬ってやろうと思って突っ込んだら、なんか暴風が吹き荒れた。部屋の中のものがグチャグチャになるような暴風。いや、家の中で戦ってるんだから、それなりに滅茶苦茶にはなってた。勿論破壊行為が出来ないようになってるから木端微塵になってるものはない。

 それでも耐えられる以上の攻撃を与え続ければオブジェクトを壊すこともできるが、敵側にはそれだけの攻撃力を誇ってるやつは居ないみたいだ。

 今のこれもそうだ。どうやら接地型の罠らしく、それを踏んだら発動したって感じ。まさか僕のコードを見る目をごまかすとは……いや誤魔化してたわけはない。だって祝福は僕と会長しか持ってないからだ。

 だからコードをいじって罠をごまかすなんて事ができるのは会長しかいない。だから奴等にそんな事ができるわけはない。じゃあなんで気付かなかったのか。状態異常も回復して、僕の視界は回復してる。ちゃんとコードだって見えてる。じゃあなんで罠を回避できなかったのか……それは単純にコードの理解力不足だ。

 いやいや戦闘中にそこらにあるコードを全部把握してるわけ無いじゃん。それこそ会長が用意してくれてるアイテムみたいにコードの色が違うとか……ならわかりやすいし、目に入る。けど基本コードって同じ色の文字が続いてるわけで……敵の持ってる武器、そしてスキルとかは用心深く見るが、そこら辺のコードまで常に読んでたら僕の頭がパンクする。

 だからそこらへんのコードって見てるけど、流し見してるんだ。そのせいで罠を踏んだらしい。ダメージがあるわけじゃない。ただ暴風が発生するって言う罠らしい。いつもならありがたいというか、ほしいくらいだ。その罠、常にインベントリに入れておきたいくらいである。こんなダメージもなくて暴風しか発生させないような罠なんて需要ないと思うけど……僕にしか需要ないと思う。てかこんなの売ってたかな? 

 個人制作の罠かもしれない。罠制作士とかこのゲーム居るからね。なにせ十人居たら十人十色の楽しみ方をしてるゲームだ。そういう人がいてもおかしくなんてない。こんな局所的に効くような罠……そこらの店では販売されてなんかないだろうし。

 暴風に紛れて斧持ちが近づいてきてる。今までは投擲武器ばかりだったから、その攻撃力なんてたかが知れてた。けどあの両手持ちするタイプの斧はどう考えても一撃必殺を狙うタイプだと思う。

 暴風のせいで僕の風帝武装が乱れてる。なんか風を風によって剥がそうとする発想よ。それは初めてでびっくりした。それに風が乱されると風帝武装でも動きづらくなるんだな。暴風とか経験した事はあるが、それはちゃんと動ける場所を選んで進んだりできるからね。自然の中でなら。けどここは密室だ。暴れる風の影響から逃れるすべがない。それに突発的だったから流れを読む……とかない。しかも自然に発生する暴風じゃなく、突如発生するタイプだと初見では食らうしか無い。もしも同じパターンで暴風が発生するのなら、今度はそれに乗ってやる――と思ってるんだけど、まだわかんない。それよりもこの斧持ちだろう。避けるのは正直簡単だ。けどコイツラの場合、そんなのわかりきってると思う。

 ならどっちかに避けると思われてて、そこには罠か、別の敵がフォロー回ってる可能性はある。視野を広く持つと他の奴等の動きも明確にわかる。動いてないのは僕と同じでこのチームに入ってた彼女だけ。一番最後方でふんぞり返ってる。けどインベントリは出してるし……どこかと通信してるのかもしれない。裏の組織の偉いやつとなにかやってるのかも。

 風帝武装だし、一気に詰め寄ることもできる。けど厄介なのは彼女、まだチームに入ってるんだよね。つまりはシステム的には仲間判定なんだ。このゲーム、フレンドリーファイアは基本無い。だから奴をどうにかするとなると、二次衝撃というか、攻撃して、棚とか倒してそれの下敷きにする……とかじゃないと僕ではダメージを与えられない。

 一時的にこっちからチームを抜けるって選択肢もあるけど……相当なことがない限り基本チームを抜けるってことはない。だから他のメンバーに怪しまれる可能性がある。彼女が裏切った事を証明できれば言い訳は通ると思うけど……

 とりあえず僕は斧を振りかざしてくるやつに合わせてフラングランの腹を向けた。そして触れた瞬間にすべらせるようにして、その斧の勢い、軌道を変える。しかもそれの斧の軌道の方に黒尽くめの一人がいる。これで数瞬、二人は行動できないだろう。その隙きに一人を確実に落としてみせる!!

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