命改変プログラム

ファーストなサイコロ

1921 前に進むためのXの問い編 294

なんかアギトが覚醒してる。僕の視界……嵐天武装の特性で鑑定の更に奥みたいなものが見えるようになってて、それによればアギトは……というかアギトのヴァレル・ワンは持たないはずだった。ゴールまでたどり着けない。そのはずだったんだ。

 この攻撃、ゴール手前に陣取ってる邪魔なプレイヤーたちが力を合わせてはなった攻撃……それによってアギトは脱落するはずだった。

 僕が三位一体の後ろに行ったのだって、アギトは持たないってわかってたからだ。けどその予想をどうやらアギトは覆そうとしてる。てかしてる。でもアレでゴールしたことになるのかはちょっと不明ではある。なぜかというと……

「あいつ、外装全部吹き飛ばしてるんだが……てか、イタ!?」

 ガツンとアギトが吹き飛ばしたヴァレル・ワンの外装パーツが飛んできて僕たちにぶつかった。僕たちと言うのは三位一体の機体にもってことだ。かなりの勢いだったらしく、嵐天武装までも貫通してきやがった。しかもなんか白い炎が残ってるし……なんかこれヤバそうだぞ。消えない白い炎が機体に広がってるような……

「流石にあれは……機体と認めれらないよな!?」

 僕は炎に包まれて進んでるアギトにそういうよ。だってアギトの奴、ほぼ骨組みとシートしか残ってないぞ!! どう考えてもスキルの推進力だけで進んでるじゃないか。あれはヴァレル・ワンが走ってると言えないと思う。

 でもきっと観客たちは盛り上がってると思う。まあこの映像が見えてるのか謎だけどね。なにせ光に炎が重なってる。普通に考えたら、眩しくて見れたものじゃないと思う。でもこれを運営してるのは会長である。テア・レス・テレスは最大チームで、絶対一位に君臨してるチームだ。僕たちが知らない技術とかめっちゃ開発してそう。それこそヴァレル・ワンだってそうだ。

 こんなの他のチームじゃ、開発して広めるなんて……出来ない。LROだから何がおきるかわかんないし、派手になることはきっと想定してる。それならあいつならどんな状況でも映像を届けられるようにしてておかしくない。

 そもそもがカメラってやつがこの世界的には必要ないんでは? ドローンがそれを担ってる……とか普通は思うが、でもここはゲームなんだから映像を切り取る事が出来るはずだ。それこそコードにアクセスできる会長なら出来るような……

「ん?」

 なんか三位一体のスピードが落ちてきてる。ぶつかりそうになってこっちがスピードを落とす羽目に……きっとさっきのアギトの破片のダメージのせいだろう。羽の側面に当たったからな。三位一体は前方には強力なシールドを展開してるが、そのために側面や背後には何もない。

 それが仇になった。白い炎が右側の羽で燃えてる。そのせいでシンクロしてた三つのエンジンの一つが調子悪くなってる。そのせいでズレが出てきて、うまく出力を維持出来てない。このままじゃだめだ。アギトに離される。

 けど攻撃はまだ続いてんだよね。野太いビームの中にいる訳で、三位一体のシールドから出たらそれに晒されることになる。果たして僕のヴァレル・ワンがそれに耐えられるか? 

「でも行くしか無い!!」

 選択肢なんて無い。このまま手をこまねいてたら、アギトが一番にゴールテープを切る。アギトがリタイアになるかのどうかは今の僕たちには判断できないわけで……それなら追いかけるしか無い。そして確実さを取るなら、アギトよりも先にゴールする!! それしかないんだ。だから僕は三位一体の後ろから飛び出した。

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