命改変プログラム

ファーストなサイコロ

1912 前に進むためのXの問い編 285

風帝武装・連装……つまりは風帝武装を自身の体の延長線上にもそれを施せたということだろう。一気に風の密度が増して、そして楽になった気がする。システムの助けが入ったからだろう。さっきまでそこそこ負担だった密度を高める作業が、風帝武装となったことで、それが自然となるようになった。

 いつもは僕の周りにしか無いはずの薄緑の風、それが範囲を広げてヴァレル・ワンをも包んでる。風帝武装となったから更に飛んだ。ここから更に飛ぶとは。実際は、ジャンプして山から飛び出したら、あとはゆっくりと落ちてるだけだ。なにせ翼とかは無いんだから飛んでるように見えて実は落ちてるだけ。それはどうしようもない。ただその落ちるまでの距離を風を使ってめっちゃ伸ばしてるわけだ。

 けど今は飛んでるかもしれない。集まる風が推進力を生み出して、ヴァレル・ワンを前に進めてる。それもきっと僕のこのヴァレル・ワンが極限まで軽くなってるのが大きいだろう。いくら風帝武装だからといって、流石にアギトくらいのヴァレル・ワンを支えるなんて出来ないだろうし。穴を開けて、全身に風を巡らせるようにしてたのも、やっぱり正解だった。

「いた!」

 いたぞ、一位のチームだ。海岸に入りそうな所に二十台位のヴァレル・ワンがひしめきあってる。勿論全部が一位のチームなんてことはない。そんな事があったら、どんだけやり手のチームだよって感じだ。

 流石にどんな大手のチームでも、両手の手を超える以上のヴァレル・ワンを用意なんてさすがにね。確かにただ数を揃えるだけなら、大手のチームなら出来ると思う。けどそんなのは意味はないと思うし、流石に大手のチームには出場制限があったような? 今回は実質個人での出場って事になってるが、個人でも広く捉えればチームで動くって事になるのはめにみえてた。

 そしてそれを想定しないテア・レス・テレスじゃない。会長じゃないだろう。実際、個人で誰だって出場してるが、チームで動いてる奴等はいっぱいいる。そしてそういう強制力ってのは大手になるほど、強くなるよね。

 一位のチームは多分だけどあの中だと五台くらいだろう。一台の中心のヴァレル・ワンを守るような動きをしてる。それが今現在、一位のやつだと思う。そしてそれを取り囲むように十五台くらいのヴァレル・ワンが攻撃をしまくってる。僕的には「よし! もっとやれ!!」って感じだ。

 僕もあの中に飛び込むと思うと気が重い。けど、逃げることは出来ない。流石に風帝武装・連装で更に距離を稼いだとしてもここらが限界だ。僕は上から彼等を追い越して、海岸の入り口らへんに降り立った。さあ、最後の直線の勝負をしようじゃないか。

コメント

コメントを書く

「SF」の人気作品

書籍化作品