命改変プログラム

ファーストなサイコロ

1865 前に進む為のXの問い編 238

オーディエンスがブーイングの嵐だ。私だけなのかな? スオウがトップに躍り出て喜んでるのは……まあそれでもいいですけどね。私はたとえ世界がどんなにスオウを批判しても、私だけはスオウの味方になる。それは絶対の法則です。

 私は花の城の一番豪華な部屋でこのレースを観てる。もう皆私がいちいち指示しなくてもちゃんと動いてくれるようになってる。テア・レス・テレスはとても大きな組織になって、LROというゲームの特性上、この世界には沢山の、それこそ色々なスキルを持った人達がいるのだ。そしてそういう人達を一番多く抱えてるのが、私達テア・レス・テレスだと言って過言では無い。

 実際、テア・レス・テレスではリアルとは無関係で過ごす人達が多い。ここは第二の人生であり、故郷みたいなそういう感じで安らぎとか、別人としての人生を求めてる人が多いからだろう。

 それを否定する気なんて無い。私だってもう一度始めることが出来るのなら、そういう誰でも無い町娘とかになりたいなって思うしね。別のキャラ、サブキャラをつくれば良いんだろうけど、こう見えて私は忙しい。

 サブキャラを作ったとしても、その子の人生を楽しめるかと言えばそれは難しい。流石の私でもこれ以上時間を増やすことは難しいのだ。私は自分の一日の時間を48時間くらいにしてると思ってるけど、これ以上増やすと無理が生じる。

 48時間の中でやることをやって眠るって事が難しくなる。私は別に仕事やらやらなきゃいけないことが好きなわけじゃ無い。私の願いは常にスオウといることだもん。本当なら普通の女子高生として、ただ一人のスオウの彼女でいたい。

 やっとで私達は付き合うことになったのだ。本当ならもっと……もっと……それこそ漫画とかでみるようなラブラブな関係になりたい。まあ勿論、私達は相思相愛だし、心はラブラブだと思ってる。

 でも圧倒的にふれあいが足りないよね。余裕が生まれたらそこに仕事が突っ込まれていくし……それをやり過ぎてこんなことになってると言っても良い。でも別に私は全てを抱え込んでるわけじゃ無い。そんなのは非効率的だし、私は結局一人の人間だと言うことを自覚してる。

 そして私が頑張りすぎるとスオウは怒るし、心配する。いやスオウだけじゃ無く、皆が私の心配してくれる。だから私は余裕のある範囲でやってるだけだ。私はこうやってレースを見てる中でも、両手は別のことをやってるしね。

「ほんと気持ち悪い光景ね」

 そんな言葉が響く。気持ち悪いとは失礼な。私にとっては普通だよ。まあけど他の人がこういうことなかなか出来ないのも知ってる。けどだからって凄いなんて思わないけど。ただの個性程度だよ。

「それよりもスオウが一位になりましたよ。やっぱりスオウは凄いですね」

「ブーイングも凄いけどね」

「けど、ローレちゃんも嬉しいでしょ?」

「私は別に……」

 そういいつつ、この部屋に映し出されてる大型スクリーンをチラチラ見てるローレちゃん。私達はこのレースの裏で大切な話し合いをしてるのだ。ローレちゃんは希有な力をもってて、そして私は祝福という世界への干渉権を有してる。

 それに……私は一つの懸念を抱いてる。ローレちゃんの最近の動き……スオウを切って私をとりこもうとしてるような……いや、私達を上手く使うように動いてるその動きは、これまでのローレちゃんとはちょっと噛み合わないような気がするんだよね。

 いやこれもちょっと違うのかもしれない。けど……私が今一番気にしてるチームは彼女のチームだから。そしてローレちゃんもこっちを意識してるとは思う。上手く使おう……蹴落とそう……と言う意識……でも……それだけじゃ無い。

 レースはなんだかんだ盛り上がってる。これもスオウのおかげだね。スオウも頑張ってるし、私も頑張るよ。彼女だからね。

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