命改変プログラム

ファーストなサイコロ

1843 前に進む為のXの問い編 216

壁走りを披露して一気に前の集団を追い抜いたわけだけど……なんか迫ってきてる。ヴァレル・ワン自体が……じゃない。なんとミサイルが……である。まったく、そんな直接的な攻撃手段かよって思う。披露するにしても早すぎない? もうちょっととっといた方が良かったんじゃ? いやまあ、差が付きすぎるとそれこそ意味なくなるかもしれないから、出し惜しみなんてしないっていう根性なのかもしれない。

 それはそれであっぱれだね。けどヴァレル・ワンのせいでなんかLROの世界の技術レベルがちぐはぐになってるような? 科学よりも魔法が発達してる世界だからね。そんな世界でこんな先進的な乗物とか兵器とか……いやまあ飛空艇とか有ったし、そこまでバランスが崩れてるのか……と言えば良くわかんないんだけど。

 別にミサイルは無かったけど、レーザービーム撃つ敵とかはよくいたし、魔法だって複合魔法でえげつない破壊力を放つことが出来ることを考えると、ミサイルなんてのは可愛い物のような気がする。その内この世界で核とかが出てこない限りね。

「よっと」

 とりあえず僕はそのミサイルを避ける。勢いよく飛び出てきた数十のミサイルは地面に当たり爆風をまき散らす。それにコースに穴もあけるし……むしろ後からここを進む撃った奴の方が不利になるのでは? と思わなくもない。まあけどこっちとしてはありがたい。当たらなければ、後方の奴等の足止め……までは行かないけど、地面の状態が悪くなったことによって多少なりともスピードは落ちるだろうからね。

 そもそもヴァレル・ワンは浮いてるからそこまで地面の状態の影響を受けるわけじゃない。受けるわけじゃないが、けど極端に地面との距離が開くと、機体がガクンするのはある。どうやって浮いてるのかよくわかってないが、なんかこう……地面との反発力的な力が作用してる気はする。なにせ流石に空を飛ぶ……とか言うほどに高く上がれることはないからね。

 地面から数センチ浮く程度だ。その数センチが一気に数十センチとかになったら、ガクンとなるのは必然だ。海岸から先には岩礁地帯が広がってる。大きな岩もあるし、あんまり危険な運転をすると、岩にぶつかってそのままリタイアとかなりそう。でも地面からせり出してる岩とかもあるから上手く使えば、一気に前方集団を追い越したり……とか出来そうでもある。まあ今の所、さっきの集団を追い越した先にはまばらな数しか前には見えないが……でも確かまだそれなりの数のプレイヤーが前にはいるはずだ。

 もう既にかなり前を走ってる奴等もいるって事なんだろう。モタモタしてる暇はない。後ろの方から「おわー!」とか「ぎゃー!?」とか聞えるが、それは僕のせいじゃないし、コースを変に凸凹にした奴を呪ってくれたまえ。

 僕は前だけを見据えて進むよ。

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