命改変プログラム

ファーストなサイコロ

1795 前に進む為のXの問い編 168

 私の結界が速攻で騎士ンズラベーダに破られたことにちょっとだけもやっとした気持ちがわき上がります。確かに私はいつだって謙虚を心がけてますけど、それなりに魔法には自信があるのも事実なんです。攻撃は得意じゃないけど、補助や守りとかは他の人たちにも一目置かれてるくらいにはなってると思ってます。
 だからこそ次にこういう機会があるのなら、一瞬では砕けないようにはしたいなって……思う次第です。きっとこの戦闘中にその機会は来ると思ってます。なにせ騎士ンズラベーダはエクストラボスです。
 同じようにヒヤッとする場面はたくさんあるはずです。私たちは結界が破られることを想定してただけあって動揺なく動けてます。ここで動揺して動きを止めてたら、それこそ騎士ンズラベーダの六本の腕の餌食になっていたことでしょう。やつの六本の腕は同時に私たち三人を切り刻むのにも十分な数がありますから。

「一番やっかいなのはやはり……」

 そんな声とともに私のことを騎士ンズラベーダが見たような気がします。私は必死に距離をとるために走ってるので見てないんですけど、ゾクッと言う悪寒が走ります。けどすぐに武器が打ち合うような音が聞こえてきました。

「私を無視して後方に攻撃を出来るなんて思わないことです」

 オウラさんのその言葉が頼もしいです。実際私なんかでは騎士ンズラベーダの攻撃をまともに受けたらきっと耐えられる自信はない。一発でおだぶつなのは確実です。私の一番の役目は最後までたってることです。
 そうでないと、オウラさんやテッケンさんたちがいくら頑張っても最後まで持ちません。後衛は地味だけど……そのせいで補助とか裏方的な立場の魔法を使う人たちは少ないですけど、とっても重要で大切な役割。

 現代ではそう言うのが大事ってのはみんなゲームをやってる人たちだってわかってはいるんですよね。けどどうせならゲームの中でくらい派手に活躍したいって願望もわかります。私はどちらかというとみんなのためにやる方が楽だったからこの道に行ってるだけです。
 せっかく剣と魔法の世界にいるんだから、活躍したいってのはわかります。でもそんな後衛の重要性を敵である騎士ンズラベーダがちゃんとわかってるとは……意外というか……そこまでAIは進んでるんですね。

 これがAIなのかはわからないですけど。私は十分な距離をとり、再び詠唱をします。仲間の補助をして、そして敵に対しては嫌らしいことをチクチクしていくために、私は頑張ります!

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