命改変プログラム

ファーストなサイコロ

1697 前に進む為のXの問い編 59

 海岸沿いからしばらくすると、草原になった。花畑のゾーンはあえて避けた。アーシアは大体花畑が活動範囲だったみたいだし、今までの所を歩いても面白みがないかなって思ったからだ。

 でも花畑が近いせいで草原も花の匂いがしてる気がする。ここにはなんか種みたいなモンスターがいるね。大きな種に足が二本ついてるようなモンスターだ。まあここのモンスターもモンスターと言ってるけど、別に積極的に襲ってきたりはしない。
 むしろ近づいても襲ってこないまである。むしろなんか積極的に寄ってきた。アーシアにね。なんか同類感でも感じてるのか? アーシアも大きくなる前は蕾み感があったからね。今はその服が花開いてるけど、幼女の時点では、花のつぼみのようになってた。種も何か同じような見た目だよね。先端が細くて、下の方がボコッと膨らんでるというか。

(それか? それが原因なのか?)

 別段何か攻撃をされるわけでもないし、放っておいてると、何やらアーシアがうんうんと言ってる。まさかベタに会話出来てたりしないよね? とか思ってると、アーシアがこう言ってきた。

「あのね、困ってるんだって。助けてあげよう」

 それ誰が言ってるの? と、きいてみると、この子達! って答えた。うん……だよね。どうやらアーシアはモンスターの言葉がわかるみたいだ。それはこのタイプのモンスターだけなのか、それとも……僕はヤドカリもどきを観る。こいつだってモンスターだけど、ずっと一緒に居る割には、ヤドカリもどきの言葉を代弁してくれたことはない。

 やっぱり限定的なのか?

(でも、ヤドカリもどきが特殊な個体だからな……)

 そう考えると参考にならない気がする。とりあえず――

「その困ってる事って何?」

 つまりこれってクエストだよね? モンスターからもクエストってあるんだ。まあ上位のモンスターは喋れる個体とかも居なかったわけじゃないけど……こいつらは明らかにそうじゃないからね。もしかしたら特殊なスキルが得られるかもしない。

(いや、僕の場合特殊なスキルだらけなんだけどね)

 普通になりたい気もする。まあ今更だけど……

「この子達のことを食べちゃう怖い存在が居るんだって」
「なるほどね……」

 でもそれって弱肉強食の自然の摂理では? とも思う。けど口には出さない。だってアーシアの目が……宝石みたいなその目がうるうるしてる。いや、その目ズルくない? これで僕が「それって自然の摂理じゃん?」とかいうと、何か冷たい奴みたいじゃん。

「とりあえず、どんな奴なのかとか確かめるだけなら……」

 そんな感じでお茶を濁しつつ答える。するとアーシアは種みたいなモンスターに案内を頼んだ。そしてついて行くと、なんか草原の一角に穴が空いてた。
 いや違うね。なんか掘り返した土が積み上がってる場所がある。その穴からなんか尻が出てる。何あいつ? 頭隠して尻隠さずを体現してるぞ。
 とりあえずステータスを確認する。

「ウォーラビットね」

 そこら辺によく居るウサギ型のモンスターだね。なんかデカいが。まあこの世界、モンスターにも個体差というのがあるからね。多少大きくてもそこまで気にしてたら駄目だ。大体ウォーラビットは膝くらいの大きさだけど、その倍、腰くらいまでの大きさありそうだけど、気にしたら駄目だろう。

 一応敵の強さを示す色は緑だし、危ない相手じゃない。

「あれがそうなの?」
「そうだって」

 今なら背後から一撃……でしとめられそうだけど……なんか期待のまなざしを感じる。僕はしょうがないから、フラングランを抜いて、一瞬で接近。感知される前に二本のフラングランを尻から突っ込んで、その後に左右に開いた。
 そしてそのままウォーラビットは天に召されていきましたとさ。

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