命改変プログラム

ファーストなサイコロ

1591 校内三分の計編 201

 最後は摂理の挨拶だ。日鞠とクリスの後、摂理の正面のカメラのランプが光って今、摂理が画面に捉えられてると教えてくれる。けどなかなか話し出さない。

「さあ、どうぞ」

 見かねた司会の日の出ジャーナルの奴がもう一度、摂理を促す。

「あっはい、もういいんだ」

 緊張してる摂理は赤いランプがついてることに気づいてなかったらしい。コメント欄はいまだ燃えてるが、ちょっと毛色がかわりつつある。なにせ摂理は美少女だ。しかもそこら辺の美少女のレベルではない。テレビに出てたっておかしくない程の美少女である。

 そんな摂理がもじもじとしてる様子が画面に映ってるのだ。反応はもちろん「かわいい」とか「癒される」とか「もっとみてたい」とかそんなコメントが徐々に増えていってた。

 ある意味よかった。僕に対する怨嗟の念よりも摂理の可愛さがまさってたようだ。かわいいは正義とはよく言うからな。

「あっ、えっと……その……」

 なんとか声を絞り出そうとしてるが、なかなかに二の句を発せれない摂理。そんな摂理に対してコメントでは「頑張って」とか「焦らなくてもいいよ」とか、やっぱり「かわいい」とかめっちゃほほえましいコメントかしか流れない。
 でも摂理はそっちじゃなく、チラチラと僕を見て来るんだよね。視線を流してるのは画面越しの奴らだってわかってるだろうが、どうなんだろう? 僕に視線をよこしてるってわかってるか? まだ気づかれてないと思う。

 けど気づかれたら責められる……僕がね。だから僕は行動はしない。そもそもが何かできる訳もないし。一応頷いてやるけど、それでなにか節理が救われるわけじゃない。
 すると摂理の隣に座ってる鈴鹿の奴が何かしたのか、一度大きく摂理は深呼吸をした。そしてまっすぐにカメラをみる。

「私は『桜矢摂理』です。私はできることは全然ありません。けど、学校に始めて通って楽しいって思えて……だから、私も学校の為に何かできないかなっておもって……あのあの、こんな私ですけどお願いいたします」

 そういって頭を下げる摂理。なんとか挨拶は終わったな。一番カメラ慣れしてない摂理に対しては視聴者達も暖かい。なんとか和やかな感じで始まって僕もホッとしてる。なにせあのまま僕への誹謗中傷で埋め尽くされたら、趣旨が変わるじゃん。

 なんとか摂理のおかけで、元の位置に戻ってきたな。グッジョブだ。僕は人知れず摂理に感謝するよ。後はただのマネキンになってよう。クリスの奴が余計な事をしなければいいんだが……めっちゃ不安だ。

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