命改変プログラム

ファーストなサイコロ

1522 校内三分の計編 172

 マイオさんのところから離れて、私は足取り軽く歩いてる。それはもちろん、厄介なラブレターを彼に押し付けることができたからだ。
 まあ心苦しいところだったわけだけど、面倒なことは基本やりたくないよね。相手の気持ちを慮ることは大切だと思うけど、まあNPCだしね。確かに心はあると思うけど、あんまり深く変わりすぎるのもどうかと思う。
 そこら辺はゲームとしての適切な距離を取らないとだろう。実際、私は今リアルでも一杯一杯でLROには息抜きできてるのに、何かを背負うとかごめんだよ。

 もっと気軽に楽しみたい。まあ早くスオウとかに追いつきたいとも思ってるから、有意義なスキルが取れるなら考えなくもないんだけどね……そこらへんの情報はないからね。
 それにもしかしたら、これで終わるクエストでもないかも知れないし。もしかしたら、変な変化が起こって貴重なスキルへと発生するかも知れない。まあその変化ってのは私には体感できるものではないんだけどね。

 とりあえずもうログアウトしてもいいんだけど、最後に一応孤児院の様子でも見ておこうかなって思って今向かってる。
 それにマイオさんからも、これを届けて欲しいって言われたしね。

 どうやらオウラさんへの感謝の品だとか。中身はお菓子なんだけど、そういうものは子供たちの喜ぶもので……と言われてたからってことらしい。
 オウラさんらしいと思う。あの人は本当に……孤児院に心血注いでる。ちゃんとゲームなのか分かってるのか心配になる。でも彼女にとってはそこら辺は関係ないんだよね。
 ただ救いを求めてる子達がいたから、彼女は救っただけだ。博愛精神ありすぎる。まあそれに私も協力してるわけだけど……
 でも私の場合はそんな博愛精神ではない。もっというと、打算的な理由だ。まああの時は知り合いはスオウ経由しかなかったし、こういうのスオウは喜んでくれそうだったしね。
 実際は面倒だなって思ってた。私はどちらかというと別に子供が好きではないし。なにせ子供は私の大切な人を取る。スオウとかスオウとかスオウとかね。

 まあ孤児院で会う必要はないんだけど……スオウが私じゃない方に行くのはやっぱりなんかいい気はしないというか。

「きたよー」
「セツリだー!」「せっつー!」「セツリちゃん!」

 孤児院は街から少し離れたところにある。てか街の外側だからね。一応街は大きな壁で覆われてるわけだよ。モンスターがいる世界ではこういうのはよくある。けど壁の中だけで、生活が完結できるかと言えばそうじゃない。
 だから畑とか溢れた人とかは壁よりも外で暮らす事になる。孤児院は例に漏れずそういうあぶれた中の一つだ。

 私に向かって子供達が殺到する。子供だからか、容赦なくタックルかましてきやがる。オウラさんと同じようなノリで来るなって言ってるのに……私は彼女ほど頑丈じゃないの!!

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