命改変プログラム

ファーストなサイコロ

1404 校内三分の計編 64

「あんまり効果はなかったデスねー」

 私は自分達でしてる人気調査を見ながらそんなことをいう。この前日鞠が日の出ジャーナルと繋がってて、怪しいんじゃない? って事を問題提起したけど、盛り上がったのは一瞬だ。結局の所、日鞠陣営は何も反応しなかった。
 いや、生徒会の一部は動こうとしてたみたいだけど、どうやら日鞠に止められたみたい。下手な動きをしてくれたら、それをまた燃料にして燃え上がらせる事が出来た。でもそういうヘマは流石に日鞠はしないデス。それに自分達の信用の高さもちゃんとわかってる。日鞠は一切揺るがなかった。
 ただいつも通りしてただけだし、私達が日の出ジャーナルの代わりに色々と聞き出そうとしても、いつもの笑顔で返してた。何も言わない……その話題に触れないから、私達はやましいことがあるだって風潮にしようとしたんですけどね。

 でもそれが出来るのは普段から疑惑があったりした場合で、そこまで信頼がなかったり、よく知らないって人が大多数ならそれで煽れた筈デス。でもこの学校で日鞠の事を知らない奴なんていないし。大体の人達は日鞠に感謝してる。

 そもそもが良い感情が先行してるから、それを負に傾かせるってのは日鞠自身の悪手が必要だった。でもそう言う事をやっぱりあの子に求めるのは間違いだったみたいデス。日鞠は……間違えない。それを絶対だと思って行動した方が良い。
 普通はそんな事あり得ないデス。どんな偉人だって天才だって、一切間違わないなんて事はない。でも本当に日鞠は間違わない。考えてるのか、感性なのか……そこら辺も謎デス。今まで色んな相手を相手取ってきましたけど……こんな島国にこんな手強い相手がいるとは……ついつい組織を動かしたくなっちゃいます。まあ流石にそこまでしないですけど。そんな権限内デスし。
 そもそも目立つような事はするなって言われてる身の上です。既に大目玉ですよ。既に四日を消化してるから、もう選挙活動は後半戦。今一番票が薄いのは摂理デス。摂理は男子に人気ですけど、私だって男子に人気デスし、女子にも私は友達沢デス。日鞠はどっちの支持層も厚い。

 てか皆、結局は日鞠に安心感って奴を感じてるデス。私の本当に親しい人達、選挙活動まで手伝ってくれてる子達は流石に私に入れてくれると思う。でも……それ以外は今の所、結局の所は日鞠に投票すると思う。そういう物デス。
 私はそもそも生徒会長になる気ないですしね。でもこうやって票を集めてるのは、最後には私と摂理の票を合算する為デス。最初から一人ずつ戦っても日鞠に勝てないのなんてわかりきってる事デス。次々と施策を打ち出してそして実行して一年でここまでの実績を作った日鞠にポッでの私達に次の代を任せるなんて、一番勢いが有るときにレキュラー奪うような物ですからね。
 寧ろ周りが許さないっていうか……特に今年三年生になった生徒達は日鞠への支持が厚いデス。なにせ将来に関わる受験がありますからね~。去年かなり躍進したのなら、その波に今年の三年生は乗りたい筈デス。ここで生徒会長が変わったらとっても困る。
 なので私や摂理の支持層はそれこそよくわかってない一年生と、同学年の二年生です。それら全部を取れれば、理論上勝つことは出来る。勿論一人じゃ無理だけど、二人で票を集めてそれを合算できれば……少しは勝ち筋も見えるというもの……

「もっと摂理には頑張って貰わないとデスね」

 私はそう呟くデス。

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