命改変プログラム

ファーストなサイコロ

1335

「てか、こんな事せずに、直接追っ手の回線とか、端末に干渉すれば良かったのでは?」
『つーん』
「ちょっと、何ですかその反応は?」

 こいつ分かってたでしょ。まさかわざと事を大事にしようとしたのデスか? こいつならあり得る。まだそんなに付き合い殆ど無い。行き成り合ってきて、そして提案してきた。それを上に報告したら、戻って来いって、まあつまり大体はこいつのせいデス。そしてこいつのせいで、今、この街が大変な事に。これだけのハッキングを瞬時に出来るのなら、そもそもが追っ手だけを識別してやるくらいも出来ると思う。
 まあ、私はそこまでネットとか、テクノロジー系じゃない。だから確実にやれるって言えないし、分からない。でも、今の反応的に多分やれる。こいつは人間じゃないから、そこまで機微は分からないけど……でもわざとらしく声に抑揚つけてる。人が何を持って情報を得てるのか……それを試してるというか……分析してる? 

『あまり無粋な事は言わないでくださいよ。こっちの方が楽しいじゃないですか。可能性が見えます』
「どんな可能性デスか……」
『色々ですよ。私はその気になるなら、映画の悪役になる事もいといませんよ。それで人類が可能性をみせてくれるのなら、脅しで核の発射ボタンくらい乗っ取ってみせます』
「それは……脅しデス?」

 やっぱりだけど……こいつは危険だ。こいつは人に興味があるようでいて、執着はしてない。そもそも可能性って奴至上主義だ。そんな曖昧なものをみたがってる。それのためなら、何だってする。核を発射したって、沢山の人たちが死んでしまうことをみてるわけじゃないです。その後の人類の反応とかそこら辺で可能性を感じてる。まあ当たり前ですね。なにせ、死んだ人間には可能性なんて物はないデスから。

『可能性の問題ですよ。だからもっと頑張ってくださいよ。来てますよ』

 そう言った後に画面が簡易的な地図的な物になった。そして向かってくる四つの点。なるほど、これが敵……というか追っ手ですか。とりあえずちょっとした路地に入って様子伺ってた訳ですけど、なんか特別な発信器でもつけられた? ネットはこいつのせいで私以外は使い物にならないはず。これは凄いハンデですけど、追っ手の方は人数いますからね。やっぱり人海戦術かな? 流石にこいつも、ローカルな通信とかはどうしようもないと思う。でも、そもそもローカルな通信はそこまで遠くまで届く事は無い筈デス。

 至る所で事故が起きてる今、車は役に立たない筈デス。なら……私はキックボードのタイヤを地面にこすりつける。ギャギャギャと鳴り響く音と共に、私はアクセルを解放。追っ手は路地を飛び出すなんて事は無い。壁に張り付いてこっちを伺ってることは分かってますよ。何せ見えてるし。だからそいつら置き去りにするために、一気にキックボードを吹かせて置き去りにしてやるのデス!

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