命改変プログラム

ファーストなサイコロ

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『僕が仕掛けてテア・レス・テレスのどこかを崩してみせる。なので後は頼みます』

 そんな事を耳につけたピアスを通じてリーダー格の人達に伝える。皆さん、色々と責任やらがあるからね。ヘタに動く事は出来ない。それに自分たちの行動で負けたとか言われたらその責任をチーム全体に背負わせる事になるかもしれないっていうしがらみもあるだろう。
 今は仲間だけど、結局はこの戦いが終わればライバルだしね。それに貢献度とか色々な細かな条件で勝ったときのエリアの分配を決めてる訳で、勝ったときケチつけられてその分配がしょぼくなったらってのもあるだろう。まあ今からそれを考えてるかはしらないけど。
 寧ろ今は負けたときの責任問題の方が大きいかもだけど……そう言えばテア・レス・テレスの勝利したときの報酬は実は聞かされてない。エリアバトルなんだから、普通はエリアの譲渡になる――と思う。けど、既にテア・レス・テレスは広い土地を所有してる。
 幾らあっても良いのかもだけど……もしもこれ以上テア・レス・テレスのエリアが広がると、海外の範囲が追加でもされないと追いつくことは出来ないのでは? 今はこの日本列島を取り合ってるンだけど、結構もう固定されて来てるからね。

(まあけど、今はこのバトルの後の事よりも目の前の事態だよね。流石に気が早いし……)
「本気か?」
『だって誰も動けないみたいですし。でも皆わかってるんじゃないですか? 追いつめられてるって……』
「ふん、そろそろ俺が動こうとおもってたんだがな?」
「いや、いいじゃん。そいつがやってくれるっていうならさ。やって貰おうぜ」
「なにか必要な物がいるなら渡すぞよ!」

 どうやら皆さん、僕の提案は渡りに船だったらしい。まあ僕はどこのチームにも属してない、ただの助っ人だからね。多分まだそれぞれに奥の手があるはず。それをどこで出すか、そしてそれをどれだけ相乗出来るか……だから効果的な所を狙ってる。それを僕が作り出せるかもと期待してだろう。実際、あと一歩までは来てる。

 ただそのあと一歩を僕たちは切り崩せてないんだ。だからここは誰かが無茶やらないといけない場面。それは別段僕じゃなくてもいいとは思う。ある意味ローレは漁夫の利を狙ってそうだし……どいつか犠牲にならないかなーっておもってるんじゃないだろうか? 僕がやるなんて言うのはあいつ的には反対かも……とか思ってるとローレの声が聞こえてきた。

「なら私も出ようかな?」
『本気か?』

 まさかの言葉だった。なんでこいつがこの場面で動く気になった?

「いや、待てローレ。お前はまだ――」
「何? 私も部外者じゃない。最後までいて、あまつさえとどめきめたら特別報酬要求するわよ? だって大将の首を取ったら特別な報償があるのって普通でしょう?」
「おい、こいつにこれ以上もってかれると勝っても損しか出ねーぞ」

 真っ先にフィギュア使ってる男女さんのそんな声聞こえた。既にこいつエリアぶんどってるからね。勝手にさらに貰って、しかも大将倒してさらに特別報酬まで頂かれたらたまった物じゃないだろう。強欲とはこいつの為にある言葉か? 

「まあ私とスオウが決めたらもちろん特別報酬要求するけどね」
「おい、こいつらやれるんじゃねえか?」

 男女さんが怯えた声でそういう。そこまで高く買ってくれてたんだ。なんかいつも睨まれるから嫌われると思ったけどね。いや、嫌われてはいるか。彼のフィギュア壊したし。

「まあその時はその時ぜよ」
「そうだな、俺達は楽できるじゃねーか。まあ俺はまだまだ暴れるがな」

 ギョクリさんやおっさんはどう計算してるか知らないが、止めること無いようだ。今、一番頭を痛めてるのは社長だろう。会社の損得をきっと考えてる。そして僕たちがテア・レス・テレスを会長を倒す確率とか……でもこのままではじり貧なのもわかってて、 この状況での奥の手は悪手だとも思ってるだろう。奥の手はあくまで一番効果的な場面で使いたい筈だ。

「了解した。貴様等でテア・レス・テレスの規律を破壊しろ。そこを我らが突く!」
『わかった。出来る限りやるよ』
「そうね、出来る限りテア・レス・テレスを私達が食い荒らしてあげる」

 ゾクッとローレの言葉に寒気を覚えた。仲間……の筈なんだけどね。いや今は頼もしい……そう思おう。なにせ一人でヤル気だったのが二人になった。いや……違う。ローレは召喚獣残り三体を呼んでる。これなら流石のテア・レス・テレスにも被害を出せる。いや、気概としては僕たちで勝利をもたらす気で行く!!

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