命改変プログラム

ファーストなサイコロ

1260

「ふん」

 私はそう息を吐いてどこかからくる攻撃を倍にして跳ね返す。戦場は混乱してる。けどまあ私は何かをする気はない。一応必要な事があれば伝えるけどね。私はスオウほど熱くなる性格でもないし、常に冷静にそして一番の得をする為に動く。それだけ。

 インテリ眼鏡がグチグチとスオウに通信機越しに言ってるが、私的には悪手だったとはおもわない。事実としてそれは有るわけで、真っ先にそれに気付いたのかスオウだった事にあんた達は恥じた方がいい。まあ私は同じくらいに気付いてたけどね。でもどうやらほんのわずかだけどスオウの方が確信を得たのが早かったらしい。本当だよ? 私の方が早かったら、とりあえず筋肉だるまには伝えようと思ってたんだけど、スオウが全員に伝えたからね。手間がなくなってよかった。
 別に悔しくはない。

(私は更に、その先を見つけてるからね)

 けどこれは私以外出来るかどうか……だから伝えるかどうか悩む。まあ一応伝える気で居るけどね。その情報をどう生かすかが上の奴らの役目であって、私に出来る事が大半の奴が出来ないのが悪いのだ。私は悪くはない。けど、ちょっとタイミングがね。
 今は、やっぱりさっきスオウがいった情報が大きいから、五月蠅いんだよね。スオウが風に乗せて情報を伝えたから、とうぜんテア・レス・テレスも種がバレた事はわかってる。でもそれも想定内みたいね。テア・レス・テレスに動揺はない。特に会長は注視してる。寧ろその事に気付いた時にちょっと笑ってたし……どこまで先を読んでるのか。とりあえずだけど、一つ重要な情報がスオウの言葉には含まれてなかったからそれだけは先に付け足して起きましょう。

「そういえば、スオウと私にはテア・レス・テレスが受けた攻撃のダメージは回ってこないみたい」
『『『なぁ!!!!?????――――』』』

 ふう、ピアス外しててよかった。絶対に五月蠅い声が聞こえると思ったんだよね。今も何やら聞こえるし、伝え事は伝えしこれはもういいよね。

「おい、今のは本当か?」
「嘘言っても仕方ないじゃない」

 そういえば、同じ結界内にこいついたや。まあバリバリ前衛の筋肉だるまが居たことはある意味で良かったけどね。こいつが前にいれば、こっちは余裕が出来る。

「どうして貴様達はダメージを引き受けないんだ?」
「そんなの知るわけないでしょ」

 そこは謎だ。そしてそれを考えるのも私の仕事ではない。そこでも知恵が欲しかったら、そうだね……

「本当か? 今、俺達は仲間の筈だが?」
「仲間よ。でも私、無能の下についたつもりはないのよね。あんた達も上に立ってるんだから頭くらい使いなさい」

 さっきから一番攻撃を引き受けてるくせに大分余裕そうだし、そのくらいの事は出来るでしょ。筋肉だるまにも時々ダメージが行ってる筈なんだけどね。全く沈む気配がない。こんな事を言ってるが、絶対の安心感は感じてる。だからこそ、こっちも周囲を観察する余裕があったわけだしね。

 会長は私をここに配置するべきじゃなかった。そう思うけど……でも今までの事を考えるとなにか狙いがあるように思える。なにせあの会長だからね。

「命改変プログラム」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「SF」の人気作品

コメント

コメントを書く