命改変プログラム

ファーストなサイコロ

1093

 向かってくる大きな岩。それは単純で単純だけに純粋な破壊力が凄まじい物だ。リアルにあんなものをまともに食らったら、人間なんてぺちゃんこ確定な代物だからね。それがLROだからこそ、ダメージという概念で収まる訳で……けど次はリアルみたいになりそうだ。
 まあ本当に死ぬわけじゃないけど……けどここでやられたらきっと会長の所までたどりつけない。そんな気がする。

(動け! 動くんだ!!)

 そんな思いで体を動かそうとするが、先の衝撃が足や腕に来てる。なら風で防ぐ……ことはむずかしいから進路を変える。でもそれもどうやら難しい。判断を見誤った。純粋な質量に対しては風とかはやっぱり不利だ。それこそ圧倒的に風を持ってる時でないと……それにやっぱりフラングランとかを向けてやってる時の方が風の集まりが違う気がする。

「させるかあああああ!!」
「なっ……」

 横から岩へと攻撃が入る。それによってなんとかギリギリをかすめて岩が走ってく。

「なんで……」

 思わずそんな事を言ってしまった。なんで……なんてそんなことは愚問だろうにね。だって今、僕たちは……

「なんでなんて決まってるだろ。お前くらいしか奴らに有効打与えられそうにないからな。どんなスキルか分からないが、俺達には向こうの反撃攻撃に対抗する術がないんだよ。だから……だ」

 仲間とか言わないのは照れ隠しか? それともプライド? 分からないが、助けてくれたのはありがたい。追い詰められていくたびに、それぞれのチームでしかなかったこちら側も、一つの大きなチームって事を意識するようになってきたのかもしれない。

 遅いのか、速いのかそれはわからない。これが初戦って事を考えると、いい事なのかもしれない。今回と次は結局は、最終戦に向けての前哨戦みたいなものだ。他の人達にとってはだけど。だからそこに繋ぐためにも初戦で自分たちがどれだけテア・レス・テレスに差をつけられてるか思い知らされるのは良かったんだろう。

 明らかに最初よりも皆が連携してるしね。一人一人をそれそれが見てる感じがする。最初はチームごとだった。どうしてもチームごとに隔たりがあった。けど、今はそんな事にこだわってる場合じゃないと全員がわかってる。わかってしまったと言った方がいい。そうしないと、テア・レス・テレスには対抗できないと。

「助かった。けど悪いけど、僕も奴らの反撃効果をどうにか出来る術は……」
「ないのか? いや、まああんなの反則だしな」
「それにさっきの岩の軌道は何だよ? おかしいだろ!」

 他の岩を相手にしてる奴も口をはさんで来てそういった。確かにあれは驚いた。けどそもそもがあの岩は僕たちが避けても、転がってどっかに行くんじゃなく、上手く進路を変えてまた向かってくる。って事は制御されてるって事だ。
 僕はじっと岩を見る。正確にはそのコードを見た。

「岩は何とか出来るかも……しれない」
「本当か?」
「けど、それでも現状は変わらないけど?」
「いや、少しは変わるさ。頼む!」

 僕はその言葉に応える様に頷くよ。新たなるコードを組んで、僕は向かってくる岩を見つめる。

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