命改変プログラム

ファーストなサイコロ

1090

テア・レス・テレスの一人に僕は一気に近づく。けどどうやらそれは予想されてたみたいだ。

「やっぱり来たな! さあ来い!!」
「何?」

 何故か両手を広げてそういいだす相手。明らかに変だ。普通攻撃を受けるとわかってたらやり返すか、それか防御をしようとするのが普通だ。いや、そもそも会長がいる向こうは僕への対策という意味では選択肢が沢山ある。何も用意してない筈がない。

 それに用意してるからその今の言葉の気がする。なら、下手に攻撃するのは不味い気がする。けど、攻撃しないと、この襲撃を終わらせることは出来ないんだ。

(ならどうする?)

 わざわざ両手を広げて向かえてるそいつは怪しさ満点だ。だから別の奴に攻撃対象を移す? 僕への対策を一人だけがやってるなんて訳ない。油断を見せてるだけで、多分他の奴らも同じような何かをしてる筈。結局の所、及び腰では何もわからない。

 僕はインベントリからアイテムを素早く取り出す。それは水を出す事が出来るアイテムだ。水の初級魔法が封じられた札で水を出し、それの制御を祝福を使って乗っ取る。何個か同じのを同時に使って必要十分の水を確保して、僕はその水を更に氷にして広範囲にばらまいてやる。これで何をする気だったかわかるし、目の前の奴だけじゃなく、残りの奴らも巻き込む様にばらまいてるからそれで同じ結果が得られれば……

「ちっ」

 そう舌打ちするテア・レス・テレスの奴ら。そして僕が放った氷の粒は当たると同時に、テア・レス・テレスの奴らから出た雷撃みたいなのに砕かれた。どうやら僕の攻撃を誘ってたのは今の雷撃があるからみたいだ。HPがある訳じゃない氷の礫だったから分からないが、もしかして今のは受けたダメージを倍加して返す反撃みたいなものか? 

(なるほどな)

 ほんと会長の奴はやらしい事ばっか考える。普通にLROにはこういう形のアイテムというか装備はある。だから会長が祝福で手を加えてるのかは今のでは分からなかったが……なにかしてそうな気はする。ダメージ倍加上げてるとか。
 でも祝福で下手にコードをいじると、効果を高くするのは簡単だが、下手にやるとデメリットとかもデカくなったりするものだ。まあそれは僕だからなのかもしれないが……きっと会長の事だからそこら辺も抑えて実用的にしてるんだろう。

 厄介なのはあの反撃攻撃だ。あれは……はっきり言って避ける術なんて存在しない。いくら速く動いても……だ。システムで絶対に当たる様になってるというか、こちらの攻撃を当てた瞬間に、こちらのHPも削られてる仕様だ。あの雷撃は反撃効果が出てるっていう演出以外の何物でもないんだ。

「やってくれる」
「さあ、今度は今の様なしょぼい攻撃じゃなく本気で来い。でないと……落ちるぞ」

 岩は今もこちらの玉を守る味方に襲い掛かってる。けど……反撃効果で守られた奴らにどうやってこちらの攻撃だけを通す事が出来る? いや、そもそもそんな事が可能か? まさに……完璧。完璧な僕対策だよ会長!

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