命改変プログラム

ファーストなサイコロ

1045

 小さくなっていくレシアへとマイオさんが魂の酌量というアイテムを使う。真っ白い川柳でも書きそう紙を小さなくなっていくドロドロとしたものに触れさせる。すると紙が光りだした。やはりこのイベント? の為のアイテムなんだろうか?
 でもそれならなんでレシアが……わからない。だからこれに興味がある。一体何が起きるのか。私たちは何が起きるのか固唾を飲んで見守ってる。

「づっ……」

 マイオさんのか体が傾く。私は思わず彼に近づいた。けどこちらを見たマイオさんがつぶやく様にこういった。

「来る……な」

 その言葉で止まったが、どうやら遅かったみたいだ。魂の酌量は細かくなり、私を含む数メートルを半球状に囲む。飛び散る紙吹雪に、次第に視界が奪われていく。すると頭がボーとしてくる様な。

(あれ? 私、何しようとしてたっけ?)

 直前の行動まで謎になるけど、ふと私は正気に戻った。

「そうだ、マイオさん!! ってあれ?」

 いつの間にか私の周囲は暗くなってた。真っ暗だ。何で自分だけこんなにハッキリと見えてるのかわからないくらい。これはあれかな? 私自身が輝いてるとか……そういう……

「セツリ君、君も来てしまったか」
「あっマイオさん」

 彼もハッキリ見える。どうやら私が輝いてるわけじゃないみたいだ。

「ここは一体?」
「わからないが、多分あのアイテムの効果なんだろう」

 私たちは取り合えずあたりを見回る事にした。どうやらどこまでいってもマイオさんの姿が見えなくなる……ということはないらしいから安心してそこら中を歩く。けど何もない。でも……なにか感じる気がする。なにか見られてるというか、時々、白い影が見えるというか。

「感じるか?」
「やっぱりお化けですかね?」

 なんかそんな存在を思わせるんだよね。ぶるっと震えるよ。

「状況的にただのお化けではなさそうだが……でてきてくれないか?」

 マイオさんが暗闇に向かってそういうよ。すると光が集まる様にして、女性が現れた。四十代くらいか、なかなかに妙齢の女性だ。けど、素直に美人と言える人。着てるのはドレスだね。でも彼女は真っ白だからなんか曖昧な感じだ。

 真っ白なのもハッキリとしたものじゃない。薄い感じで白いだ。それが彼女をただの存在じゃないと教えてくれてる。

「貴方はまさか……」
「知ってるんですか?」

 私の言葉に少し間をおいてマイオさんは答えてくれた。

「前領主の奥さん……奥方だった人だ。残された写真を見た事あるから間違いない」
「へえーって、え? だってさっきはレシアでしたよね?」

 おかしい、なんか色々とおかしくない? だって卵からかえった時はレシアの姿をしてた。けど確かにマイオさんは素体はこの人だといってたね。でもなんで側がレシアになったの? どういう事? 私の頭は混乱してるよ!

コメント

コメントを書く

「SF」の人気作品

書籍化作品