命改変プログラム
992
アブラムシを対峙した事を報告する為に再び城まで戻ってきた。まあ報告するのは会長の役目だけどね。これで信用を得られるだろう。そうしたら、森の祭壇まで連れてってもらってノームから祝福を受け取るんだ。僕はそんな思い浮かべつつ、会長を待つ。セラの奴は再び微動だにせずに突っ立ってるだけだから話し相手がいない。
そんな事を考えてると、会長が戻ってきた。そして城からは王冠を頭にのせたおじいちゃんに差し掛かりそうな老人が城のテラスから出てくる。そして何やら声を張り上げ始めた。あんな小さいのに、よく響く声である。あれが国王かな?
そんな国王様の声につられてか、僕達を恐れて建物の中に入ってた民衆たちが顔を覗かせ始めた。そして何やら王様が身振りを交えて熱く語るにつれて、何やらキラキラとした視線がこちらに向く。そして最後は皆さん、こちらに手を振って何やら言ってた。
たぶん「ありがとう」って言葉だと思う。どうやらあのアブラムシに相当困ってたようだ。その脅威を退けた僕達はさながら英雄みたいな? 悪い気はしない。
「受け入れられたのは喜ばしいけど、目的はどうなったの?」
そんなセラの言葉に会長が何やら書き始めた。
「ちゃんともらったよ」
そういって書き上げたの物を僕とセラは見つめる。正直言って、よくわからない。
「これは?」
「森の守りを抜ける為のキーワードみたいなものだね。祝福でなら書けるよ。でもこれはその一部であと、三節の言葉が必要なんだよね」
なるほどね。よくある設定だな……とおもった。一個手に入れて残り三つ……この場所は四季で四つに分かれてて、ここは秋……自然と繋がる。
「なあ、まさかと思うけど、これって後の三つはそれぞれの季節の奴らに聞けって事?」
「ご名答。流石、ゲームに詳しいね」
いや、ゲームに詳しくなくてもこのくらい察しはつくだろう。けどやっぱりそうか……これってぜったい、それぞれの場所でも問題があって、それを解決して残りの言葉を集めるみたいなクエストじゃん。
「厄介ですね。特に春」
まさにセラの言う通りだ。春は今さらどうやって話を聞いてもらえばいいのか……
「そこは大丈夫、使者を遣わしてくれるって」
そういった会長の肩には白いドレスに身を包んだ美しい女性がいた。見た目的には僕たちとはそう変わらないそうな年齢に見える。圧倒的に小さいが……
「どう見ても、ここのお姫様に見えるけど?」
「うん、その通りだからね」
あっさりとそれを認める会長。ええーお姫様を使者にするの? どうなのそれ? 僕がそう思ってると、小さなお姫様はそのドレスを少し摘み上げ、静かに上品な礼を見せてくれる。そして通じないけど、多分名乗ってるんだと思う。
そんなお姫様に直ぐに対応するのはセラだ。膝をつき、目線を姫よりも下にした。とりあえず僕も真似をしてみた。小さいが、身分は向こうが上だしね。機嫌を悪くされても困る――とかおもったが、どうやらお姫様はそんな事は気にしない気さくな方なようだった。
僕達を立たせる様に会長伝いで言ってきて、その手を差し出してきた。こっちは丸まる手を一つ差し出すことは出来ないから、掌を上に向けて人差し指を差し出す。そこにお姫様は両手を置いてにっこりとしてくださった。
可愛い。流石に小さすぎるから、異性としてみるよりも可愛い小動物を愛でる心が擽られる。いい人そうで良かった。とりあえず僕たちはこのお姫様と共に次の目的地に……と思ったら何やら一体のトンボの騎士が僕の目玉を抉ろうとしてきやがった。
勿論避けたが、なんて奴だ。どうやら彼はお姫様の護衛らしい。流石にお姫様一人で行かせるわけもないよね。それはわかる……わかるけど、こいつとは仲良く出来ない気がした。
そんな事を考えてると、会長が戻ってきた。そして城からは王冠を頭にのせたおじいちゃんに差し掛かりそうな老人が城のテラスから出てくる。そして何やら声を張り上げ始めた。あんな小さいのに、よく響く声である。あれが国王かな?
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たぶん「ありがとう」って言葉だと思う。どうやらあのアブラムシに相当困ってたようだ。その脅威を退けた僕達はさながら英雄みたいな? 悪い気はしない。
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