命改変プログラム

ファーストなサイコロ

981

「なんだお前……気持ち悪いぞ?」
「失礼な。スオウのせいなんだよ」

 なんかにやにやしてた会長に文句つけたら、なぜか僕のせいとか言われた。納得できない。僕は何もやってないのに。会長の奴は相変わらず当たり前みたいな顔して炎を抑えてる様だし……

「ん?」

 僕はまだコードを見れる状態だった。だからか、会長の中まで見える。別にいやらしくはないからね。裸が見えてる訳じゃない。寧ろ文字ばかりでいやらしさなんて微塵もない。逆に目がいたくなるレベル。だから僕には会長の祝福も見える。けど……その祝福はどれもこれも複雑なコードに絡められてる様に見える。僕のはどうなんだろう? そう思って自分を見てみると、別段そんな事はなかった。

 祝福自体は炎、氷、風、海とそれぞれが象徴するように見える。それが僕の場合は胸のあたりにみえる。けど、会長の場合はみえない。それは複雑なコードに覆われてるからだ。やっぱりそれぞれでやり方が違うな……

「どうしたのスオウ?」

 僕がじっと見つめてたからか、会長もこっちを見つめてる。僕は顔を反らしてイフリートを見た。いや、別に指摘することでもないかな……と。だって会長も普通に祝福使ってるし、問題はないんだろう。僕のやり方しか認めないとか、僕はそんな許量の狭い人間じゃない。

「どうだイフリート。僕も会長ももう大丈夫だけど」
「そのようだな。なら、腕試しといくか? 貴様らも我の力を存分に味わいたいであろう」

 そういってイフリートがやる気満々でマグマの柱とかを生み出したりする。この場所のマグマはイフリートの感情とリンクでもしてるのだろうか? 二人であのイフリートに勝てるのか? 僕がそんな事を考えてると、会長がスッと手を挙げて発言を求めてくる。

「はい! あのこれは絶対の戦闘ですか? 本当に必要なものなのですか?」
「ふはははははは! 絶対ではないが、我の炎が入ったのだ、戦闘したくなるであろう!」

 なに、イフリートの祝福には戦闘狂になる呪いでもあるのか? いや、ただ単にイフリートが戦い好きなだけか。だって別に僕は今すぐに戦いたい訳じゃない。寧ろさっさとここから出たい。だって暑いからね。それはどうやら会長も同じようだ。

「すみませんが、それでは辞退しますね」
「なんだと!! 本気か!?」

 イフリートの奴は心底信じられないというようなリアクションを取ってる。寧ろどうしてそんな戦いたいのか謎だ。

「本気です。これ以上は時間が厳しいですし……ね、スオウ」

 会長はここにずっといるからそんな事ないんだろうが、きっと僕に気を使ってくれたんだろう。確かに学校もあるしね。それにまだもう一か所行かないといけない。

「これからノームの所にもいかないといけないので失礼します」
「本気か? 我の祝福の方が強いぞ!」

 何言ってるんだこの精霊は? 別に強さとかで選んでる訳じゃないし……そもそも祝福自体に強さとかないだろ。どうやら話を聞くと、最近は精霊との契約を求めてくるプレイヤーも少ないらしい。だから戦闘したいと……めいわくだね。けどなんかこんな図体大きい奴が落ち込んでると無性に心に来るものがある。

「近いうちに大きなバトルがあるから、もしかしたらそこでローレが呼ぶじゃないか?」
「おお、精霊王が立つか!」

 うん? 今なんか初めて聞いたワードがあったような? 僕はもう一度さっきの発言を確かめようと思ったが、それを聞くとなんか一気に扱いがぞんざいになった。

「ならばよし、早く行け。我にはようが出来た」

 そういって勝手に僕と会長は転送された。

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