命改変プログラム

ファーストなサイコロ

974

(確かにあるな)

 僕は確かめる様にまずは少し雷を引き出す。なんか静電気のせいか、髪がふわりと浮いてる気がする。でもこの程度で攻撃したってな……自分自身分だけじゃハッキリ言って強力になんてなりえない。

(私とつなげて繋げて!)

 僕の心にそんな声が響く。それはフラングランの雷の宝石の精の声。確かにこいつが適任だろう。僕は自身の雷を宝石へと誘導する。するとフラングランの宝石が強く輝く。

(ううーん! いい感じ)
(私も……)

 するともう一人の声が聞こえた。それはフラングランのもう一振りの剣についてる風の精。雷の力を示す為にやる筈だが……けどまあべつにいいか。どうすれば強力になるかの実験だし。僕は風も出して宝石に通す。

(ん……んっう)

 風の精は何やらちょっとエロい声出してる。外から力が入ってくる感覚を我慢してるのかな? 雷の精は「イエーイ来る来るううう!」とか言ってる。ほんと性格現れるな。これ以上なく宝石が輝く。今までは風は外で掴んでた。なるほど、こういう事も出来たのか。宝石の中で力か大きく大きくなってくのがわかる。これって他のも出来るのか? 

 そう思って海と氷をそれぞれの宝石に流し込んでみる。

(何しやがる!! 変なもん流し込むな!!)
(うん、不快)

 海と氷は弾かれた。大不評だ。やはり通じてる力じゃないとダメみたいだ。

(でも海はそこにあるよな? しかも水ならなんか電気の通りが良くなる気がしないか?)

 海全体を操れるなんておもってない。けど、どうにかできないか? 僕は海の力を外の海に伸ばす。けどやはりというか、この竜宮城は特別な力で覆われてるんだろう。力は外までとどかない。やはり雷と風でやるしかない。溢れる力が剣に伝わっていく。風がうなり、雷が弾けてる。

「ほう……」

 そういうサラマンダー。足に更に力を込めた気がした。

「行くぞ!」

 僕はまずは風の方の剣を振るった。放たれた風のうねりがサラマンダーを覆い隠す。だがこれはサラマンダーに攻撃してるわけじゃない。派手だか、動きを阻害する程度のものだ。けどこれは準備にすぎない。僕は今度は雷の方を向ける。その雷を風のうなりへと通す。うねりの中に雷が混じる。うねりは球体上にまとまっていく。僕は力を可能な限り圧縮しようと試みてるのだ。操るのは風の方が慣れてるから、雷は流すだけにしてる。けど最後のきっかけは雷でやる気だ。

 最初は風の中に雷がまじってるなー、程度だったが今や眩しいくらいに輝いて雷が落ちる様な音が幾重にも響いてる。

「終われ」

 僕はフラングランの雷の方を投げた。圧縮してた風に触れた瞬間、雷の力が解放される。周囲に青い雷撃が弾け、部屋の床や天井を焼きだす。物凄い力を感じて、これはやばいんじゃね? って思う。竜宮城全体が持つのこれ? 僕はなんとか見えるローレの方をみる。なんか頬がひきつってた。そして息を吐くとを僕を非難がましく見る。

(いや、僕は悪くない。絶対だ)

 そんな風に心で思ってると、ローレはいつの間にか杖を持ってた。そして出てくる小さな妖精の様なやつ。あれは光の精霊? そう思った瞬間、力が解放される。つんざく様な音と衝撃に自身の体も吹っ飛んだ。

「うあああああああ!?」

 予想外! 予想外の威力だよこれ!! もう何がなんだがわからない。光が収まると、その部分だけがなくなってた。けど流石にサラマンダー自体はいる。でも無傷ではない。いやむしろ、満身創痍だった。

「見事……だ」

 そう呟くとサラマンダー消えていく。

「命改変プログラム」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「SF」の人気作品

コメント

コメントを書く