命改変プログラム
934
黒い風と黄緑色の風が絡み合う。けど引っ張るなんて概念……というか、こっちの想定はあっさりと打ち砕かれた。まず力が全く違う。だからこそ引っ張り合うなんて思いは幻想だった。こっちは風帝武装だけ。向こうは風帝武装にオリジンだ。
絡み合った瞬間に、抵抗なんて物がむりだった。一気に風を奪われたこっちが風帝武装を維持するだけの風を奪われる。
奴の攻撃をなんとかさばけてたのは風帝武装があったからだ。認識して、動いて……それがまにあったのは風帝武装のおかげ。その力が今、なくなった。迫る奴の口。兜がぱっくりとひらり、そこに鋭利な牙もみえる。中身は闇だ。
奴の顔はない。どうやら本当に化け物になり下がったみたい。これがオリジンの副作用だとするなら……怖い。僕ももしかしたらこうなるかもしれない。けど……こいつにふたたび食われるのも嫌だ。こいつは僕の存在を全て食らって入れ替わろうとしてる。
そんな奴に大人しく食い殺されるなんて……そもそもいれかわったら、僕という意思というか、魂はどうなる? そんなのきっと考えるまでもない事だ。だから……使うしかない。
「オリジン!!」
使った。使ってしまった。何処かからか染み出す様に黒い力が纏わりついてくる。やっぱりオルガトが居た時と力の感覚が全然違う。僕はそんな事を思いながら、奴の口に剣を差し込む。手応えがあった。視覚的にも、フラングランが奴の口から入り、そして脳天を貫いてるのが見える。
「やった」
誰かがそんな事を呟いたのが聞こえた。けどそんな甘い訳はない。僕はしってる。だからこそ再び雷撃を発動させる。その時、奴の体から生える様に頭だけ伸びてきた。でもそれは牽制だったようで、どちらかというと、突き刺さったフラングランから体を離す為に攻撃してきたみたいだった。
数メートルの距離があく。そこで僕は気付く。奴の首。フラングランが刺さった首が垂れ下がったままだ。そして首の根本くらいから生えたもう一つ首が恨みがましい様にこちらをみてる。
(効いたって事だよな)
今まで、いくら傷つけたってあいつはお構いなしだった。正直効いてるかどうかわからなかった。けど、これは明白だ。
「スオウ!!」
上から聞こえる声。僅かに視線を動かすと、ばらまかれた大量の紙が見えた。それは降り注いでくると、地面に隙間なく敷き詰められ消えていく。一体なんだ? わからない……けど……会長のやることに意味がない筈がない。
「皆、攻撃はスオウに任せます。防御とアイテムを惜しげもなく使ってください!」
有効打を与えることが出来るのは僕だけって判断したんだろう。じゃあ防御を固めるのは? 余波を受けた時のため? いや違った。今の僕は風帝武装がない。さっきのはラッキーだった。今の僕じゃあ奴の動きについていけない。動き回られて一撃離脱の戦法を取られると非常に厄介だ。
奴が再び動き出した時その意味はわかった。奴は横に飛んだ。見えてはいる。けど、体がさっきの様においつかない。横に飛んで更にスピードを上げて迫る。圧倒的なスピードの差。それに奴もそれだけのスピードを出してるのにその動きは縦横無尽だ。こっちは追いつてないのにわざわざ直前で再び回り込んで側面から牙を突き立てにくる。
けどそれが僕に届く事はなかった。なぜなら、ぎりぎりでテア・レス・テレスが体を滑りこませてきたからだ。走ったり飛んだりじゃ、間に合わないだろう。短距離転移みたいなものか?
「ボケっとするな! 今だ!!」
屈強なその人の言葉に会長の狙いを理解した。ようはテア・レス・テレスは肉壁になる事にしたんだ。いくらアイテムや防御魔法で強化されても相手の力はオリジンだ。ダメージを与える部分が違う。ならきっとこの人も消えてしまうだろう。
その前に犠牲を無駄にしないためにも僕は動かないといけない。彼は食われたまま、がっちりとと奴を首を抱えてる。僕は出来る限り奴に攻撃を叩き込む。
絡み合った瞬間に、抵抗なんて物がむりだった。一気に風を奪われたこっちが風帝武装を維持するだけの風を奪われる。
奴の攻撃をなんとかさばけてたのは風帝武装があったからだ。認識して、動いて……それがまにあったのは風帝武装のおかげ。その力が今、なくなった。迫る奴の口。兜がぱっくりとひらり、そこに鋭利な牙もみえる。中身は闇だ。
奴の顔はない。どうやら本当に化け物になり下がったみたい。これがオリジンの副作用だとするなら……怖い。僕ももしかしたらこうなるかもしれない。けど……こいつにふたたび食われるのも嫌だ。こいつは僕の存在を全て食らって入れ替わろうとしてる。
そんな奴に大人しく食い殺されるなんて……そもそもいれかわったら、僕という意思というか、魂はどうなる? そんなのきっと考えるまでもない事だ。だから……使うしかない。
「オリジン!!」
使った。使ってしまった。何処かからか染み出す様に黒い力が纏わりついてくる。やっぱりオルガトが居た時と力の感覚が全然違う。僕はそんな事を思いながら、奴の口に剣を差し込む。手応えがあった。視覚的にも、フラングランが奴の口から入り、そして脳天を貫いてるのが見える。
「やった」
誰かがそんな事を呟いたのが聞こえた。けどそんな甘い訳はない。僕はしってる。だからこそ再び雷撃を発動させる。その時、奴の体から生える様に頭だけ伸びてきた。でもそれは牽制だったようで、どちらかというと、突き刺さったフラングランから体を離す為に攻撃してきたみたいだった。
数メートルの距離があく。そこで僕は気付く。奴の首。フラングランが刺さった首が垂れ下がったままだ。そして首の根本くらいから生えたもう一つ首が恨みがましい様にこちらをみてる。
(効いたって事だよな)
今まで、いくら傷つけたってあいつはお構いなしだった。正直効いてるかどうかわからなかった。けど、これは明白だ。
「スオウ!!」
上から聞こえる声。僅かに視線を動かすと、ばらまかれた大量の紙が見えた。それは降り注いでくると、地面に隙間なく敷き詰められ消えていく。一体なんだ? わからない……けど……会長のやることに意味がない筈がない。
「皆、攻撃はスオウに任せます。防御とアイテムを惜しげもなく使ってください!」
有効打を与えることが出来るのは僕だけって判断したんだろう。じゃあ防御を固めるのは? 余波を受けた時のため? いや違った。今の僕は風帝武装がない。さっきのはラッキーだった。今の僕じゃあ奴の動きについていけない。動き回られて一撃離脱の戦法を取られると非常に厄介だ。
奴が再び動き出した時その意味はわかった。奴は横に飛んだ。見えてはいる。けど、体がさっきの様においつかない。横に飛んで更にスピードを上げて迫る。圧倒的なスピードの差。それに奴もそれだけのスピードを出してるのにその動きは縦横無尽だ。こっちは追いつてないのにわざわざ直前で再び回り込んで側面から牙を突き立てにくる。
けどそれが僕に届く事はなかった。なぜなら、ぎりぎりでテア・レス・テレスが体を滑りこませてきたからだ。走ったり飛んだりじゃ、間に合わないだろう。短距離転移みたいなものか?
「ボケっとするな! 今だ!!」
屈強なその人の言葉に会長の狙いを理解した。ようはテア・レス・テレスは肉壁になる事にしたんだ。いくらアイテムや防御魔法で強化されても相手の力はオリジンだ。ダメージを与える部分が違う。ならきっとこの人も消えてしまうだろう。
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