命改変プログラム
872
あまりの数に見える範囲の空を黒く染め上げる程のスカルロードドラゴンの黒い槍。更にその後方には大小さまざまな黒い塊がある。槍で仕留めきれなかったとしても、あの黒い塊で確実にHPを削り切る布陣だ。
揺らめいてた槍が固定され、勢いをつけて発射される。そのスピードはかなりの物で、瞬きの間に手の届く距離に来てる。僕は風と僅かな雷を纏わせたフラングラン最初の槍に叩きつける。けどそれで終わるわけない量。
更に体を捻って反対側の剣を続く槍を落とす。出来る限り避けれる物は避けて、絶対に回避不能な槍だけを斬って進む。この量には流石のセラのコントロールも追いつかないのか、聖典が一機……また一機と落ちていく。
「づっ!?」
わずかに遅れた回避。顔の半分を抉りそうな角度……けど風帝武装が間一髪その風を僅かに開放して攻撃を逸らす。助かった。けどこれは何度も出来ることじゃない。風帝武装に使ってる風が尽きれば、当然その機能は働かないし、風帝武装がなくなれば、今の動きを維持する事はできない。
僕は息をするのも忘れて突き進む。どんどんと小さくなる風帝武装。数が数だけにどうしても回避できないのがある。それでもまだ終わりはみえない。最初よりも段違いで密度が熱い。一体いつまで降り注ぐんだというくらいの攻撃。
こんなのに自分達以外で耐えられるプレイヤーが居るのか? 理不尽すぎる。ダメージエフェクトが視界を遮る。風帝武装がもう風前の灯火のようだ。確実に僕のHPは減り始めた。それでもギリギリを見極めて僕は上へと進む。近づいてる……から!!
二つのフラングランを縦に振り下ろして黒い槍を散らす。その瞬間視界が開けた。
(抜けた! ――ちっ)
確かに槍の雨は抜けた。でもまだスカルロードドラゴンとの間には無数のブラックホールの壁があった。
「こうなったら!」
僕は僅かに残ってた風帝武装を全部開放する。自身を中心に密度の濃い黄緑色の風が吹き荒れる。普通はブラックホールとかなんてものは動かない物かもしれない。ただそこにあって、周囲の全てを飲み込む……そんな特性の物なのかもしれない。
けどこのブラックホールは動いてる。スカルロードドラゴンが意思をもって動かしてるんだ。それなら、周囲の変化にだって影響されてもおかしくない。僕のその予想は当たったのか、僅かだが、風によって周囲のブラックホールに隙間ができた。この道を行くしかない! 僕は背後から昇って来た聖典を掴む。そして一気に上昇した。
あの槍を抜けれたのはどうやら一機だけの様だ。けど十分。風帝武装を失った僕はもうあそこまで跳べない。けど聖典となら届く。近づくにつれ、何やら聞こえてきた。それは下でも聴いてた言葉。
「同じ詠唱をしてるのか!」
下でローレがやってたのと同じ言葉だ。多分この詠唱で起こる事は同じ。だからこそそれぞれが干渉しあってる。ゲームならどっちが詠唱したって同じ現象が起きるだろう……けど今やってる詠唱は召喚だ。召喚する奴が一体なら? どっちが呼び出すかでせめぎ合ってもおかしくない。
「させるかああああああ!!」
僕は聖典から手を放し、スカルロードドラゴンの背に降りた。そして詠唱をしてる領主へと向かう。ここまでくれば、もう僕を邪魔するものはいない。フラングランが真っ黒く染まってる領主を一刀する。
揺らめいてた槍が固定され、勢いをつけて発射される。そのスピードはかなりの物で、瞬きの間に手の届く距離に来てる。僕は風と僅かな雷を纏わせたフラングラン最初の槍に叩きつける。けどそれで終わるわけない量。
更に体を捻って反対側の剣を続く槍を落とす。出来る限り避けれる物は避けて、絶対に回避不能な槍だけを斬って進む。この量には流石のセラのコントロールも追いつかないのか、聖典が一機……また一機と落ちていく。
「づっ!?」
わずかに遅れた回避。顔の半分を抉りそうな角度……けど風帝武装が間一髪その風を僅かに開放して攻撃を逸らす。助かった。けどこれは何度も出来ることじゃない。風帝武装に使ってる風が尽きれば、当然その機能は働かないし、風帝武装がなくなれば、今の動きを維持する事はできない。
僕は息をするのも忘れて突き進む。どんどんと小さくなる風帝武装。数が数だけにどうしても回避できないのがある。それでもまだ終わりはみえない。最初よりも段違いで密度が熱い。一体いつまで降り注ぐんだというくらいの攻撃。
こんなのに自分達以外で耐えられるプレイヤーが居るのか? 理不尽すぎる。ダメージエフェクトが視界を遮る。風帝武装がもう風前の灯火のようだ。確実に僕のHPは減り始めた。それでもギリギリを見極めて僕は上へと進む。近づいてる……から!!
二つのフラングランを縦に振り下ろして黒い槍を散らす。その瞬間視界が開けた。
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確かに槍の雨は抜けた。でもまだスカルロードドラゴンとの間には無数のブラックホールの壁があった。
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けどこのブラックホールは動いてる。スカルロードドラゴンが意思をもって動かしてるんだ。それなら、周囲の変化にだって影響されてもおかしくない。僕のその予想は当たったのか、僅かだが、風によって周囲のブラックホールに隙間ができた。この道を行くしかない! 僕は背後から昇って来た聖典を掴む。そして一気に上昇した。
あの槍を抜けれたのはどうやら一機だけの様だ。けど十分。風帝武装を失った僕はもうあそこまで跳べない。けど聖典となら届く。近づくにつれ、何やら聞こえてきた。それは下でも聴いてた言葉。
「同じ詠唱をしてるのか!」
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「させるかああああああ!!」
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