命改変プログラム

ファーストなサイコロ

温かいご飯

「スオウ、そこで半歩下がって! 攻撃は一息置いて、斜め前に振り上げて!」


 その指示に従って行動を起こすと、より強力になった敵が自ら攻撃にとびこんで来るように剣にあたった。しかもさっきまで傷つけれなかった程に強固だった鱗を貫いて肉に届いてる。これなら––と思い、更にもう一方の剣を突き立てる。けど––


 ガキイィィン


 ––と激しい音と共に弾かれる。そして別の角度から迫るもう一つの頭を慌ててかわした。やっぱりまともな状態の箇所には攻撃は通らないか。攻撃が通った部分は多分日鞠の奴が何かやったんだろう。
 チラッと日鞠の様子を伺うと、こちらに近づいてきた。


「そろそろウォーミングアップはいいかなスオウ?」
「体なら十分に温まってるぞ」
「そうじゃなくて、こういうのも久しぶりだなって思って」
「二人でこんなバケモノに立ち向かった記憶はないけどな」


 そもそもリアルじゃこんなバケモノいないし。まあでも……久々の感覚はある。こうやって何かに二人で立ち向かう––というか、共同作業みたいなのはさ。確かにそろそろ前の勘も取り戻して来たかもしれない。
 さっきまでは声を大にして意思疎通をしてたけど、本当はそんなの必要ない筈なんだ。どこの誰だか分からない相手ならまだしも、相手は日鞠だ。僕の人生の中で、一番一緒に居てきた奴だ。それこそ、どんな時だって。
 三つの首が三方向から迫る。僕と日鞠はそれを確認して、視線を交わしてそれぞれ前と後ろに下がった。僕はスキルを宿した剣で真正面から迫る首の軌道を変えるために、下から顎を跳ね上げる。斬ろう––なんて思わない。ただ軌道を逸らすんだ!


「づあ!」


 僅かに軌道をずらす事は出来たけど、頑強な鱗は僕の左肩を抉る。ギリギリだったからこれはしょうがない。残りの二つは日鞠の方へ行ってたようだけど、アイツは攻撃しないから三つ首のターゲットが薄い。だからか、別段そこまで絡まれずに目的は果たしただろう。
 斜め上に上がってく弾いた首と入れ替わる様に残りの二首が背後から迫る。僕は剣を逆手に持ち替え風を掴んでバク転する。けどその高さはリアルで出来るバク転の高さじゃない。風を使ってるから僕は二メートル程の高さに上がってる。
 下には通り過ぎようとしてる二対の頭。僕はその脳天に迷いなく刃を突き立てる。弾かれるなんて微塵も思わずに持ち方を変えた刃をだ。さっき弾かれた事なんか無かったかの用な迷いのない一撃。それは間違いなく脳天を貫いた。
 勢いがいきなり殺された二対の首は塞き止められた水の様にグニャッと膨れうねる。脳天を貫かれたというのに、その目はまだまだ爛々と光ってる。HPはまだまだあるしな。この程度じゃ止まらないってことだろう。


「ん?」


 まだまだ元気爛々な筈の二つの首。けどふとその瞼が重くなった様に閉じてるような……


「スオウ!」


 その声に反応して日鞠を見ると、視線が語りかけてくる。「抜いちゃダメ。もうちょっと待ってて」みたいな意志が見て取れる。それなら……仕方ない。僕は剣から手を離して、日鞠を襲ってる最後の首の方へ向かう。僕が向かえばあの首もこっちに来るはずだ。
 日鞠は反撃してないし……と言うか出来ない。今の日鞠はスキルで存在を投影してるみたいな? そんな感じらしい。だから日鞠の存在が薄い。あの状況じゃ直接何かに触れるって事が出来ないらしい。
 それなら攻撃をかわす必要もないじゃないか––と思うんだけど、どうやらダメージフィードバックはあるようだ。ダメージは受けるけど、直接の攻撃は出来ない。結構リスクがあるスキルの用な気がする。
 けど少し工夫すれば、出来る事がある。だからこそこうやって日鞠は一緒に戦ってくれてる。日鞠があんな首一つに遅れを取るとは思わないけど、さっさとこっちで引き受けないと。取り敢えず背後からウネッてる首部分を踏んづける。
 ギョロッと向く凶悪な瞳。武器一つ無い状態でどうしようかと考えてる間にこっちに向かってきた。そもそも武器無しで使えるスキルなんて攻撃用途はほぼ無い。こうなったら……僕は紙一重で突っ込んできた頭をかわして横から拳を振るう。
 風をまとった拳だ。けどその風は一振りではじけ消えた。そして拳には鈍い痛みが残る。まだまだこの程度の風の密度じゃダメのようだ。
 ピクリともしなかった。


(もっと密度を上げて……威力を高めないと……)


 量の拳に意識を集中する。けど今は戦闘中それだけに意識は避けない。大きく回って再びこっちに向かってその大きな口を開けてくる。真正面から来るのなら望む所だ。今度こそダメージを叩き込む! 


「ん?」


 僕の気合をあざ笑うかのように口の中に赤い灯火が膨れ上がる。そして口の中から溢れだした炎は更に膨れ上がって向かってきた。


「うわああああ!?」


 慌て避ける。けど流石に所々が焦げた。でもこれだけで済んだのは幸いだろう。そう思ってると、周囲が蠢いてるのに気付く。そして気づいた時には遅かった。いつの間にか僕の周りで蜷局を巻いてた首が一気に範囲を狭めて締めあげてきた。


「ぐっ……あっが……」


 肉が押しつぶされて、骨が軋む音が聞こえる。不味いぞこれ……このままじゃ確実に潰される。力は敵の方が圧倒的なんだ。蛇の様に締めあげられたら抜け出す方法がほぼ無い……最後の希望はこの拳に残ってる風だけ。
 でも全然動かせないから、どうしようも……HPが凄い勢いで減っていく。締めあげられてるだけじゃなく、こいつの鋭利な鱗が締め上げる度に、僕の皮膚を抉り、体を刻んでるせいだろう。そしてトドメとばかりに、頭がこちらを無いて、その口を大きく開けて来た。


(まさか……丸呑みする気か?)


 本当に蛇なのかよ。いや……蛇にしては鋭利な歯がいっぱいだし、ちゃんと咀嚼しそうだ。こんなバケモノの臭そうな口の中で死ぬなんて、実際死ぬ訳じゃないとしても御免被りたい。けど今の僕には抵抗する術なんてなくて……大きな口は僕をスッポリと包んで視界を覆い尽くした。


「っづ……やっぱ臭い」


 それに生暖かいのもなんだか気持ち悪い。そんな事を思ってると、涎なのかなんなのか、細い舌みたいなのが僕に向かって伸びてくる、舌なのになんだかちょっぴり鋭利に見えるそれ……攻撃? ここに来て? 何かの毒とかか? 本当なら、骨をバキバキに折って丸呑みする筈だけど、そうじゃないっぽいから、毒で体の自由を奪った上で胃の中で恐怖を味わわせつつ溶かすとか……そんな鬼畜仕様なのかも。
 でもそれならあの鋭利な牙で噛み砕かれる事はない……か?


 そんな事を思ってると舌は僕に突き刺さる手前でピタリと止まる。そしてそのまま顔を上げたのか、視界が開けた。


(一体何が?)


 ここでイレギュラーを起す存在は一人しかいない。疑問を押しやって僕は日鞠の奴を探す。するとその時、僕をしばってる部分に二本の剣が飛んできた。突如の攻撃に断末魔が猛る。鱗を貫き、縛りをゆるめたその攻撃を見過ごす事は出来ない。
 僕は風で僅かに隙間を広げて手を外へ伸ばす。そして柄を握ると同時にそれは起きた。一瞬にして刻まれる無数の傷。衝撃波? それともカマイタチ? そんなのが僕の意志に反応して出たようだった。
 開放された僕は落ちる寸前に、もう一本を取って、地面に回転しながら落ちる。


「これは……」


 改めて剣を見るとそれは今までのなんの変哲もない剣とは明らかに違ってた。なんだか刀身に今戦ってるバケモノの鱗がある。デザインも禍々しいというか……凶暴な感じになってるし……日鞠の奴何をしたんだ?
 その疑問は前を向くと同時に解消される。いつの間にか、三つあった首の二つは消滅してる。そして同じ材質っぽくなった僕の剣。これはつまり……そう言うことなんだろう。後ろで地面を踏む靴の音が聞こえた。
 僕は振り返らずに言うよ。


「随分とんでもない事をやったようじゃん」
「使えるかはスオウ次第だけどね。けど、これで武器で不利に成ることはないよ。やってやりなよ」
「言われる……までもない!」


 僕達の会話はそれだけだ。それだけで十分。お互いの伝えたい事はなんとなくわかる……用な気がする。飛び出した僕に反応して残った首も向かってくる。吐出される灼熱の炎。真っ赤に燃える視界。
 けど、今度は避けなかった。やれると思った。この剣なら。柄に力を込めると、飲み込む様に手と柄が一体化してく……ゾクリと嫌な感じがした。けど……リスク位覚悟の上だ!! 僕は縦一文字に振り下ろし炎を切り裂く。視界に捉えた敵は再び僕を捕らえようと炎を囮に周囲を囲もうとしてる。
 二度も同じ手が通じると思うなよ。僕は地面を蹴って、回転しつつ敵の側面に攻撃を入れる。硬い鱗に弾かれる事無く剣撃は通った。やれる! けど、HPはまだまだある。ちまちまなんてやってられない。
 長い時間この剣を使うのもヤバそうだし……できるだけ早く決めないと。一気に決めるとなると、反撃の隙を与えない怒涛の連続攻撃……これしかない。二刀流の手数の多さで圧倒する!! 腕を進み、肘まで来た侵食を見ないようにして、僕は頭の方へ向かう。


 猛る僕と猛るモンスター。譲らずに僕達はぶつかり合う。先に届いたのは僕の方だ。鼻先を切り裂き、口を割る。目を削り落として、顎を砕く。攻撃を繰り出してるのはこっちなのに、体が悲鳴を上げてるように感じる。
 でも止まる訳にはいかない。限界以上の力を振り絞って、ここで奴のHPを削り切るんだ!! 殺伐とした中に感じる、唯一の暖かさ。それは巻き起こる風。僕の中の何かはそれを自然と求めてた。戦いで発生する風が自然とこちらに付いてくれる。僕はもっと……もっと速く動ける。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 その瞬間、何かのタガが外れた様に視界が変わる。時が止まる事はもうないはずなのに……まるでそうなったように見える。そして見える未来の動き? それは一瞬。気付いた時には戦闘に戻ってた。けど、見えたものはこの網膜に焼きついてる。僕は更にラッシュをかける。
 一瞬足りとも触れせさせず……モンスターは見えた通りの動きをした。後は自分次第。腕が軋む。それは限界と言うよりも侵食の影響。剣の侵食は腕を通り越して肩から胸に届こうとしてる。
 自分の体が人から別の何かになってるような……変な感じ。でもその違和感に今は意識を割いてる余裕はない。
 全てを絞りだすかのように動き、止まること無く繰り出される剣撃はまさに嵐の様に敵を包んでた。この剣の特性なのか、斬る度に生まれるカマイタチが、実際以上の傷をつけてる。剥がれ落ちていく鱗。敵は次第に元々の醜い姿に戻っていくかのようだった。


(もう少し……後ちょっと……もうひと踏ん張––)


 その瞬間背中に変な痛みが走って、風が止まる。背中の方を見ると、肩甲骨辺りから、刺と言うかなんというか、突起物の用な物が出てた。そして左側の視界が赤く歪む。侵食が深刻なレベルまで進行したのかもしれない。
 今の僕は他人からどう映るだろうか? 多分僕もバケモノだ。けど……ここに居るたった一人は他人じゃない。僕は正常な方の目で後ろを振り返った。そこには涼しい顔してる日鞠が居る。いつもの姿じゃないけど、僕にはいつもの日鞠に見える。そんな奴が、一言言うんだ。


「早く帰ろう。ね、スオウ」


 僕は返事をせずに前を向く。でも前をもう一度向けた事が大きいんだ。日鞠の視線は何も変わらなかった。それがきっと安心できたんだ。向かってくる赤黒い肌を晒したバケモノ。僕は最後に手なのか剣なのか分からなくなったその部分をクロスして真正面から、バケモノを三枚に下ろす。
 真っ黒い血が吹き出して周囲に飛び散る。三枚に下ろしたバケモノは消えていく。けどその黒い液体は消えることは無かった。


「おわった……」


 絶対に倒せないと思ったけど……なんとかなるものだ。そう思ってるとピキ––パキン––と呆気無く剣が折れた。そしてどうかしてたバケモノの部分から黒い蒸気が出て行く。すると僕の体が元の状態まで戻りだした。


「そっちも死んだようだね。お疲れ様スオウ」
「日鞠……」


 振り向くと日鞠の姿が更に薄くなってた。けどそれは日鞠だけじゃなく、周囲も同じ様だ。ボスが倒されたから、この空間事態が崩壊しだしてるようだ。日鞠は僕の事をじっと見て怪訝そうにこういった。


「ソレ、ちょっと気を付けた方がいいかもね」
「それ?」


 なんの事だ? と思ってその事を聞こうとしたら視界が真っ白になった。どうやら元いた場所に転送されてるみたいだ。光が沢山走ってく。






「スオウ! おいスオウ!」
「スオウくん! スオウくん!」
「たたき起こしましょう。そうしましょう」
「ちょっとセラ! 手荒な真似は––」
「……ん?」


 聞こえてくる声に反応して瞼を開けると、またがってる奴と目が合った。そして「あっ」みたいな口をしたかと思ったらバチンと頬に鋭い衝撃が走る。


「ようやく目を覚ましたわね」
「いやいや、お前が叩く前に目を覚ましたわ!! 分かってたろ! 止めろよ!!」
「そんなの知らないわね」


 知らぬ存ぜぬを通すセラ。この野郎……完全に「あっ、目を覚ましたけど止らんない。このままやっちゃえ」的な顔してたの知ってるからな。くう……頬がヒリヒリする。まあ取り敢えず心配はしてたくれたようだし、グッと堪えるか。僕は皆の顔を確認して呟く。


「日鞠の奴は?」
「日鞠? アイツとは宿屋で別れたろ?」
「そういえばそうだったな」


 アギトの言葉でその事を思い出す。日鞠の奴、僕の事を心配してあんな仕込みを? 


「そういえば事態はどうなった?」
「収束仕掛けてるよ。ほら、後ろ見てみろ」


 そう促されてる後ろを見ると時計塔が綺麗に倒壊してた。


「お前が現れたと思ったら、一気に倒壊した。何があった? それにその姿……」
「姿?」


 言われて自分の体に視線を落として気付いた。黒い返り血がこびりついてる。ヌチャっとするその黒い血を見つめてると、ドクン……と変な胸騒ぎが襲う。そういえば日鞠の奴が何か言ってたな。僕の深刻そうな顔を心配そうに見つめる面々。戦闘は終わったんだし、窮地は脱した。これ以上変な心配はかけるべきじゃない。


「まあ色々とあったんだよ。でも上手く行った。なんとかなったって事だ」
「それなら、いいけどよ……」


 次第に街には灯りが戻っていき、黒尽くめになってた人々が街に戻る。そして喧騒を取り戻した街の中から、一人のプレイヤーが近づいてくる。


「ご苦労さまです。上手く行ったようで何よりです」
「それにしてはなんだか怖いんですけど……」


 目が座ってるよこの人。なんでこんなに怒ってるの?


「別に、ただ私達は忙しいんです。余計な事で会長の手を煩わせないで欲しいだけです。貴方は特別なようなので」
「特別って、それを言うなら、アイツにとっては皆が特別だよ」
「……取り敢えず我らは撤収します。後はご自由に。ですが次も我らが駆けつけるとは思わないでください」


 そう言って彼女はクールに去っていく。確かに何回もこんな幸運は……てか、たまたまなのか? 日鞠の事だから別の狙いがあった気がしなくもない。


「スオウ! みんな!」


 喧騒の向こうから聞こえる声。一際大きな姿が目に入ったと思ったら、いきなり視界が覆われる。


「よかった〜無事で」
「セツリ……離れろ暑苦しい」


 真っ先に視線がオウラさんに向かったせいでセツリを見逃してた。だってオウラさん目立つもん。


「そっちはなんとも無かったのか?」
「うん、街の方が暗くなったと思ったらこっちは孤児院の敷地から出れなくなったから」
「そう……なのか」


 でれなく……か。やっぱりあの孤児院はなにかあるようだ。無理矢理侵攻しないのもきになるしな。


「大変だったようですね。役に立てずにすみません」
「しょうが無いですよ。それよりもメカブの奴は?」
「彼女ならちょっとトイレと言って落ちたまま戻ってきてないですよ」


 あんの野郎……こっちがどれだけ大変だったと思ってるんだ。


「それで、どうしますか? 今夜は皆さんお疲れでしょうし、これで解散しときましょうか?」
「そうですね……皆もそれでいいか?」


 そんな提案に皆賛成してくれる。そりゃそうだ。ホント大変だったからな。


「はぁ〜心配しすぎてお腹減ったよスオウ」
「そうだな。なんか久しぶりに日鞠の手料理食べたくなったかも」
「え?」


 恋しい気がする。それは料理なのか日鞠自身なのかは分からないけど、どこかで安心を求めてる気がする。僕達はそれぞれ別れのあいさつをしてログアウトをする。




 戻ってきた部屋は暗く寒い。けどふと気付くと聞き慣れた包丁のリズムが聞こえてきた。誘われるように扉を開けると美味しそうな匂いも立ち込めてる。足は自然とキッチンへと進んでた。そして扉からその三つ編みを見ていつもの風景を懐かしむ。


「あっ、ちょっと待っててね直ぐに出来るから」
「なんで居るんだよ?」
「居て欲しいかなって思って」


 なんで分かるんだよ。ちょっと恥ずかしい気持ちが湧いてくる。けど、僕は黙って食器を取り出すよ。その時、奥の方の和室の扉が開いて頭だけ出してる摂理が見えた。でも目が合うと顔を引っ込める。なんだ? 僕は摂理を呼びに行くよ。


「おい摂理、お前も喰うか? 腹減ったって言ってたろ?」
「……いい。夜食は女の子の敵だから」
「なんだそれ? 無理しなくてもいいぞ。それに摂理はもっと食ったほうがいいと思うし」
「いいったらいいの!」


 そう言って背中を向けて動かない摂理。どうやら何かに意固地になってるようだ。しょうがないからキッチンに戻る。


「摂理ちゃんは?」
「いらないってさ」
「そっか。う〜ん私も綺麗に成るためには控えた方がいいかな?」
「お前が? はっ」
「ちょっ、なに今の笑い!? なんかムカつく! 食べさせないよ」
「ごめんごめん、悪かったって。是非に僕にお恵みを〜」
「うんうん、その態度ならめぐってやろう。よきかなよきかな」


 そんな気の抜けるようなやりとりしながら久しぶりに二人で僕達は食事をした。

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