命改変プログラム

ファーストなサイコロ

第二ステージ

 猛る咆哮と共に激しい轟音と悲鳴が様々な場所で弾けてる。そんな周囲の熱気とは裏腹に、曇った空から落ちてくる白い結晶。そしてその結晶は不思議な事に地面に落ちても消えることはない。降り積もっていく……深々と猛々と……


「お前も来たのか柊」
「ふがいない姉達をサポートするのが私の役目だし。それにどうやらマザーを崩すには希望を摘むのが早そう。シクラもレシアも手こずってるようだから。まあだけど、あれじゃやっぱり駄目かなって……だって肝心のセツリ様が待ってるように感じる。誰かさんを……その心のどこかで」


 そう言ってその視線が降ってくるのが分かる。セツリはまだ僕を? とっくに見限られたと思ってたんだけど……でもまあセツリだからな。アイツは多分、捨てる事なんか出来ないんだと思う。僕は柊を見上げてこう言うよ。


「あいつは優しい……じゃなく、甘いからな。それにきっと、もう何も、無くしたくないんだろう」
「そうかもね。セツリ様は待つのが当たり前だったから。あの人はそれ以外知らない。ここでは動けるのに、動く術を知らないの」


 動く術か……確かにセツリは常に受け手なのかもしれない。多分シクラ達姉妹よりももっとえげつない権限をセツリの奴は有してる筈だ。だけどそれを使うのは結局改変のためであって、自分の手を汚したり、傷付いたりするような事はしない。
 あいつがここまで出張ってくることはない。


「またヒイちゃんは難しいことを言っちゃって。動けないとかちゃんとせっちゃんは動いてるよ。それにシクラも言ってたよ。せっちゃんは僕達の守るべき人だから、露払い? だっけは僕達の役目だって」
「はぁ、別にヒマはそれでいいんじゃない。あんたバカだし、どうせ暴れたくてウズウズしてるでしょ?」
「バカは心外だけど、シクラもヒイちゃんも考え過ぎだよね。僕達はただせっちゃんが喜んでくれる事をするだけだよ。せっちゃんが自分の世界を望むのなら、僕達は全てを壊してその上に新しい世界を創ればいい。簡単じゃん!」


 すっごく天真爛漫な顔でそう言うヒマワリ。やっぱりこいつ馬鹿だな。でも……バカだからこそ、迷いなんて物がない。こいつは多分、自分でブレーキとか出来ない。さっきからステップ踏んだり、クルクルと回ったり、忙しなく動いて、そのラフな格好から覗く脇や太ももが目障りと言うかなんというか。健康的な肉体美をしてやがる。
 蘭は胸にさらし巻いて押さえつける様な肉体がエロいし、大人の体を露出してる感じだけど、ヒマワリは子供の抽象的肉体美を表してるよね。
 こんな時にどこ見てるんだって話だけど……ついついね。目良いし僕。入っちゃうのは入っちゃうのだ。


「簡単な物か。だが……露払いの我等に課されてる命題はそう……簡単で簡潔なのは確かだな。私やお前は、ただ暴れればいい。この力を駆使してな。後の事はシクラにでも投げておけばいいんだ。そうだろ柊? お前にどんな役目があるかは知らないが、我等に期待される物など、そんなのなのだろ?」


 蘭の奴がなんか拗ねてる? いや、別に口調はいつもと同じだけど、姉だ姉だと言ってた割りには扱いがヒマワリと同じってね……そりゃあ拗ねたくも成るかも。ヒマワリ程じゃないけど、蘭も色々と思惑を巡らせるタイプじゃないし、直情タイプの方が、前線で敵をバッタバッタとなぎ倒すには都合が良さそうではあるな。
 まあそのバッタバッタ倒されるのが自分達であるってのが笑えないところだけど。


「蘭姐様はそこまで悲観することもないと思うけど。でもまあ、気楽にやれるのならそれが一番かも。二人は何も考えずに暴れた方が強いですしね」
「ならそうしよう。頼りがいがある可愛い妹だよ柊は」
「僕は!? ねぇ僕は!?」
「ヒマはバカワイイ妹だ」


 そう言ってヒマワリの頭をポンポンと叩く蘭。だけどその言葉にヒマワリの奴は不服そうだ。口を尖らせて眉は逆に反ってる。


「ほんといっつもいっつもヒイちゃんばっかり依怙贔屓されちゃって……こなったら! うがあああああああああああああああああ!!」


 ヒマワリの奴がいきなり飛び出し囲んでる人々の壁に突っ込んでいく。慌てて錬金術を発動するけど、構築される前に強引に打ち砕いて行って、人々を薙ぎ払うヒマワリ。流石バカ、なんて滅茶苦茶な奴だ。
 けど、その滅茶苦茶を通せるんだ……それがアイツの怖い所。そしてそのまま建物の中へ。一体何しにいったのやら、僕達にはちょっと理解できない。あれか? トイレとか? その割には気合入ってたけど……漏れそうだったのかも知れないな。
 それならある意味好都合。三人を相手にするよりは二人を相手にするほうが楽に決まってる。僕達は取り敢えず蘭と柊の居る方向に視線を戻す。だけど何故か二人はこっちを見てはなかった。その視線はヒマワリが突っ込んだ芳香に向いてる。


「全く、だからバカだって言われるってアレは気付いてるのかしら?」
「だが、見てて面白くはある」


 面白い? トイレが? とか思ったけど、ふと周囲がより暗くなった事に気付く。そして後方で響く悲鳴と女の声とは思えない叫び。僕は視線を後方に移して驚いた。だってそこには建物が斜めってたから……そしてその建物内から人がボトボトと落ちてきたりしてる。


「ぬがああああああああああああああああああああああああああ!!」


 建物を持ち上げつつそんな声を上げてるヒマワリ。まさか……あの為に突っ込んだのか? インパクトは確かに凄い……けど、建物を投げつけるよりも強力な攻撃がお前達にはあるだろ。てかそもそもあんな風に建物って持ち上がる物なのか?
 いや、漫画とかでは偶に見るけどさ、あれって漫画的表現じゃん。一応物理法則とかリアルに則ってる筈のLROで一部分だけに力を集中させて持ちあげるとか無理ではなかろうか? 肉体的にじゃなく、建物の強度的にって事で。一点だけ持ち上げたら絶対にそこから崩れるだろうと思うんだけど……だけど目の前の五階建て位の建物はその姿を維持してる。


「ふっふふ、ヒマちゃん大活躍して、皆の評価を覆すんだ––ぜ!!」


 不敵に笑ったヒマワリは言葉の終わりと共にその建物を空に向けて放おった。少しの間上昇したデカイ塊……けど直ぐにそれは重力に従って落ちてくる。しかもちゃんと僕達を狙ってるのか、完全に落下位置は僕の真上じゃねーか! するとテトラの奴が周囲に向かって声を上げた。


「全員離散し––––––っつ!」


 途中で止まった声。無理もない。そもそも声を上げる前から誰もがパニクって逃げてる。それはさっきまで果敢に蘭に向かってた研究者達も同じで、どうやら突飛な恐怖には流石に研究者達は弱いようだ。
 これが兵士とかなら、多分その力を駆使できたんだろうけど……彼等にそこまで求める事はできない。だって彼等は戦いを生業にしてるわけじゃないんだ。普段は研究室に篭ってるタイプの人達。周囲の喧騒に流されたってしょうがない。
 パニクってる人達はぶつかったりこけたりして更に混乱が広がってる。ただでさえ人が溢れかえってるんだ。こんな状態じゃ、そもそも逃げる場所なんてない。無闇やたらに移動しだすとこうなるのは必然。


「アレを破壊するぞ獣!!」
「リルフィンと呼べ邪神が!!」


 文句を言いながらもテトラの後について跳ぶリルフィン。リルフィンの奴はその白銀の髪に手を突っ込んで底から長い棘のついた槍を出す。テトラは周囲に無數の黒い弾を出現させた。けどその時、大きな衝撃を立てて派手にヒマワリの奴がジャンプした。そして軽々と落ちてくる建物の上に昇ると、そこから体を一回転させてダイナミックキックを噛まして加速させやがった。


「「ぐっぬあああああああ!」」


 タイミングをずらされた二人は攻撃を仕掛ける前に建物と接触して一緒に落ちてくる。ヒマワリの癖に考えた事をやりやがって……戦闘に関してはバカじゃないのかも知れない。いや、本能か? 取り敢えずこのままじゃ不味い。
 アレがまともに落ちたら周囲への被害も甚大だ。そもそも僕が生きてられるか……


「やるぞ助手! 援護しろ!」
「しょうがないわね。まったく頼りない神様たちだ事!!」


 そう言って二人が前に立つ。所長は手を翳し。フランさんはそのメガネの縁を軽くなぞった。すると彼女の肩に二体の小人が現れる。けど、いままで見てきた小人とはそれは明らかに違う。今まで見たのは人の縮小版というか、そんな感じだったけどフランさんの肩に現れたソレは、ぬいぐるみと言うか、玩具っぽいというか……一体は甲冑の様なフルフェイスで、体は浮遊してるのか中身が見えず小さな腕胴足のパーツが配されてる。
 もう一体は丸い頭に包帯をぐるぐる巻にして胴体は白い布が靡いてるみたいな? パッと見はアレだな、てるてる坊主みたいな奴だ。その不思議な生物? は一体なんなのか……そう思ってるとフランさんはその二体に支持を飛ばす。


「行くわよトキン・ルキン。解析開始。千現定理を構築」


 何を言ってるのかは良くわからないけど、その言葉を受けて二体はフワフワと前に出る。そして甲冑姿の一体は建物に突っ込み、もうてるてる坊主の一体はケラケラと不気味に笑い出す。


「さあ、所長の出番よ」
「任せろ」


 え? 何かしたの? って思ったけど、どうやらあれでいいらしい。フランさんは所長と手を繋ぐと、ちょっと赤くなりつつ一緒に上を向く。そして右手を伸ばす所長。彼の腕にはリングがある。それは光を持って広がってく。


「理解が追いつけば、そこに恐れなど必要ない。深層分解!!」


 その瞬間落ちてくる建物が消える時と同じような大量のオブジェクトの塊と化す。そしてそのまま弾けるようにして消えていった。それは落ちてきたけど、衝撃なんて物じゃない。ただの消えゆく破片……被害なんてものは一つもなかった。


「それは……」


 僕は二人を見つめてそう呟く。消えゆく青い光。その中で二人は得意気にこっちを向く。


「これは過去からの贈り物だ。【天命の環】と【内装破壊の礼機】。この二つは元から魔鏡強啓零を組み込まれて作られた錬金アイテムなんだよ」
「元から? そんな事……その白衣は? 最初から着てた奴じゃないだろ?」


 だって勝手に広がったり動いたりしてたしな。そんな機能なかったはずだ。


「これか? これは自分でやったんだよ。機能を試す意味でな。お前もそんな物してなかったと思うが? それに武器も無いしな」


 所長の視線が僕の指を見てそして腰の方へ。まあみんな気付いてただろうけど……それを指摘するヒマも無かったしな。それか皆気を使ってくれてたのかも。でもまっ、気を使わせてても意味ないからな。
 今の僕は直接的な戦力には成り得ない。それは伝えとくべき。


「多分これは所長たちのそれと同じだと思う。名前は知らないけど……セラ・シルフィングはもう無い。法の書起動にその力を使い果たしたから」
「そうか。貴様はよくやったよ。お陰で俺達は今再びここに居る。後ろに下がってても誰も文句は言わないさ。第一の奴等のお陰で零の理解を応用した簡易版を配ってるようだし……なかなか第一の奴等もやる」


 それはあの手袋の事か? 確かにアレは中々に強力っぽい。でもアレもいつの間に用意してたのやら。魔鏡強啓零を利用してるって……だからそれはどうしてだと。普通無理だろ。先代や先々代の統括の発言からしてあれ、かなり前から準備してた様な節があったぞ。


「所長達のソレもだけど、第一の奴等もどうやってこんな早く魔鏡強啓零のアイテムを用意出来てるんだよ。それに第一は大量にだ。あり得ないだろ」
「私達のは偉大な先代が残しててくれたからかな。それをあんな形で渡されるとは思わなかったけどね。多分ここまで予測してたんじゃないかしら。第一の連中のは簡易版って言ったでしょ。僕には違いが分からないかもしれないけど、多分あれは第一だから零の概要を予想して用意してた物じゃないかしら。ヒントはあの指輪にもあったわけだし、それを解析できる権利は第一にしかなかった。
 多分だけど第一も大分前から零に辿り着く時が物騒なことなるって思ってたのかも。だからこそ準備だけはしてた。そして零を得た今、あのアイテムは完成したのよ」
「つまりは準備は大切って事か」
「そういう事ね。実際、私達のアイテムは強力だけど、それだけじゃアレに対抗は出来なかったと思う」


 アレ……つまりは蘭やヒマワリ、そして柊の事だろう。どれだけ個人が強力でも、限界はある。システムに則った限界に頭打つ僕達と、その枷にハマってない奴等の限界。それは思い知る程に違うんだ。
 そもそも限界なんて見えてないけど……多分限界は奴等にもあるだろう。でもやっぱりそれは僕達には見えない遥か先なんだ。


「あ〜あ、面白い事出来るんだね。おじさん楽しめそうだね!!」
「おじさん!?」


 おじさんは心外だったのか、所長が過剰に反応する。まあ確かにおじさんは無いよな。所長言ってるけど、まだ二十代前半位っぽいし。けど無精髭とか生やしたままだからヒマワリとかか見たら十分におじさんなのかも知れない。アレだよな、オタクが高校卒業した程度の人までババアと呼ぶのと一緒だな。酷い時は先輩で既にババアだし……
 そんな事を思ってると所長の白衣の裾が地面に突き刺さる。そして何か光が流れたと思ったら、地面が壁の様に盛り上がった。だけどそれを障子でも破るかの様な気楽さで突き進んでくるのがヒマワリだ。


「あはっはははは面白いよ! 次は何をしてくれるの!?」


 地面程度の強度じゃ話にならない。笑顔のまま一撃で壁を壊しまくりやがる。そしてあっという間に距離は縮まってる。このままじゃ不味い!


「くっ!」
「ダメだ所長!!」


 まだ何かしようとする所長の白衣を僕は掴んで思いっきり下に引っ張った。一緒に地面に倒れ込む僕達。その上をヒマワリの拳が突き抜けてく。素肌がむき出しだった筈のその腕にはいつの間にかごつい黒光りする防具がまとわりついてる。
 どうやら土の中に混じってた鉱石とかを破壊の度に集めてたようだ。ヒマワリの奴はその身になんでも纏えるようだからな。素手でも強力だけど、こいつは破壊を進める度にその身を強固にし、さらに攻撃力も増していく。後先考え内で取り敢えず突っ込んで行く猪突猛進なヒマワリにはピッタシな能力だ。
 ノリノリで戦闘してれば、相手の破壊した防具や武器さえも取り込めてしまうんだから……ヒマワリの奴はいかにしてその勢いを止めるのか、それか勢いに乗せないのかが重要だ。けど––


「もう、邪魔しないでよスオウ!」


 ヒマワリの奴はそう言って地面を軽く蹴って宙へ。そこで体を器用に回して僕と所長に狙いを改めて定めてその拳を打ち下ろす。こいつ……普通なら大振りすれば重心とかの関係で体を次の行動に移すのに掛かる時間ってのがどうしてもあるはずなのに、その勢いを無理矢理別ベクトルに変えやがった。
 器用な真似しやがって……僕達に向かって降ろされる腕は女の子のしなやかなそれとは最早別物。ゴツゴツとしたそれは鉄槌の様に見える。


「所長!」


 叫ぶ声はフランさんの物だ。彼女のアイテムじゃこの窮地を救うことは出来ないのか? やっぱり速攻で出来る事には限界があるんだろう。そして単体程度じゃこいつ等を止められないと……所長のやつでも駄目だったしな。
 リルフィンやテトラはいつの間にか攻めてきてた蘭の方の相手をしてるっぽいし、救援は望めない。ラプラスで同じように壁を作った所で多分意味は無い。位相をズラすのは突きと言う特性上意味が無い。
 やばい……詰んでるぞ。目の前に迫る狂拳。防ぐすべが僕達には無い! だけどその時、迫る拳と僕達の間に滑りこむ何かが見えた。煌めく一筋の軌道。それはヒマワリの腕を下から持ち上げる様にしながら滑って行く。同時に甲高い音と火花が散って、勢いを保ったままその煌めきはヒマワリの首筋に伸びていく。


「ぬわっ!?」


 そんな声を上げてヒマワリの奴は再び体を無理やり捻って距離を取った。


「逃がすな! 態勢を整えさせてはいけない!!」
「「「はっ!!」」」


 どこからか聞こえた複数人の声。周囲を見ると人混みから飛び出す青い服の人達が見える。彼等は一様に腰の剣を抜き去ってる。その剣にはそれぞれ異なった光が纏ってる様に見える。そして全員がヒマワリに向かって加速。鮮やかな連携で宙をふらついてたヒマワリに攻撃を叩き込んでく。
 それは素人然とした動きじゃない。統率のとれた訓練された動きだ。


「セス……貴様がなんで俺を……」
「ふん、私の役目は市民を守る事。不本意でもその中には貴方だって含まれてるんだ」


 そう言いつつフランさんはコインを取り出した。そしてそれを真上に弾く。落ちてきたコインは両手を合わせるようにして挟み込む。その時僕は気付いた。セスさんも例の手袋をはめてる。ってことは今のは……そう思ってると彼はコインを剣の柄にセットする。
 すると同じ制服に身を包んだ人達と同様に刀身から揺らめく輝きが出始める。走りそして彼は跳んだ。


「喰らえ化け物! そして逃げるな皆! どこにも逃げ場なんて無いんだ。守るんだ。その為の力を受け取った筈だ!!」
「あはは、この程度の力で?」


 今まで攻撃を食らってた筈のヒマワリの軽い声が響く。あいつ、全然応えてない。そして返り討ちにしようかとそのごつくなってる拳を握る。けどその時、ヒマワリの両手両足が大の字に伸びた。


「え? えっ? なにこれぇええ?」


 何が起こってるかわからないという様子のヒマワリ。けどこっちからはよく分かる。どうやらアイツの手足には先の攻撃で仕掛けがしてあったようだ。青い制服の治安部の人達の剣に陣が出てる。多分それがヒマワリの体を拘束してんだろう。
 通常攻撃じゃ傷つけれないと最初から踏んで、特大の一撃を確実に決める作戦だったんだろう。僕達だけじゃなく、周囲の人達の視線がセスさんに集まってる。皆に今の言葉届いたんだろう。誰かが「いっけえええ!」と叫ぶと、それは周囲に伝染して大きな叫びが彼の背中を押す。
 誰もがセスさんにその期待を向けた。


「剣魔輪聖・奥義」


大小連なる陣がヒマワリの元まで現れる。そして次の瞬間彼の姿が陣に溶け込んで消えた様に見えた。


「アブソレート・ソリューション!!」


 無数の衝撃が耳をつんざき、視界は一瞬で舞い上がった土埃に覆われる。



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